プレFEAの時代
よく知られていることですが、FEAは計算機を利用した解析手法です。近年は開発現場でもFEA専用の計算機が置かれていることも珍しくなくなりました。また100万要素を超えるような大規模解析や多ケースにわたる解析も頻繁に行われるようになりました。しかし今から四半世紀ほど前までは、計算機の性能上の制約やコストの問題もあり、そのような環境はなかったと言ってよいでしょう。
それでは当時はどのようにして、開発現場では設計指針を得ていたのでしょうか。
長年の勘や経験といってしまえばそれまでですが、系統的に電気機器の磁気特性を解析する代表的な手法として磁気回路法があります。磁気回路法は現在でも広く用いられている汎用的な解析手法ですが、計算機が今ほど普及していなかった当時は、唯一といってよい解析手法でした。
磁気回路法はコアやコイル、磁石などから構成される機器を起磁力源や磁気抵抗により構成される等価的な磁気回路に置き換えて、磁気回路上の磁路に発生する磁束量を見積もる手法です。図1にモータとその上に重ねて描かれた磁気回路の例を示します。この手法は簡単な磁気回路であれば、大規模な計算を必要としないため、計算機環境がなくても手計算で解くことができます。例として図2に示される電磁弁モデルを簡易的な磁気回路法により解いて得られた固定子と可動子間の電磁吸引力結果を図3に示します。図3ではFEAによる計算結果と比較をしていますが、簡単な磁気回路法にも関らず、それらしい結果が得られていることがわかります。

図1.モータの磁気回路例
また世の中には磁気回路法に基づくアプリケーションもあります。これらもわずかな計算機資源で解析できるため、瞬時に結果を得ることができます。
このため、FEAがまだ一般的ではなかった時代(プレFEAの時代)においては、磁気回路法は設計現場で幅広く使われていた手法でした。
それでは、今日なぜFEAの解析が必要とされ、急速に広まるようになったのでしょうか。

図2.磁気回路法による電磁弁のモデル化

図3.図2の磁気回路モデルを解いて得られた吸引力特性
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