JMAGをご活用いただいている学生の皆様に、ポスター発表をしていただきました。
この機会に、各教育機関でどのような研究がされているのか、JMAGがどのように活用されているのかを知ってみませんか?
ポスターは展示のほかに、解説として15-20分、プレゼンテーションをいただく時間をご用意しております。
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電気機器のさらなる高効率化のためには,磁気ヒステリシスを含む鉄損を定量的に算定可能な手法の確立が必要不可欠である。磁気ヒステリシスの表現手法のうち,現象論モデルの一つであるプレイモデルは,繰り返し収束演算が不要であり,計算時間の大幅な短縮が期待できることから,JMAGにも導入されるなど,近年注目を集めている。しかしながら,プレイモデルの導出には,最大磁束密度が異なる多数の直流ヒステリシスループが必要であり,これが実用上の大きなハードルであった。そこで本研究では, LLG方程式を用いて多数の直流ヒステリシスループを計算することで,必要最小限の実測データからプレイモデルを導出する。さらに,このLLG方程式を用いて導出したプレイモデルを,当研究室独自の解析手法であるリラクタンスネットワーク解析(RNA)に取り入れた鉄損算定手法を提案するとともに,本手法を用いてリアクトルの解析を行った事例について紹介する。
近年、自動車、ロボット、家電製品は、さらなる高性能化、多機能化のためにモータによる複数の動作出力を必要としている。しかし、モータは1つの出力しか取り出せないため、多出力が必要な機構には数多くのモータが必要となり、駆動システムの大型化・高コスト化が課題となっている。我々は、モータ搭載スペース削減のために、1つのステータと独立制御可能な2つのロータを有する2軸独立出力モータを提案した。しかし、このモータは6相インバータを使用していることから、2つの3相モータと制御相数が同じであり、駆動装置の小型化は実現していない。そこで、我々は5相インバータで駆動可能な2軸独立出力モータを提案する。本発表では、JMAG-Designerにより提案するモータの原理検証を行う。
このポスターは、新原理に基づく可変界磁PMモータの提案と実機検証に関する内容である。提案モータは集中巻ステータ構造において不可避に発生する空間高調波を可変界磁源に利用し、受動的な可変界磁機能を有する。ロータはN極とS極の1極対毎に、イメージポールを形成する構造を基盤とし、イメージポールに自励式巻線界磁極を備えている。試作機を製作し、受動的な可変界磁機能による性能改善効果および効率マップを明らかにしたので報告する。
可変磁束モータ(VFM)は高効率領域拡大や高出力密度化などの観点から次世代の自動車駆動用モータとして注目を集めている。発表者らは、VFMの中でも、固定子に配置された界磁巻線と永久磁石を併用して可変磁束機能を実現するハイブリッド界磁フラックススイッチングモータ(HEFSM)に着目し、研究を進めている。従来のHEFSMの問題点である効率改善のため、界磁巻線スロットの一部を低保磁力ゆえに磁化状態が容易に調節可能という特徴を持つ「可変磁力磁石」へ置き換えた新しいHEFSMを提案している。そのような可変磁力磁石を採用したモータ設計において、設計段階で可変磁力磁石の磁化状態の可変着磁特性を予測することは重要である。本発表ではJMAG-Designerを利用した、可変磁力磁石の材料データに基づく着磁解析の解析精度など検討結果について報告する。
近年のGPUの性能向上はめざましく、例えば2012年に発売されたNVIDIA Tesla K20では単精度演算性能が3.52Tflopsであったのに対し、2018年に発売されたNVIDIA Quadro GV100では14.8Tflopsと4倍以上の計算性能がある。
そこで本発表では、NVIDIA Quadro GV100を用いて、 CPU非並列、共有メモリ型並列、GPUを使用した解析の3つの手法で、IPM/SPMモータの過渡応答解析を行い、解析精度と解析時間について報告する。
誘導電動機を評価する際は、周波数応答解析より過渡応答解析の精度が優れている。一方、回路と連結した電圧駆動の場合、電磁鋼板の非線形磁気特性により定常解に達するまで膨大なステップ数が必要になる。効率マップの作成においては、評価動作点が多いだけでなく、動作点毎に最高効率となる駆動条件を求める必要がある。そこで、スーパーコンピュータ環境を利用した並列計算が有効であると考えられる。本ポスターでは東京工業大学のスーパーコンピュータである「TSUBAME」を活用した誘導電動機の損失評価及び効率マップ作成について紹介する。
近年、IPMSM(埋込磁石同期モータ)が電気自動車の駆動源として広く使用されている。電気自動車には静穏性・静粛性が求められる。しかし、IPMSMは振動や騒音を引き起こすトルクリプルを発生させる。したがって、トルクリプルを低減することは重要である。
トルクリプルを低減する制御の開発において、実機を検証し、制御を構築することは多くの開発期間が必要である。そのため、モータモデルを用いたシミュレーションによる制御開発が欠かせない。
本発表では、フィードフォワード制御によるトルクリプル低減を実機に即したモータモデルを用いてシミュレーションを行った。モータモデルにはJMAG-RTを使用し、MATLAB/Simulinkとの連携解析により低減効果を検証した。
自動車業界の電動化の動きに伴う搭載モジュール増加により、部品の小型化が求められている。発表者らはWBGのGaN/Si素子を用いて、ハイブリッド車における駆動用メイン高圧バッテリ電圧から補器系統用低圧バッテリへの電力を供給するLLCコンバータを採用した小型絶縁型DC-DCコンバータの研究を進めている。LLCコンバータはトランス通過後の低圧2次側高電流による損失低減が課題である。本研究ではこの対策として、2次側電流を分流するためのマトリクストランスを検討している。トランス構造には、コアサイズを縮小する磁束キャンセル法、及び多層プリント基板による巻線を採用し、2次側基板と一体化した小型トランスの設計、試作を行った。本発表では、JMAG Designerによるマトリクストランスの設計結果と、試作機による測定インダクタンス値の比較結果について報告する。