がんばれ電磁界解析！！
株式会社豊田中央研究所　取締役副所長　菊池　昇氏

電気自動車、風力発電に象徴されるようなイノベーションのうねりのなかで、モータやトランスなど成熟機種と言われる電気機器にも著しい高性能化が求められている。これに応えるためにはFEAなどの解析技術を駆使することが有効であり、電磁界解析も成果を上げつつある。
しかし、電磁界解析の設計における利用率という意味では構造解析には及んでいないようである。電磁界解析よりも10年以上先行して実用化され、10倍以上のユーザー数を持つ構造解析の分野では、よりよくFEAが利用され、製品設計の中に“自然”に取り込まれている。そして、まだまだ進化を続けている。そこから学べる知見はないだろうか。電磁界解析は進化しているのだろうか？
電磁界解析も今後、必須の設計技術になることは間違いない。いや、ならないといけない。そのためには今、電磁界解析に携わっている人達は、既存の技術や利用法に満足することなく、新しい課題に取り組むべきである。
加えて、これからの解析技術においてマルチフィジックス解析は必須の課題であり、解析技術者はそれぞれの解析分野に閉じこもっているわけにはいかない。相互に他分野の技術と文化を積極的に理解する必要がある。
本講演では構造解析との比較から、電磁界解析が今後製品設計でより活躍するために対処すべきシミュレーション技術およびそれの利用技術における課題について述べる。また、CAE全体の方向性を最新の研究成果とともに示す。

Electric Drives for Off-Road Mobile Equipment
John Deere　Advanced Product Technology　Mgr Vehicle Electrification Technologies　Jim Shoemaker氏

The presentation will discuss the electric drive needs of off road mobile equipment. The duty cycle, continuous power density, operating environment, and required life for off road equipment is quite different from automotive expectations. Virtual Modeling and verification of electric drives is now gaining importance with increasing focus on Analysis led Design. Virtual models can be first used to test variations of electric machine geometry against performance requirements. Because the model is virtual it also allows testing machines to their design limits or even beyond without physical damage, to understand peak capability, and the impact that electric drives can have on efficiency and performance. Virtual design provides the opportunity for the designer to formulate problems in a systematic way and optimize through multiple design iterations.

Multiscale Noise and Vibration models for a Switched Reluctance-based drivetrain for EV and HEV
LMS International　Simulation Division　De Langhe Koen氏

In this paper, an integrated multi-physics approach, coupling JMAG and Virtual.Lab has been developed for the simulation of switched reluctance based drivetrain systems. Two methods are presented – one concerning the NVH modeling of such a motor, while the other focuses on a multiscale thermal model of an electric vehicle. Both methods stem from a detailed functional model of the switched reluctance motor, that is then used as the main base for the thermal and NVH modeling cases. The main objective is to present the design process of both methods and to show how such a method can be used as a vehicle integration tool. Two simulation examples are shown, one for the NVH aspects and the other for the energy management system, to illustrate the capabilities of the methods.

Researches on the Behavior of Vibration and Noise of an IPM Motor on HEV
CHINA FAW GROUP CORPERATION R&D CENTER　Science Research Department　曾金玲氏

Hybrid electric vehicles are becoming more popular, but the higher efficiency and miniaturization requires of the IPM motor result in vibration and noise, which make electric motor as the major vibration and noise source of the hybrid electric vehicle. It is well known that the source of these problems will be difficult to be pinpointed when the motor is mounted in vehicle. Meanwhile, a significant amount of time and money may be cost in manufacturing process of these faulty motors. So, how to quickly identify and reduce the vibration and noise of electric motor has become a necessity. In this paper, a numerical analysis method will be provided to expeditiously predict and understand the behavior of vibration and noise of an IPM motor in the stage of product design.

電気自動車用モーターの振動・騒音解析
日産自動車株式会社　車両性能開発部　宮川　隆行氏

ゼロ・エミッション車の一つであるEV（電気自動車）は、好意的に広く市場へ受け入れられることを目指し、魅力的なクルマとする為、静粛性においても高い性能が求められる。
EVは、従来のICE（内燃機関）と異なりモーターで駆動する為、モーターに起因する振動騒音現象が問題となる。モーターの加振力は、ICEに対し高周波側にシフトしており、高周波までのモーターの振動・騒音解析が必要である。
今回、磁場解析と振動騒音解析を用いたモーターの振動騒音解析について紹介する。

Disribution Losses in Claw Pole Machine.-Simulation of eddy Current
Valeo EEM　Jean-Claude MIPO氏

In order to satisfy new environmental regulations, we have to increase efficiency of alternators. To achieve it, we have to know the distributions of losses. It’s not possible to have the distribution of iron losses in rotor and stator, so we need to simulate the iron losses in rotor and stator. We will carry out simulation and test on several range of alternators and different speed. Then we can validate the results of simulation.

電気駆動車両のMBDにおけるJMAG-RTの活用事例
マツダ株式会社　技術研究所　シニア スペシャリスト　米盛　敬氏

モータ ドライブ システムの性能解析では、一般的に計算し易い理想的条件（数学的 正弦波駆動）に絞り込み、システムの一部にすぎないモータの限界性能等の主要代表特性で良し悪しを論じる手法が主流である。
モータが周辺システムへ連結した場合の動作範囲や効率変化の交互作用をJMAG-Studio 単体では、厳密には再現できないため、「動的なシステムの限界設計」を志すマツダでは、JMAG-RT を用いたシステム内部の交互作用やトレードオフ作用を俯瞰する高速計算環境を構築した。
本成果は、電気駆動車両のモデルベース開発に適用され、静的な重量やコスト律則の上に、動的な制御や熱律則の影響をも加味した「システムの限界性能開発」に活用されていく。

モータ制御ECUの制御品質検証へのJMAG-RT適用
株式会社デンソー　電子プラットフォーム開発部　先行技術開発室　担当係長　竹内　芳徳氏

デンソーでは、車載電子ECUサプライヤとして、多様化するHV/EVに対応した、モータ制御用のECUを開発している。ECUを製品化するまでには、様々な観点から制御の品質検証を行い、要求仕様を満たしていることを確認するが、実機では検証することが困難な条件が多々あり、HILSを活用している。HILSを制御の品質検証に用いるためには、リアルタイムで動作し、かつ実モータと同等の特性を備えたモータモデルが必要であったため、JMAG-RTを使用した。JMAG-RTを活用するにあたり、サプライヤとしての制約から、モータの形状や材料データからではなく、新たにECU内の制御マップデータから作成する機能を、JSOL社に依頼し構築して頂いた。JMAG-RTを用いて作成したモータモデルの精度の評価結果及び、モータ制御ECUの制御品質検証に適用した事例を紹介する。

Leveraging JMAG-RT and FEA-based Models for High Fidelity Real-Time Test in FPGA
National Instruments　System Engineering　System Engineer　Ben Black氏

Real-time test in the area of power electronics provides unique challenges that are difficult to address with traditional hardware-in-the-loop (HIL) systems. The high speed discrete switching states of power electronics systems mean that the simulation system needs to run on the order of 1 us to provide useful numerical results, and the benefits during algorithm development are directly related to the fidelity of the model. A good test system allows a control engineer to speed up the design cycle by allowing control testing to start without physical hardware, to test novel control algorithms without endangering hardware and to see potentially un-measureable parameters within the system. To address these issues and to provide a platform for HIL testing of electric motor systems, National Instruments has partnered with JSOL Corporation and developed field programmable gate array (FPGA) models that use JMAG-RT as a means to deploy the high-fidelity of an FEA simulation into the high speed of a FPGA processing node.

Optimizing Designs with High Throughput Computing
MORGRIDGE Institute for Research at the University of Wisconsin-Madison　Core Computational Technology　Senior Researcher　Brooklin J. Gore氏

In this talk, we discuss how JMAG software is being run at the UW-Madison campus in a High Throughput Computing (HTC) environment powered by the open source Condor software. By coupling JMAG with Condor, we were able to improve optimization turnaround by an order of magnitude. We present HTC principles and an introduction to Condor, as well as an overview of the UW Center for High Throughput Computing (CHTC), which serves, among others the Wisconsin Electric Machines and Power Electronics Consortium. For more than two decades the CHTC has been serving the computational needs of a broad range of research and production domains, including scientists and engineers from a wide spectrum of disciplines ranging from semi-conductor test harnesses to turbine blades and electrical machines. We conclude with direction for future joint work.

モータ開発におけるJMAG-Busの活用と展開事例
株式会社 本田技術研究所　四輪R&Dセンター　第9技術開発室　三好　健宏氏

CAE解析はモータの開発期間短縮/品質向上に有効なツールであるが、近年より複雑化するシステムに対しては解析そのもののスキルや工数が必要となり、本来の設計検討に十分時間をかけられないのが実情である。そこでJMAG-Busを用いてデータの入力/出力を簡略化し、データ整理まで一貫した解析システムを構築することで解析の全体時間を短縮し、開発効率を向上出来た。今回本システムを導入し、活用まで至った事例を紹介する。

解析技術者との連携の仕組み そこから生まれる成果
光洋サーモシステム株式会社　商品開発部 解析チーム　次長　藤山　周秀氏

3次元CADとJMAGを始めとした数種の解析ソフトを導入し、誘導加熱装置の開発テーマを抱えながら、一人でCAE技術の確立に向けた取組みにも着手。当初はCAEの導入効果やその成果をなかなか理解してもらえず、もがき苦しみながらも、地道な成果の積み上げと設計者への普及活動を粘り強く展開。7年目には、解析専任チームを発足するに至り、現在は設計、開発、品証など様々な場面で後方支援する体制を整えている。
導入当初、一人でもがき苦しんでいた頃から現在でも、最も悩み続けているのが費用対効果のアピール。今回の講演では、JMAG導入初期の頃の適用事例を交えながら、一人で試行錯誤した教育・推進の取り組みや、効果的に費用対効果を定量評価する算出方法についてより具体的な事例を紹介します。

シミュレーションを用いた制御システムによる自溶合金再溶融プロセスの開発～実験値と解析結果の比較検討～
日本サーモニクス株式会社　開発グループ　グループ長　長田　智司氏

自溶合金は溶射後に再溶融(フュージング)を行うことで目的の硬さが得られる特徴を持っている。通常この再溶融作業は人手によっておこなわれており品質の安定と作業効率の向上が課題となっている。そこで弊社は高周波誘導加熱を用いることで自溶合金再溶融プロセスの品質安定と作業効率の向上を目指している。その研究の一環としてJMAGの誘導加熱シミュレーションを活用している。
今回、自溶合金が多く用いられているボイラーチューブを対象として誘導加熱実験を行った。その時の実験値と解析値の差を比較検討した結果を報告する。

誘導加熱解析の精度に及ぼす磁気特性の影響
NTN株式会社　先端技術研究所　結城　敬史氏

誘導加熱解析においてワークの磁気特性として用いられる物性値には比透磁率とB-H曲線がある。今般、磁気特性として比透磁率およびB-H曲線を用いて同一対象を解析し、実験結果と比較して解析精度を検証した。その結果、B-H曲線を用いた解析結果は実験結果とほぼ合致したが、透磁率を用いた場合は800 ℃付近で実験結果とずれが生じることが明らかになった。

Dy拡散磁石の減磁解析手法およびモータに適したDy拡散方法と適用効果
日立金属株式会社　熊谷製作所　設計グループ　棗田　充俊氏

Dy拡散磁石は希少元素Dyを削減しつつ高特性化を実現したNd-Fe-B焼結磁石である。Dy拡散磁石は磁石内部に保磁力分布を持つため、従来の減磁解析手法では精度良く減磁解析が行えない。そこで、磁石内部に保磁力分布を持つDy拡散磁石の減磁解析手法を開発し、モータに適したDy拡散方法について検討を行った。

JMAGとCAEFEMを用いたDモデルの磁界振動連動解析
株式会社富士通ゼネラル　モータ事業部　シミュレーション担当部長　藤岡　琢志氏

モータ設計に於ける振動対策は電気的機械的設計と共に重要な課題である。今回、磁界解析ソフトウェアJMAGと構造解析ソフトウェアCAEFEMを使い、電気学会Dモデルの電磁力を計算して荷重条件とし、固定子振動を計算した。この際、JMAGにはPWMインバータのキャリアを考慮した電流波形を入力し、キャリア成分がどのような振動を生じさせるのか考察したので報告する。

JMAG-RTと回路シミュレータの連成解析事例
富士電機株式会社　技術開発本部　製品技術研究所　回転機技術開発部　基盤技術開発Gr　主任　大口　英樹氏

永久磁石モータの鉄損はモータを設計する上で重要な評価項目である。しかし、PMW駆動時の電流波形などを考慮しないと、実測と解析で得られた鉄損が合わないという問題点が指摘されている。今回電気学会の調査専門委員会「電磁界解析による回転機の実用的性能評価技術調査専門委員会」にてベンチマークモデルに設定されたDモデルにつき、JMAG-RTモデルと回路シミュレータとの連成解析によって得られたモータ電流波形を入力とし、鉄損を計算、実験結果と比較検討した事例を紹介する。また下記の各種モータ特性の解析結果と実験結果を比較検討したので報告する。

うず電流式ロータポジションセンサ
スミダ電機株式会社　モジュール／エネルギービジネスユニット　リーダー　清水　誠二氏

HEV,EVの駆動モータ用にうず電流式ロータポジションセンサを開発した。このセンサはレゾルバと同じように、同期モータのロータ角度情報の検出に用いられる。大口径ロータのモータに対しても、センサ自体は小型、軽量であり、磁気歪に対して影響を受けにくいことが実証された。セグメント形状のセンサモジュールは、モータに実装するにあたり、高い自由度を提供する。また取り付けも容易で、かつメインテナンス性に優れ、機械的な誤差に対してもロバストな特性を示す。この技術独自の特徴は、対応する要求をもつアプリケーションによっては非常に有利である。本稿では、その動作原理、シミュレーション結果、実装レイアウト、アプリケーション例について解説する。

JMAGとSimplewareの連携による磁界シミュレーション
太陽誘電株式会社　開発研究所　材料1グループ　飯島　洋祐氏

磁性部品を対象にJMAGとSimplewareの連携による磁界シミュレーションを行った。Simplewareでは、3次元画像から様々な形式のFEMモデルを作成することが可能である。今回、磁性部品の3次元CT画像データから直接FEMモデルを作成し、そのモデルをJMAGに取り込むことで磁界解析を実現した。その解析事例について紹介する。

リアクトルの直流重畳特性の実測と解析の比較検討
田淵電機株式会社　トランス技術開発部　トランス技術開発担当　上田　幸平氏

リアクトルの特性には、幅広い直流重畳領域で安定したインダクタンスが求められる。そのため、鉄心の磁気飽和を防ぐためのギャップはリアクトル開発の重要な要素である。
開発初期段階では、ギャップ長や位置は試作を繰り返すことで決定する。この工程に時間とコストが多く掛かってしまう。
試作回数を少なくする方法として、CAEの使用が挙げられる。JMAGを用いてギャップ長や位置を検討することで、試作回数を減らすことが期待される。
今回、直流重畳特性解析を行い、実測との比較検討を行った。その結果、解析と実測には、誤差が生じていた。誤差の原因として、磁気曲線上にマイナーヒステリシスループが存在し、実測との差が生じたと考えられたため、マイナーループの微分透磁率及び増分透磁率を測定し、その結果をJMAGに反映させて解析を行い、実測との検証を行った。

車載電源トランスの鉄損解析手法の開発
株式会社　豊田自動織機　エレクトロニクス事業部　技術部　壁谷　真人氏

車載電源機器開発では、小型化に伴って熱が重要な課題になっている。
放熱設計を効果的に行うためには、発熱分布の把握が必要であり、トランスやコイルについてはJMAGによる磁場解析を活用している。
本発表では、コイル形状によるコアロスの比較から、コアロスの予測精度向上に取り組んだ内容を紹介する。
コア材質のMn-Znフェライトは、導電率が低いのが特徴であるが、高周波、高温では数分の1にまで抵抗率が落ち、粒子をまたぐ渦電流の割合が無視できなくなる。そこで、鉄損のうち、コア形状に依存する粒子間渦電流損を別に計算する手法を開発した。

高付加価値を実現する可変特性モータ（MATRIXモータとCMMFモータ）
芝浦工業大学　工学部 電気工学科　准教授　赤津 観氏

EV/HEV用モータとして要求される低負荷での効率向上、ならびにレアアース価格高騰対策として磁石磁束を可変できるような可変特性モータが注目されている。本発表では巻線構成を自在に切り替えることができるMATRIXモータと2つの磁石起磁力を持ちそれぞれ独立および複合したトルクを発生できるCMMF(Compound Magnet Motive Force)モータを紹介する。

高付加価値を実現する可変特性モータ（MATRIXモータとCMMFモータ）
芝浦工業大学　工学部 電気工学科　准教授　赤津 観氏

EV/HEV用モータとして要求される低負荷での効率向上、ならびにレアアース価格高騰対策として磁石磁束を可変できるような可変特性モータが注目されている。本発表では巻線構成を自在に切り替えることができるMATRIXモータと2つの磁石起磁力を持ちそれぞれ独立および複合したトルクを発生できるCMMF(Compound Magnet Motive Force)モータを紹介する。

追加リアクトルを必要としない昇圧型SRM駆動回路
東京理科大学　理工学部電気電子情報工学科　准教授　星　伸一氏

スイッチドリラクタンスモータを駆動する場合、駆動回路であるインバータの直流入力電圧が高い方が巻線電流の立ち上がり、立下りを高速にできる。しかし、電気自動車などで使用する場合、バッテリ電圧を余り高くすることも困難である。バッテリとインバータの間に昇圧回路挿入することも考えられるが、一般的に昇圧回路では、昇圧リアクトルが必要となり装置サイズの大型化につながってしまう。本講演では、追加リアクトルを必要とせず、バッテリ電圧よりも高い電圧をSRMの巻線に印加できる昇圧型SRM駆動回路について述べる。

ロータセグメント形フェライト磁石アキシャルギャップモータの開発
北海道大学　大学院 情報科学研究科　准教授　竹本　真紹氏

永久磁石同期モータ（PMSM）は、現在のハイブリッド自動車において自動車性能を左右する重要な要素の1つである。そのため、PMSMには小型化・高出力化・高効率化といった、極めて高い性能が要求される。これまでPMSMの性能向上に対し、大きく貢献してきたのがレアアースを原材料とする希土類磁石である。希土類磁石は、強力な磁石としてPMSMに多く使用されているが、希土類磁石の原材料となるネオジウムやジスプロシウムなどのレアアースは、世界シェアの90%以上を中国に依存するという強い偏在性を抱えている。この偏在性に起因して、レアアースの価格高騰や輸出規制といった問題が生じつつある。したがって、希土類磁石を用いないPMSMを研究・開発することが強く求められている。そこで、我々の研究グループでは、希土類磁石の代替としてフェライト磁石を用いたロータセグメント形アキシャルギャップモータを提案している。本発表では、提案するモータの試作機の試験結果より、提案モータの有効性を示す。

ハードディスクドライブのライター素子における磁気シールド構造の最適化
TDK株式会社　ヘッドビジネスグループHDDヘッドビジネスディビジョン製品開発グループwafer設計Team writer 設計section　穴川　賢吉氏

ハードディスクドライブの記録密度向上に伴って、データトラックのトラック幅はますます狭小化されている。このような狭トラック幅では、データ書き込み時に隣接トラックにおいてデータ消去が発生する可能性が高くなり、問題とされる。このようなデータ消去を防ぐためには、主磁極の周囲に磁気シールドを配置して隣接トラックへの漏れ磁束を減少させることが有効である。一方、磁気シールドへ吸収される磁界が大きいと書き込み磁界が減少してしまう懸念が生じる。したがって磁気シールドデザインの最適化が重要といえる。
そこで磁気シールド構造を最適化するためにJMAGを用いた磁界モデリングを行った。それにより隣接トラックにおけるデータ消去磁界と書き込み磁界を最適化する磁気シールドデザインが主磁極周囲全面に磁気シールドを配置したフルラップアラウンドシールドであることを見出すことができた。
また、磁気シールド構造を含むwriter構造の変更は、JMAGのSOLIDWORKS連携機能を用いることで容易に行なえるようになった。現在は、最適化の自動化のためmodeFrontierとの連携を進めている。

CATIAモデルを用いたJMAG解析の簡便化
SMC株式会社　開発3部　主任　矢島 久志氏

現在、アクチュエータやセンサなどに永久磁石や電磁石が多く利用されており、空気圧メーカであるSMC株式会社のシリンダのオートスイッチや電磁弁、カードモータなどの製品に永久磁石や電磁石が組み込まれ、使用されている。
1980年代から盛んに研究されてきた有限要素法などによる磁界解析はコンピュータの性能とソフトの発達に伴い、より複雑な実機に近いモデルを短時間で計算できるようになり、研究だけでなく、製品開発する際の道具として使用されるようになってきた。
本発表では、製品開発において、磁界解析ソフトJMAGを用いて磁気回路を検討している事例を紹介し、特にCAD（CATIA Ver5）の3次元モデルをJMAGの解析モデルに使用することで、JMAG独自のモデル作成方法を習得することなく、簡便に磁界解析が行えることを述べる。

JMAG-Designerによるスピーカーの開発と設計への展開事例
オンキヨー株式会社　開発技術センター　主幹技師　豊嶋　吉英氏

当社では主にスピーカー用磁気回路の設計開発にJMAG-Designerを活用している。ここではJMAG-Designerの導入経緯と、設計ツールとしての展開事例について紹介する。
また、スピーカー以外の事例についても紹介する。

JMAG活用による自転車発電機－ハブダイナモの開発事例
株式会社シマノ　バイシクルコンポーネンツ事業部　システム開発部　藤原　岳志氏

当社では、自転車のライト点灯のために使われる発電機の設計開発にJMAGを活用している。発電機は前輪ハブに内蔵されており、一般的にはハブダイナモと呼ばれている。構造はダイレクトドライブの単相クローポール型発電機で、低回転域からの十分な発電特性が求められている。自転車部品であることから、小型軽量であることも求められており、ここではJMAGを使ったハブダイナモ設計の解析事例を紹介する。

モータHILSにおける最新技術についてのご紹介
Opal-RT Technologies, Inc.　Simon Abourida氏

OPAL-RT社は、株式会社JSOLと共同でモータ制御システム開発に携わるエンジニアの方々に向けて、最新のHILSシステムを提供してまいりました。昨年度のJMAGユーザー会では、FPGAを用いたJMAG-RT対応のモータHILSの概要について紹介をさせて頂きましたが、今年度は複数のインバータやモータの模擬や故障状態の模擬など、JMAG-RTを用いた最先端のモータHILSで搭載された新機能について説明をさせて頂きます。

モータ制御開発の為のモデルベース開発とHILSについて
dSPACE JAPAN株式会社　技術部　部長　宮野　隆氏

モデルベース開発（MBD）は電子制御ユニット（ECU）のソフトウェア開発の効率化、ソフトウェアの高品質化の手法として自動車業界を中心に浸透してきている。
このMBDでは制御器と制御対象をモデルで記述し、各プロセスでモデルを共有できるため開発の効率を上げる事が可能でき色々な分野で適用され始めている。本講演では、このMBD手法をモータ制御システム開発に適用する為に必要な機能と適用した場合のメリットについて特にHILS実現の為の機能を中心に説明する。

modeFRONTIER JMAG-Designer Direct Interfaceを使った最適化事例のご紹介
株式会社シーディー・アダプコ・ジャパン　インテグレーション技術事業部　インテグレーション技術部　リーダー　西田　青示氏

JMAG-Designerと多目的ロバスト設計最適化支援ツールmodeFRONTIERとを連成することにより、自動化、実験計画法を用いた統計分析、多目的最適化など様々な活用方法を通じて、多くのユーザー様の開発設計業務の支援をさせて頂いております。 昨年のJMAGユーザー会ではダイレクトインターフェイスの仕様のご説明とデモをご覧頂きました。今年は具体的な最適化事例として、以下の2つの事例をご紹介し、開発設計業務への適用イメージをつかんで頂きたいと思います。
（1）形状変更を伴う、トルク最大化・コギングトルク最小化多目的最適化事例
（2）正弦波磁束波形のためのパターン着磁の最適化事例

JMAG-Designerの拘束機能による効率的な形状モデリング
JMAG-Designerの形状作成機能は、バージョンを更新するごとに機能が追加されるだけでなく、使い勝手も向上しております。
本セミナーでは、形状を一から作成し、さらに寸法をパラメトリックに変更する事例をもとに、正しい拘束の設定方法や押し出しによる3次元手動メッシュ作成など効率的な形状作成やその注意点をご紹介致します。JMAGで形状作成する際のさまざまなテクニックを見ることができます。

JMAG-RT Viewerの利用法
JMAG-Designer10.5で新しくJMAG-RT Viewerというツールが加わりました。
このツールによって、これまで不可能であったRTモデルからの特性確認が可能になりました。
また、これまで手間も時間もかかったNT特性や効率マップを瞬時に求めることができます。
本セミナーではこのJMAG-RT Viewerの具体的な利用方法を紹介致します。
JMAG-RTを使用されている方もそうでない方も、またモータ設計者、制御設計者すべての方対象のセミナーです。

LCRとは何か？現象とその基礎（基礎編）
電磁現象を客観的に理解する上で、頻繁に参照される物理量の一つとして電気回路定数があります。
回路定数にはインダクタンスL、抵抗R、キャパシタンスCがありますが、これらの起源となる物理的なメカニズムは何でしょうか。
本セミナーでは身近にある電磁現象を取り上げて、その背景にある電磁気学にブレークダウンしながら、LCRの起源とそれらによる電磁現象の定性的・定量的な理解を図説を中心にご説明いたします。
身近にある電磁現象の中から、インダクタンスL、キャパシタンスC、抵抗Rの起源とこれらに関連する内容を図を交えながら解説致します。

LCRを評価する　解析による評価（実践編）
インピーダンス評価は、電磁界解析シミュレーションでよく挙げられる解析目的の一つですが、実際に測定結果と比較してみると、なかなか解析と一致せずに苦労されているというご経験はないでしょうか。
本セミナーでは、解析で評価できるインピーダンスや実際の測定状況にあわせたモデルング法、結果評価法について、事例を通してご紹介致します。

JMAG-Designerを使いこなす- 設計業務の効率化をサポートするJMAG-Designer –
多数の設計パターンを解析し、比較検討する際。繰り返しの操作や計算に多くの時間を費やしていませんか?この時間はJMAG-Designerを使いこなすことで短縮できます。
本セミナーでは、時間を費やしてしまった具体的な事例に対して、JMAG-Designerのどういった機能が時間短縮に有効なのか、実際に操作しながらご紹介します。

JMAG-Designerの特徴的な機能とV11新機能のご紹介
JMAG-Designerの新バージョンV11をリリースします。V11では、1. パフォーマンス改善、2.JMAG-Studio機能差分解消、3. JMAG-Designer特有の新機能 と全方位的に機能追加しています。
本セミナーでは、V11新機能だけでなく、リリース済みの特徴的な機能も含めてご紹介します。

「JMAG-StudioユーザーのためのJMAG-Designer講座」- JMAG-StudioとJMAG-Designerの違い –
JMAG-StudioからJMAG-Designerへの移行を検討されている皆様。「JMAG-Studioの資産は活用できる?」「JMAG-Studioで使っていた機能はどこにある?」など、不明な点お持ちではないでしょうか。
本セミナーでは、JMAG-Designerのデータ管理や機能が、JMAG-Studioとどのように違い、どのように改善されたのかご紹介します。

JMAG-Designerスクリプト講座（基礎編）
「スクリプト」と聞くと、難しい印象を持たれていませんか。本セミナーでは、その場で実際にスクリプトを作成し、JMAG-Designerスクリプトの基礎とコツをじっくりご紹介します。また、モデル作成から解析実行、レポート作成まで一連の流れをスクリプトで実現した複雑な事例も解説します。
スクリプトの経験がない方はもちろん、JMAG-Studioスクリプトに精通した方々にもJMAG-Designerスクリプトの作りやすさをお伝えします。

モータテンプレート作成講座
モータテンプレートという機能をご存知でしょうか？「使ったことはある」という方も、モータテンプレートの真の能力にお気づきでしょうか。モータテンプレートは、用意されたテンプレートに寸法を入れて形状を作成するだけの機能ではありません。「テンプレートそのものをユーザーが定義できる」という機能こそがモータテンプレートの真骨頂なのです。
本セミナーでは、「テンプレートをユーザーが定義する」ことで何が実現できるのか、実際にテンプレートを作成しながら解説いたします。テンプレート作成に一度は挑戦してみたけど、挫折してしまったという方もこの機会に作成方法をマスターしませんか？
ノートPCをお持込みいただいた方には、期間限定でJMAG-Designerのライセンスを貸し出しますので、一緒にモータテンプレートの能力を体感しましょう。

音・熱・振動／マルチフィジクス解析の現実とこれから
高効率設計などが求められる昨今、数値シミュレーションも高度なものが要求されてきており、その答えの1つにマルチフィジクス解析が挙げられます。JMAGを含めたコマーシャルソフトの多くはこれが可能です。
が、、、現状は、関連するモデルデータ間の物理量を適切に変換したり、連携するタイミングを整えたり、という注意深い作業が必要となり、これらは解析専任者の高い技術力と精神力によって実現している場合がほとんどではないでしょうか？
本セミナーでは、このように広く世の中で行なわれているマルチフィジクス解析の現状や問題点を紐解くと共に、JMAG-V11での最新情報をご紹介いたします。さらに機能強化されたJMAGを感じてください。

電動機の振動騒音解析に対するJMAGの取り組み
電動機の振動騒音低減に対する開発ニーズは高まり、シミュレーションによる低減設計が期待されています。
しかし、実測データや経験に裏打ちされたノウハウがあって初めて精度が良い解析が行えるのが現状で、振動騒音の解析技術が一般化しているとは言いがたい状況です。
精度の高い振動騒音予測が容易に行える解析技術を提供するため、 芝浦工業大学、エルエムエスジャパン、JSOLで共同研究に着手しました。
現在、電動機の実稼動状態での振動騒音を行い、解析との整合を検証しています。本セミナーではその経過について報告します。