[JAC189] 衝突を考慮したインジェクタの動作時間解析

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概要

エンジンに使用されるソレノイド式インジェクタは、電磁石の磁力によりプランジャが移動することで弁が開き、燃料を噴射します。エンジン用のインジェクタは流量のばらつきを抑え燃費を向上させるなどの目的で、印加電圧に対する高い応答性が求められます。
ソレノイド式インジェクタの場合、応答性を下げる要因として、通電により発生する磁束が時間変化することによる渦電流があげられます。渦電流は磁束の変化を妨げる方向に発生しますので、通電開始時からの吸引力の立ち上がりが遅くなり、応答性が下がります。また、開閉時にプランジャが衝突して跳ね返ることは、開閉動作の妨げとなります。
JMAGでは過渡応答解析を実施することで、渦電流や、プランジャの衝突の影響を考慮したインジェクタの応答性を求めることができます。渦電流が発生している箇所を特定することで、応答性を向上させるのにはどうしたらよいか、検討することができます。
ここでは、ソレノイド式インジェクタに直流電圧を印加し、渦電流と衝突の影響を考慮した上で応答特性を求めています。

プランジャの位置とコイル電流

渦電流と衝突を考慮した場合の、時刻に対するプランジャの位置とコイル電流の比較を図1に示します。プランジャ位置は開弁方向を正とし、位置100(μm)で弁が全開になり、位置0(μm)で弁が閉じた状態です。時刻が4(ms)まではコイルに電源電圧を印加し続けるためコイルの電流値は増加していきます。4(ms)から6(ms)の間は弁が全開の状態を最低限の電流で保持する為に、コイル電流を0.25(A)に保つよう電圧を制御しています。6(ms)からはコイルに電流が流れないよう制御しており、燃圧、バネ、プランジャ重量により弁は閉じていきます。

電流密度分布

通電開始の0.05(ms)時、弁が開く方向へプランジャが移動する2.2(ms)時、弁が閉じる方向へプランジャが移動する7.1(ms)時 の電流密度分布を図2に示します。プランジャの移動方向が弁の開く方向です。コイルに通電することにより、コア、ヨーク、プランジャに渦電流が発生します。通電開始時は、磁束が急激に流れるため渦電流が各部品の表面に集中しますが、電源が直流であるため、時間経過とともに渦電流は部品内部にも流れるようになります。これらの渦電流が応答性を下げる要因となります。

応答特性の比較

渦電流と衝突の考慮の有無による、時刻に対するプランジャの応答特性の比較を図3、吸引力特性を図4、電流特性を図5に示します。プランジャの位置は開弁方向を正とし、位置100(μm)で弁が全開になり、位置0(μm)で弁が閉じた状態です。
図3より、渦電流と衝突を考慮した場合、衝突によりプランジャが3.2(ms)付近でバウンドしているのが分かります。また、渦電流と衝突を考慮した場合、渦電流と衝突を考慮していない場合と比較して応答性が遅くなっているのが分かります。
応答性が遅くなっている原因は、吸引力の低下です。図4より、渦電流と衝突を考慮した場合は、渦電流と衝突を考慮していない場合と比較して吸引力が低下していることが確認できます。
電流特性ですが、渦電流と衝突を考慮した場合、渦電流と衝突を考慮していない場合と比較して、電流値が大きくなっているのが確認できます。原因ですが、弊社から提供させていただいているアプリケーションノート「66 – インジェクターの動作時間解析」に記載されていますので、そちらをご参照ください。
図3より、時刻7(ms)からは弁が閉じる方向へとプランジャが移動します。この時、渦電流が磁束を発生させプランジャの移動を遅らせます。また、プランジャが衝突して跳ね返ることにより、弁の開閉に更に時間を要することが分かります。

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