薄膜ヘッド磁界解析における問題点-メッシュ作成の難しさ-

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富士通株式会社 ストレージプロダクト事本 ファイル研究部 田河 育也

概要

製品が多様化し、しかも製品サイクル期聞が半年か一年程度しかない情報関連分野(パソコンおよび周辺機器)においては、開発期聞を短縮しなければ生き残れない状況にあり、しかも開発に携わるスタッフ数も決して多くない。このような状況下では、開発期間の短縮化に効果的なシミュレーションによる設計がますます重要となってきている。
筆者らにおいても、ハードディスク装置のメカ、サーボ、スライダー、へッド、メディアなどのすべての要素分野において多少なりともシミュレーションによる設計が行われている。これらのうち、メカの強度設計やスライダー浮上設計などは応力や流体力学の解析であるので、有限要素法の得意分野であり、早くから有限要素法による設計が行われていた。これに対してへッドやメディアといった磁界解析分野では、有限要素法はほとんど取り入れられていなかった。
しかしながら、記録周波数が急激に高くなりつつある現在では有限要素法を用いる必要性が生じてきている。
付け加えておくが、メディアについてはいまだに有限要素法はほとんど使用されておらず、おそらく今後とも市販の有限要素法ソフトが使用されることはないと思われる。これは、メディアにおいてはマクスエルの方程式だけではまったく不充分であるためで、これは有限要素法の限界ともいえるものである。最近のハードディスク用磁気ヘッドにおいても、磁気抵抗型の再生用ヘッド(MRヘッド)については同様であり、有限要素法を適用することは困難である。
ただし、幸いにも、記録用ヘッドについてはもうしばらくはマクスウェル方程式などのマクロな場の解析だけで十分である。

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