JMAGへの想い

JMAGの願いはより良いものづくりへの貢献です。それが革新的な発明であっても、僅かな改良であっても、私たちの達成感は変りません。むしろ、成熟した製品のほんの僅かな性能や生産性の向上の方が喜びは大きいかもしれません。工業製品は技術者の知の結集であり、長い時間をかけて改良を加えられてきた製品の更なる改良は大きなチャレンジだからです。私たちはものづくりが大好きです。

JMAGが誕生したのは大学の研究室ではありません。1980年代の初頭、あるメーカのエンジニアから“電磁石の吸引力を最適化したいのだが…”という電話が入りました。私たちは検討を重ね、有限要素法というコンピュータシミュレーション手法を見つけ大型汎用機で動くプログラムを作りました。長い時間をかけて計算を行い、そのエンジニアと磁気回路の検討を行いました。結果は大成功、製品は改良されました。私達は興奮し、すっかりシミュレーションの虜になってしまいました。そして、そのコードに“JMAG”という名前をつけました。JMAGの誕生です。JMAGはものづくりの現場で生まれたのです。
その後、JMAGの活躍の場はスピーカや洗濯機、工業用ロボットから現在のIT社会ではなくてはならない超高密度HDDシステム、そして、今後の環境問題の切り札となっているハイブリッドカーにまで広がってきています。

製品に要求される性能が高くなるにつれてJMAGが超えるべきハードルも高くなっていきました。ハードルを越えるために新しいシミュレーション技術の開発が求められました。私たちの電磁界解析技術はその厳しいチャレンジのなかで築かれ、そして、鍛えられました。私たちは自分のシミュレーション技術の高さは、論文などではなく、それを使って生み出される製品を通して表現したいと考えています。

どんなにシミュレーション技術が進んでもその結果がそのまま製品改良の解になることはないでしょう。開発に携わるエンジニアの経験と感性こそが優れた製品開発の決め手です。それでは一体どうやってシミュレーションはものづくりに関われるのでしょうか?シミュレーションはエンジニアの感性を磨くツールであると私たちは考えます。現実ではありえない大電流を流したらどうなるか、工作精度を上げたらどうなるか、材料の特性をかえたら、制御方法をかえたら…シミュレーションはエンジニアの発想を自由にし、アイディアを試し確認することができます。さらに、シミュレーションは実物では見ることができない磁束や電流の分布を見ることができます。これによってイマジネーションはさらに広がります。JMAGはエンジニアのイマジネーションを具現化するキャンバスと筆でありたいと思っています。

エンジニアの感性を表現するためには豊かで繊細な表現力が必要です。ですから私たちはJMAGに徹底した精度を求めています。製品設計が性能だけでなくコストや生産工程などとのせめぎ合いの果てのぎりぎりのバランスで成り立っていることを私たちは知っています。ですから安易なモデル化に私たちは同意しません。僅かな形状や材料特性、条件の違いをきちんと表現できる精度の高いモデル化が必要なのです。JMAGのモデルの精緻化の追及はこれからも続きます。

私たちはJMAGに自信を持っています。製品やその開発プロセスの改善に関わっているエンジニアに是非使っていただきたいと思います。JMAGの上にあなたのイマジネーションを展開してください。イマジネーションは拡がり新しいアイディアが生み出されるでしょう。