242 – 可動子の傾きを考慮した電磁弁の吸引力解析

アプリケーションノート・モデルデータ

概要

電磁弁は、鉄心を並進運動させて液体や気体の流入出量を調整するために用いられます。コイルに電流を通電すると電磁石が形成され、可動部と固定部との間に電磁吸引力が発生します。弁の開閉には高い応答性が求められるため、駆動に用いる電源や電磁弁が、要求される応答性や吸引力を満たすか否かは重要な評価項目となります。
電磁弁は油圧バルブやインジェクタに使用される場合が多く、可動子自体が高圧の液体中に置かれ流路抵抗を受けます。可動子はガイドを利用して運動するため誤差を有し、傾きを生じる可能性を持っています。傾きが生じた場合は、電磁吸引力にアンバランスが生じるため、その力が調心に働くのか悪化する方向に働くのかは事前に確認する必要があります。
傾きが生じた時の吸引力の変化や、可動子に発生したアンバランスな力が調心に働くのか、悪化する方向に働くのかを事前にFEAを用いて検討することは有益です。
ここでは、可動子の各位置において、傾きの有無による電磁力への影響を確認した事例をご紹介します。

可動子の位置と傾き

可動子の位置と傾きを図1に示します。可動子の位置はギャップ長が3.6(mm)、1.9(mm)、0.2(mm)の3水準としています。それぞれの位置で可動子の傾きあり、なしの比較を行っています。傾きの中心軸は可動子の位置に依存せず常に座標を固定し、傾き角度は2(deg)としています。

電磁力への影響

可動子位置ごとの傾きによる吸引力を図2、傾きの中心軸周りのトルクを図3に示します。
図2より、ギャップ長3.6(mm)では傾きはほぼ吸引力に影響ありませんが、1.9(mm)では吸引力が20(%)も増加し、0.2(mm)では吸引力3(%)減少していることが分かります。
図3に示すように、傾きありの場合はギャップ長が短くなるにつれてトルクが大きくなっていることが分かります。本例題ではトルクの正の向きと傾きの方向を一致させているため、可動子に発生したアンバランスな力が傾きを悪化させる方向に働いていることが分かります。

電磁力分布

それぞれの位置での可動部付近の電磁力分布を図4~図6に示します。
図4に示す通り、ギャップ長3.6(mm)では傾きによる電磁力の変化はほとんど見られません。
一方で図5に示す様に、ギャップ長1.9(mm)では傾きによって固定鉄心と可動鉄心が近づいている箇所で電磁力が大きくなっていることが分かります。これにより、吸引力が増加しています。
図6に示すギャップ長0.2(mm)では、可動子の傾きによって電磁力が移動方向ではなく真横に働いています。吸引力の減少は、これが原因であることが分かります。

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