シミュレーションにより、電気機器の自動設計を実現したいと考えています。

最適な設計案を得るためには、設計空間を余すことなく探索し、候補の絞り込みをすることが必要です。
JMAGでは絞り込みの効率を上げるため、最適化エンジンの開発のみならず、設計変数が増えることにより発生する形状破綻を未然に防ぐ技術開発、ならびに多数計算ケースの同時実行性能の向上に取り組んでいます。
また、機器の小型化や高効率化が進むにつれ、磁気設計、熱設計、強度設計、絶縁評価、ならびに制御設計を同時に検討する重要性が増しています。
多面評価を簡便に実施可能な、新しいJMAG-Expressについてご紹介します。

これらのベースとなるシミュレーションには、実機に変わるだけの精度と、広域探索を実現するための速度の両方が求められます。
設計空間の広域探索に現状用いられる小規模解析の速度向上をはじめ、精度向上に必要な大規模計算を高速に行うためのソルバー高速化、並列計算機能の改良、およびプリポストプロセッサの操作性改良を進めています。
損失予測精度向上のため、材料モデリングの検討も継続しています。
加えて、複数の外部機関にもご協力をいただき、シミュレーション精度を確認するための実機検証を行っています。

機器の性能予測だけではなく、システムとの整合性も重要です。
各社ソフトウェアとの連携を推進するとともに、制御設計で活用いただけるJMAG-RTについて、損失モデルの高精度化を実現しています。

ソフトウェアパフォーマンスと機能開発の現状を含め、JMAGの開発ロードマップについてご説明します。

近年、自動車や航空機において、環境負荷低減のために電動化の動きが盛んとなっている。それに伴い、自動車や航空機の推進用モータに求められる性能も格段に高くなっている。したがって、これまで材料技術、解析技術や製造技術の著しい発展と共にモータ性能も向上してきたものの、更なる発展が求められている。そこで、本公演においては、自動車や航空機に使用されるモータにおいて、高効率化や高出力密度化を実現するための技術とその動向について紹介する。

Hyperloop technology uses electromagnetic propulsion system to propel vehicle travelling through tubes which contain steel tracks. The electromagnetic characteristics of the track have a significant impact on the performance of the system. Methods to analyze specific features of the track are presented.

大型変圧器では巻線に大電流が流れるため、タンクやフレームなどの構造物に生じる漂遊負荷損によって局部加熱を引き起こす場合がある。製品の品質向上には、これらの損失を精度良く予測する必要がある。
本講演では、大型変圧器に三次元磁界解析を適用した事例について紹介する。周波数応答解析と過渡応答解析の違いや並列計算の有用性について述べる。

広範な速度―トルク動作点が要求される車両駆動用モータにおいては、高効率駆動はもとより、連続定格を規定する駆動中の各部温度を設計段階で詳細に評価する必要がある。これにはモータ各部位の発熱量を分布として捉えるための３次元磁場過渡解析を行う必要がある。一方、本解析はモデル規模の問題から実用時間でこれを完了するには計算機性能を要求し、同様に計算機能力を要求するその他業務間での調整等、その活用には工夫を要するのが実状である。
今回、計算機能力を時間購入可能であり、設計過程で次々変化する計算規模・計算量要求に対し柔軟に対応可能なクラウドの可能性に着目する。クラウドの例として今回はMicrosoft Azureを使用、実際に3次元磁場過渡解析を行い、提供される計算機性能が本目的に対して活用可能か評価すると共に、これによる設計プロセスの効率化の可能性を考察する。

電磁ポンプなどに代表される交流ソレノイドの可動鉄心に純鉄系軟磁性細線を用いた鉄心を適用した事例を紹介する。交流磁界下では鉄心中に渦電流が生じることで可動鉄心の応答性が低下する。そこで渦電流を低減するため細線化した純鉄を束ねた鉄心を可動鉄心に用いた。JMAGによる細線径の最適化と可動鉄心の応答性への効果を解析した事例を紹介する。

モータはT-Nカーブがスペックを満足するだけでは十分ではなく、減磁解析や発熱等の多面的な評価を実施する必要があります。
本講演では、JMAGの最適化機能と熱解析機能を活用した、永久磁石同期モータの検討内容についてご紹介させていただきます。

高応答かつ小型化が求められるソレノイドバルブの設計において、シミュレーション上で”形状検討”と”応答性評価”の手法を構築したので紹介する。
“形状検討”は設計探査ソフトを使う事により、形状だけでなく、コイル諸元まで含めた設計パラメータ全てに対し、最良の形状を出した。
“応答性評価”は過渡的な流体力を考慮出来るよう、JMAGと1D-CAEの連成を行った。
始めにJMAG-RTによる計算速度重視の手法で候補を絞り、性能評価は精度重視のJMAG-Designerと連成する手法を用いた。
この”形状検討”と”応答性評価”の手法により、従来の開発プロセスに比べ、高品質な開発を短いリードタイムで実現した。

近年、環境問題を社会的背景として、航空機の環境負荷低減のため、内燃機関に代わる電動機に対する要求が急速に高まっている。弊社では、これら市場の要求に応える形で、NEDOの航空機用先進システム実用化プロジェクト 次世代電動推進システム研究開発「推進用電動機制御システム」に採択され、空冷式の高密度高出力モータの開発を行ってきた。本稿においては、そのモータ部の設計に、GAによる最適化解析を用いて評価した事例を紹介する。

モータの最適形状設計においては有限要素解析を繰り返し行う必要があり、計算時間の長期化が課題となっている。この課題を解決する方法として、機械学習を活用してモータの運転特性の高精度に表現する「代理モデル」が注目されており、有限要素解析を用いずに最適設計を行うことが可能となる。講演者らは、様々な磁石配置を考慮するため、深層生成モデルを活用した自動設計システムを提案した。本講演では、JMAGを活用したデータ生成とシステムの学習方法、最適化結果について説明する。

EV駆動用をはじめ、モータの高出力密度化が進められる中で、モータの発熱・冷却を制御することがますます重要になってきている。ただ、シミュレーションによってモータ伝熱を評価しようとしても、各部の伝熱特性や冷却過程を実態に即した形でモデル化することは困難である。実態に即したシミュレーションを実施するためには、実機の接触伝熱特性を実測して適用することに加え、主要な伝熱過程を考慮可能な解析モデルを構築し、伝熱特性として十分根拠のある経験値・文献値を適用することが重要である。
そこで当社では、部品間の接触熱抵抗や温度計測に対して当社の測定技術を適用し、簡易的な熱流体解析（CFD）を適用するなど解析モデル構築の工夫を行うことで、実機の状況に近づけたモータ熱解析モデルを構築した。そして、JMAGによる解析とモータ実機に対する温度測定結果を比較することで、想定される十分なレベルで双方の結果が一致することを確認した。
このように、当社は磁性材料の磁気測定に加え、モータ実機の温度や接触伝熱特性の測定といった「測定技術」と、シミュレーションによるモータの「解析技術」の双方によるアプローチを得意としている。これらの技術をモータの設計・開発プロセスに適用することで、部材の選定や効果的な抜熱・冷却機構の開発などに効果を発揮し、本検討対象のモータ実機の開発にも役立てることができた。

近年、自動車業界や各業界において環境性能(低炭素化)への要求は増加しており、電動化への対応は無視することができない状況にある。弊社も、電動トランスミッションの開発を進めているが、熱問題に対する技術の構築が大きな課題となっている。その解決策の一つとして、JMAGを用いた熱解析が挙げられる。JMAGでは、FEAと熱等価回路を組み合わせた手法が提案されており、この手法を弊社の事例に適用し、解析を実施した結果について報告する。

本発表では、Simulink/JMAG-RTで電流/磁気回路モデルを構築し、連成解析によりモータノイズの主要因となる電磁起振力の予測を行う。更に、ここにNastran構造伝達モデルを組み合わせ、起振力から車両伝達経路であるマウント振動までをつなげたNV開発プロセスについて紹介する。
このように、起振力から振動までをつなぐことで、モータ仕様や車両に至る構造伝達系など、制御を含んだ多角的な機能配分がモデルベースで実現可能となる。また、本予測プロセスを開発の初期段階から適用することで、より自由度の高いNV性能達成シナリオを構築することが出来る。

近年、モータの小型軽量化が進んだ結果、振動騒音抑制が大きな課題となっている。しかしながら、振動予測のための計算量は大きく、現在主流となっている磁界－構造連成解析では所要時間が掛かるため、有効な設計適正化実施は困難である。そこで、モータ振動を径方向の1自由度に限定（1D化）することで、メカニズム理解を容易にし、設計適正化の多ケース計算に耐える高速な簡易手法が検討されている。この一例として、突極単体に作用する加振力（加振力突極標本化）を磁界解析にて求めて、これを基準として振動値を求める簡易手法VMFS（Vibration prediction Method using excitation Force acting on Salient poles）の概要と、同手法を使用した電流高調波重畳および磁気回路適正化による振動抑制の事例を紹介する。

Hondaは、2050年にHondaの関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルを目指しており、幅広い製品の動力源のカーボンニュートラル化に取り組んでいます。四輪事業における電動車開発拡大の中で、CAEを活用した開発プロセスの効率化を推進してきたが、本講演では、RomaxとJMAG Designer を組み合わせたドライブユニットのモーターNV開発に活用している、磁気加振力の回転-空間次数分解による加振力評価、及び主な磁気加振力である、ラジアル方向・タンジェンシャル方向・トルクリプルの各成分による応答寄与解析について、弊社の取り組みを紹介する。

インライン測定機/検査機において、非接触センシングによる測定のニーズが高まっています。精度保証をする上で、センシング部を中心とした測定システムの設計及び調整は、非常に重要です。
従来、接触式のプローブを用いて、測定ワークとの位置・姿勢の調整・管理を行ってきましたが、非接触においては、それだけでなく、センサーの原理に応じた測定ワーク材質とのマッチングも重要です。
その精度設計をする上では、センサーの原理に基づいた可視化が必要と考え、シミュレーションソフトを活用することとなりました。
本件は、渦電流変位センサーの磁束密度と電流密度をJMAGを用いて、可視化した取り組みについて紹介します。

誘導加熱電源メーカーとして、過去の知見・経験値に基づくモノ作りをしており、設計→試作→実験ループからの脱却手法の一つとしてJMAGを導入いたしました。
昨今の環境負荷軽減やコストダウン要求なども導入目的となります。
導入間もないですが、JSOLサポート＆チュートリアルで基本操作・解析は可能となっており、現在は弊社特有の周波数オートチューニングをJMAG上で再現させるべく、検討を行っております。本発表では導入後どのようにJMAGの操作を習得したか、および周波数オートチューニングの検討状況について報告します。

フレキシブルデバイスは、柔軟で曲げられる電子部から構成される製品である。近年、その特長を活かして、折り畳みスマートフォン等の多くの機能的な製品が、様々な分野で開発されている。これらのフレキシブルデバイスは、低圧、有害ガス、水中などの特殊な環境でも、曲げる、折る、捻るなどの耐久試験が求められている。このような試験を行うためには、環境に合わせた密閉容器内にサンプルを設置する必要がある。本講演では、サンプルの非接触駆動が可能な磁石ユニットについて、JMAGを使用した開発事例を紹介する。

直流偏磁下での鉄損推定手法として、プレイモデルによる鉄損推定法が提案されている。プレイモデルは磁気ヒステリシスを考慮した鉄損推定ができるため、インバータ励磁下で発生するマイナーループによる損失推定にも有効である。プレイモデルを用いた鉄損推定を行うためには、多くの磁気ヒステリシスループを準備する必要がある。そこで、プレイモデルのために必要な磁気ヒステリシスループの測定法を紹介する。また、測定精度がプレイモデルの精度に及ぼす影響や、プレイモデルにおける課題について報告する。

自動車駆動用モータには低速・大トルク、広い定出力範囲に加えて、使用頻度の高い低トルク域での効率向上が求められる。従来から使用されている永久磁石型同期電動機(PMモータ)に対して、巻線界磁型同期電動機（巻線界磁モータ）を使用することで、中高速の低トルク域での効率向上を期待できる。一方、巻線界磁モータの設計においては、PMモータと比較して、電流のパラメータが１つ増える、ロータ鉄心の突極性が逆になるなどの相違点がある。
本講演では、JMAGを活用して、自動車駆動用を想定した巻線界磁モータのトルク・出力特性、効率を計算し、PMモータと比較した事例を紹介する。

公道を時速300kmで駆け抜ける世界一過酷で、世界一平均スピードの高いといわれるマン島TTレース。PSLを活用した解析の高精度化と高速化を両立した解析事例としてマン島TTレース向けの電動バイク用モータにおける高性能材（パーメンジュール）の適用効果を紹介する。

The electrification of aircraft is playing a significant role on the path to reduce the aviation industry’s environmental footprint. The industry poses specific challenges for the development engineers due to the strict requirements and design boundary conditions. Developing an electrical drive train which meets the high safety standards, the desired efficiency and power to weight ratio requires a multidisciplinary design approach to cover all the requirements and design aspects. In an agile environment different engineering teams often use different platforms / ecosystems (e.g. MATLAB, Simcenter, JMAG) to deliver the results in time and face the challenge of real-time simulation and test data exchange between the disciplines. The aerospace industry set the highest standards to the engineer regarding the design process and for validation and verification of the design results. By increasing the confidence of the simulation result, the effort we must invest into the certification tests can be reduced. In Rolls-Royce Electrical, we were able to develop a process to simulate the power electronics effect on the electrical machine at the earliest phase of the design by connecting JMAG and MATLAB-Simulink. A prototype electrical machine was built and tested and the test results – focusing on the losses - were compared with the simulation results for model variation both in case of sinusoidal and PWM load.

突極形塊状磁極同期電動機は、磁極に流れる渦電流によって誘導トルクが得られるため、インバータを使用することなく、単独で始動（直入れ始動）できるというメリットがある。このため、商用電源駆動のオイル＆ガスや鉄鋼プラントにおける大形コンプレッサやポンプなどの原動機として広く用いられている。始動時に流れる渦電流は、表皮効果によって磁極表面に集中するため、損失も表面に集中し、局所的な温度上昇が生じる。電動機を大容量化するにしたがって始動時間が長くなり、温度上昇も大きくなることから、いかに正確に損失と温度上昇を推定するかが、開発のキーポイントとなる。本稿では、始動時を模擬した磁界―熱連成三次元解析を実施し、電気特性や温度上昇を評価した。また、その結果を測定値と比較し、妥当性を評価したので報告する。

THSは、モータシステムと昇圧システムを組み合わせた電気システム構成となっている。従来は、各々単体で制御設計及び動作検証を行い、問題無い事を確認した後、組み合わせでの検証として車両評価を実施していた。しかし、単体では問題無かったものの、組み合わせて初めて発生する不安定現象が存在し、多くのやり直し工数が発生していた。そこで、高調波含めた電流、電圧の再現度が高いJMAG-RTを活用し、制御システム含めた過渡特性を明らかにする事で、机上で安定／不安定の判断が出来るようになった。結果、実機前に成立性が判断出来るようになり、実車評価工数も大きく削減する事が出来るようになった。

近年、MaaSのニーズが世界的に高まっており、従来と比較して自動車が走行する時間が長時間化すると予想されている。そのため、冗長性からくる安全性や信頼性が自動車部品に求められている。
その一つとして、シフト機構を従来の機械式から電動式に変えることで、自動駐車・自動運転時のシフトチェンジを自動化することを可能とするシフトバイワイヤアクチュエータ(以下、SiBW-ACT)が必要不可欠になっている。
そのため、アイシンはSiBW-ACTのモータ制御を冗長系の構成とすることで、高い安全性と信頼性を確保できるシステムを開発し、シミュレーション上でも実現した。この開発概要とモデルベース開発マネージメントのモチベーションについて紹介する。

地球温暖化を抑制し、CO2の排出を低減するため、自動車などの電動化が進展している。ハイブリッド自動車だけでなく、電気自動車の普及が世界的に進展しつつある。自動車駆動用のモータとしては、レアアース永久磁石を用いたIPMモータが多く適用されている。しかし、今後、自動車での需要が増加し、価格が上昇する恐れがある。そこで、誘導機を搭載した電気自動車が欧州、米国で生産されている。
本報告では、多相の誘導機の構造、特性、解析方法について報告する。誘導機は出力が大きいと効率が向上し、多相化するとさらに効率が向上する。しかし、誘導機の解析は原理的に容易ではない。

誘導加熱用コイルの製作にあたりJMAGを活用しています。
弊社では、「コイル設計⇒JMAGでの加熱状態確認⇒金属3Dプリンターでの造形」という流れが定着し、加熱コイルの開発期間の短縮や、無駄なコイルの製作数削減、熱処理仕様をより満足できるコイル形状の開発等、品質面・原価面に大変大きな貢献ができています。
また、JSOL社様のご指導・ご支援を頂き、加熱コイルにおける「トポロジー最適化＋金属3Dプリンターでの造形」に挑戦いたしました。
これにより、誘導加熱で最も重要な加熱コイルの設計・製作に対する難易度が大幅に下がることとなり、将来的に誘導加熱の世界に変革をもたらす可能性が検証できました。

誘導加熱では、コイルに電流が流れている為、コイルにかかる応力・ひずみ直接測定することは非常に困難です。しかし、コイルにかかる応力・ひずみはコイル破損モードに関係していると予測されています。
コイル破損モードは主に、①電磁力由来②熱応力由来の2つ構造連成解析が考えられる。
JMAG内で完結できる磁界-構造と磁界-熱応力の連成解析をそれぞれ行い、コイルにかかる応力・ひずみを予測した。
さらに、コイルの長寿命化するために最適化を行い、最適形状のコイルを探索した。

弊社は2050年カーボンニュートラルに向け、より環境にやさしい熱処理方法の提案として「超高速浸炭処理」を開発した。この技術は、高温処理を実現するための誘導加熱技術や浸炭処理雰囲気制御技術、さらに熱処理歪を低減するための冷却技術が重要となる。従来は現場でのTry & Errorが主であったが、CAE技術の精度向上によって効率的な開発が可能になってきた。
誘導加熱技術に関しては、JMAGをフル活用し誘導加熱コイルの設計や熱処理条件の検討について取り組んでいる。これまで、熱流体ソフトや最適化ソフトとの連携、昨年ご紹介したクラウドの活用等、CAE技術の向上とその環境構築によって、開発リードタイムの短縮に大きく貢献してきた。
本年度は、より高効率・高性能な加熱コイルの設計を短期間で実現するための手法としてクラウドを活用したトポロジー最適化について紹介する。

自動車駆動用モータの設計に求められる要件の高度化に伴い、今までの経験・知識に頼ったロータコアのレイアウト設計には限界が来ている。
弊社では2019年より、最良レイアウトを探査可能なJMAGのトポロジー最適化解析技術を自動車駆動用モータへ適用する取り組みを行ってきた。今回、JMAGの新機能により磁石の寸法パラメータとフラックスバリアのトポロジーを同時に最適化して求めることができることが可能となったことから、従来の計算結果を上回るような磁石の最適寸法や最適なフラックスバリア形状を見つけ出すことができるか確認を行った。本発表ではこの取組みの中で見つかった課題や解決案を中心に紹介する。

モーター・制御ドライバ等の性能を正しく評価するためには、シミュレーションに加え、高精度な計測器を用いた実証実験が欠かせません。横河計測は、実証実験における測定方法・データ処理の課題を解決して業務効率を上げる方法を、具体的な事例を交えてご紹介いたします。

近年、多くの企業では実機を用いないバーチャル環境を活用した開発が着実に広がりをみせています。
また、目まぐるしく変化する製品市場に対しタイムリーに製品投入するには、開発の初期段階よりシミュレーションを活用したシステム検討をして、品質を確保し開発全体の期間を短縮することが急務と言われます。
そして開発フェーズに合わせて適材適所でツールを活用することで開発の効率化が図れます。
本講演では、電動化対応製品を題材にシステム検討から実装までのワークフローをモーター制御に焦点を当ててご提示いたします。
その際、JMAG-RTとMATLAB、Simulinkとの連携による使いどころのポイントを交えて紹介します。

多目的ロバスト設計最適化支援ツール「modeFRONTIER」のユーザ様にはJMAGノードを広くご利用頂いておりますが、多ケース、グループ解析、効率マップスタディが未対応であり、またPSLについてはきめ細かな対応ができていませんでした。そこでこの度、新たにJMAGノードを開発し、これら諸問題の解決を図りました。本発表では機能の詳細なご説明とあわせて、操作感についてもお伝え致します。

モータの挙動は接続先の機械によって変化する。このため、1Dモデルで機械全体を表現することが有効であり、実際に近い結果を得る上では1Dモデル上での各部の詳細化は重要である。1Dモデル上での各部の詳細化として、誘起電圧マップを取り込んだモータや、ロータダイナミクスを考慮したシャフト、かみ合い剛性を考慮した歯車、非線形特性を考慮した軸受、3次元弾性体としてのケース・ハウジングを提案する。 一方で、回転機械の振動騒音低減は依然として重要な課題である。この課題に対し、1Dモデルをベースとして、誤差角を考慮した歯面の最適化による加振力の改良と、ノンパラメトリック最適化により求めた最適ケース形状の適用により、回転機械の振動騒音の低減を実現する解析フローを提案する。

Rescaleのクラウド HPC プラットフォームは、HPC-as-a-Serviceとしてクラウド上のHPC環境における様々な課題を容易に解決するソリューションです。JMAGをはじめとするシミュレーションアプリケーションを、設計者/解析者の方はWebブラウザを通してクラウド上で簡単に実施頂くことができ、最適化計算や連成解析にも対応しています。また管理者様向けには、エンタープライズで必要になる各種設定や証跡ログ、セキュリティを提供します。本セッションでは、 Rescale のクラウド HPC プラットフォームの特徴と最新のアップデートを紹介致します。

電気機器の設計では多くの性能要求を満足することが求められます。
要求を満足する設計仕様を決めるためには、広い設計空間を十分設計探査することが必要となります。設計空間を十分探査する方法として、多目的最適化計算が挙げられます。
多目的最適化計算は設計変数の数が多い程、計算中に形状破綻が発生し易い傾向があります。形状破綻が発生すると最適化が進捗せず、設計探査が進まないために良設計案が把握できなくなるという課題が生じます。良設計案を把握するためにはこの課題を解決することが必須となります。
本セミナーでは、はじめに多数の設計変数を持つモータを例に課題となっている形状破綻を回避し最適化計算を行う試みをご紹介します。併せて、広い設計空間から効率よく良設計案を見出す方法として機械学習を併用した設計探査事例についてもご紹介します。

トポロジー最適化は固定概念にとらわれない新たな設計アイデアを生み出す有効な機能です。JMAGではより高速で使いやすい機能になるように様々な改良が続けられています。
本セミナーでは、まだトポロジー最適化を使ったことがない方のためにトポロジー最適化の概要を説明します。特にトポロジー最適化の設計変数（ガウス基底）の数や配置、集団サイズ/子個体数が得られる結果に与える感度について事例を示し、適切なパラメータ設定の考え方について示します。さらに、得られたトポロジーを局所的に変更することで変化する結果から、トポロジーのメカニズムを考察する方法についても示します。
また、既にトポロジー最適化を使っている方にもぜひお勧めしたい機械学習を援用した高速化オプションや、パラメトリック最適化を援用してより造形しやすい形状に導く方法ついても紹介します。

電気機器の詳細設計を行う段階では、詳細形状のモデリングが必要になってきます。例えば、渦電流損失やAC銅損を精度よく求めようとすると、積層鋼板やコイルエンドを含む素線のモデル化が重要です。このようなケースでは要素数が非常に多くなり、解析に時間を要します。MPPやSMPによる高並列計算は、解析時間を短縮するために非常に有効な手段です。
近年、JMAGでは大規模モデルに対して高並列計算によるパフォーマンス向上やGUIハンドリングの向上を図ってきました。
本セミナーでは、最近のパフォーマンス向上の成果、解析事例ならびに高並列計算を行う際の留意点をご紹介します。

電気機器の最適設計を行うには、高精度な効率マップの生成、最適化計算、制御検証に用いる高精度プラントモデル(JMAG-RT)のファイル作成などが必要になります。これらの解析では多ケースの計算を行うことになるため、1ケースの解析時間は短くても全ケースの解析時間の合計は非常に長くなります。
したがって、クラウドなどHPC計算環境を利用した多ケースの分散同時実行によって解析時間の短縮を図る必要があります。JMAGでは、このような多ケースの分散同時実行のパフォーマンス向上を図ってきました。
本セミナーでは、最近のパフォーマンス向上の成果やHPC計算環境構築時の注意点をご紹介します。これから最適化計算やJMAG-RTなど多ケースの分散同時実行を検討されるかたはもちろん、すでにご経験がある方も是非ご参加ください。

モータ設計において重要な観点として、磁気特性と温度特性が挙げられます。
JMAGの磁界解析で得られた損失をシームレスに熱解析に受け渡すことで、磁気特性と温度特性の両方を高精度かつ同時に検討できます。
一方で従来のJMAGを活用したモータ設計において、熱伝達係数や接触熱抵抗の設定、熱回路の作成が難しいと感じておられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
新しいJMAGでは熱解析の機能が強化されており、従来難しかった設定、熱回路の作成などが簡単に行えるようになっています。
本セミナーでは、JMAGで熱解析を行う上での設定の考え方、および便利機能を紹介します。

本セミナーでは、2022年にJMAGに実装された新機能について幅広く取り上げご説明します。
概念設計においてシミュレーションを使った設計探査を可能にするため熱解析・電界解析の2次元ソルバをサポートしました。大規模寸法最適化で問題となる形状破綻を寸法範囲自動設定で解決しました。大規模詳細モデルに対して磁界解析だけでなく構造解析の高速化、熱連成においても高並列化に対応しました。
その他にも制御や効率マップ、材料モデリングなど様々な新機能を搭載しています。
ぜひ新しいJMAGを使用し、より良い製品づくりにご活用いただきたいと思います。

機器特性を詳細に把握するためには、磁性体の磁化特性を正確に表現する必要があります。
解析対象によっては軟磁性体の非線形性や磁石の不可逆減磁等といった基本的な特性だけでは足りず、更に詳細な磁化特性を考慮することで初めて機器特性を詳細にとらえられるような場合があります。そのような磁化特性の具体的な例としては、軟磁性体のヒステリシスや2次元磁気異方性、応力依存性、温度依存性、磁石の多段階の着磁や増減磁が挙げられます。本セミナーでは、これらの磁化特性のJMAG上でのモデリング方法と、その考慮の有無が機器特性に与える影響について事例を交えて示します。

磁気的に優れた設計案が必ずしも構造的に優れているとは限らず、電気機器設計では振動特性や応力の評価も必要です。
これらの評価において、振動特性の評価に用いられる固有振動数・固有モードは固有モード解析により求められますが、時間がかかりすぎるとう課題がありました。また接触を考慮した応力解析においては、収束性や精度に課題がありました。
そこで、JMAGでは固有モード解析のパフォーマンス向上や、接触解析の収束性および精度の向上にこれまで取り組んできました。
本セミナーではJMAGの構造解析機能を使用した事例の紹介を通して、固有モード解析のパフォーマンスや接触解析の精度について紹介したいと思います。

幅広い動作域で高効率が求められる自動車等の駆動用モータでは、モータ特性の評価に効率マップを活用した方法は大変有用です。ただ現状では実測に頼っていたり、シミュレーションを行うにしても評価点を数点に絞っていたりと、シミュレーションによる効率マップ作成はまだあまり実施されていないのではないでしょうか。今後は、より高精度な効率マップを作成するにあたり、モータ単体の特性で描くのではなく、駆動方式も含めたモータシステムでの描画が必要となります。
まずは制御を考慮した高精度効率マップ作成から始めてみませんか。
本セミナーでは、普段制御設計を行わないモータ設計者でもJMAGで用意しているマクロ素子を使うことで、PWM高調波電流に起因する損失を加味した高精度な効率マップを少ない操作で作成できることを紹介いたします。
JMAG-Designer Ver.22.0では、一般的な電流ベクトル制御に加え、空間ベクトル変調など制御方式も選択できるようになっていますので、それらの制御方式の違いが駆動用モータの効率マップに与える影響についても紹介します。

効率向上を議論する上で、鉄損計算の精度向上は欠かせません。
従来は電磁鋼板の損失密度特性を元に鉄損を評価してきました。しかし、それでは精度が十分でないことが増え、プレイモデルや1D法といった新しい鉄損計算手法を導入しました。これら新しい手法では、プレイモデルのための対称ヒステリシスループ群の準備が大変である、解析に時間がかかるといった課題がありました。そのため、JMAGでは使いやすさの向上を目指して様々な開発を行ってきました。
本セミナーでは、従来法と新手法の概要・使い分けを示した上で、新手法による鉄損計算を使いやすくするためのツールや計算処理の速度向上成果をご紹介します。

モータの概念設計でモータタイプや極数スロット数を変えた複数パターンの設計評価や磁気特性だけでなく熱特性による多面的な設計評価をシミュレーションで行うにはモデル作成や計算時間も理由となり難しいところがあるかもしれません。
Ver.22.0からJMAG-Designerの解析が簡易かつ高速に実行できるモードとして新しいJMAG-Expressが登場しました。
本機能を用いると、モータタイプや極数スロット数を変えた複数パターンの効率マップの比較検討と同時にコイル・磁石温度など熱特性も含めた磁気・熱の同時評価が可能となります。
概念設計の後は、本機能から最適化機能を使うことで設計空間の絞り込みなど概念設計から詳細設計へシームレスに移行することも可能です。
本セミナーでは以上の内容をデモを交えてご紹介します。

より高度な電気機器の設計を実現するために、設計ツールとして利用されるCAEにおいても単一の物理現象のみを扱うのではなく、熱や構造など、関連する様々な物理現象を連携して扱う機会が増えています。しかし、各CAEソフトウェアには得意とする物理分野があり、必ずしも1つのCAEソフトウェアのみで関連する全ての物理現象を扱うことができるとは限りません。
そのため、複数のCAEソフトウェアと連携して解析を行う方法が挙げられますが、JMAGだけでなく連携先のCAEソフトウェア双方の知識が必要になります。JMAGでは、CSVファイルなど直感的にわかりやすいファイルでJMAG以外のCAEソフトウェアと連携する方法を提案しており、それをJMAGオープンインターフェースと呼んでいます。
本セミナーでは、JMAGオープンインターフェースの仕組みを概説し、各物理分野のCAEソフトウェアとどのように連携するかを事例を交えて紹介します。

JMAG-RTでは、制御回路シミュレーションで利用可能な、有限要素解析をベースとした3相永久磁石同期モータなどの高精度プラントモデルを作成します。
作成したプラントモデルは制御アルゴリズムの検討だけでなく、モデルベース開発のV字サイクルの各工程に利用することができます。
概念設計ではシステムシミュレーションにおけるシステム成立性の評価、詳細設計では有限要素法を用いた詳細解析における早期定常化に活用することが可能です。また、JMAG-RTでは、プラントモデル生成時間の短縮やAC銅損を考慮するための機能など、開発も進んでいます。
本セミナーではこれらを合わせてご紹介します。

誘導加熱による焼入れは、表面硬化の方法として優れるだけではなく、CO2排出量削減の観点からも期待される手法であり、今後更に普及が見込まれています。しかし、加熱対象のワーク形状は複雑であるため、均一加熱や電源の制約などを満たすコイル形状を探索することは簡単ではありません。
JMAGには、トポロジー最適化、パラメータ最適化の機能が標準的に備えられており、 様々な制約や要求を満たす加熱コイル形状の設計探索の自動化が可能です。
本セミナーでは、加熱と冷却時間の制約を考慮した加熱コイルのパラメータ最適化の事例、 温度の均一性に加えて加熱効率(消費電力に対するワークのジュール損失比)を目的関数としたパラメータ最適化の事例、トポロジー最適化におけるCNN利用の効果の3例について紹介します。またこれらの計算に適したハードウェア環境やライセンス形態について説明します。