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概要
プラスチックマグネットは磁性粉と樹脂バインダーを混ぜたペレットを成形した磁石のことです。製造方法により圧縮成形や押出成形、射出成形があります。プラスチックマグネットは軽量で高強度であり、形状自由度が高く、量産性に優れているという特徴があります。
磁気特性が高い異方性プラスチックマグネットは磁場配向の必要があります。そのためには、金型内の製品キャビティに磁場配向に必要な磁束を発生させるため磁気回路を組みます。
キャビティに発生する磁束が磁場配向に必要十分な大きさを得られること、均一でかつ平行な磁束が得られること、そして、それらをなるべく小さいサイズで形成することが磁気回路の設計要件となります。また、磁気回路の部品のなかではマグネットの価格が高いので、マグネットを小さくするとコストダウンの効果があります。
簡単な磁気回路の場合は手計算で求めることができますが、キャビティに発生する空間磁束密度の分布や角度などを詳細に求めるには、FEAが有効です。また、要求機能を満たしつつ形状を最小にする最適設計ではトライアンドエラーになることが避けられず、時間的なコストもかかるため、最適化ツールと組み合わせた解析の自動化も広く活用されています。
ここでは、リング形状マグネット製作時に使用するラジアル磁場配向金型の磁気回路最適化の事例をご紹介します。
磁気特性が高い異方性プラスチックマグネットは磁場配向の必要があります。そのためには、金型内の製品キャビティに磁場配向に必要な磁束を発生させるため磁気回路を組みます。
キャビティに発生する磁束が磁場配向に必要十分な大きさを得られること、均一でかつ平行な磁束が得られること、そして、それらをなるべく小さいサイズで形成することが磁気回路の設計要件となります。また、磁気回路の部品のなかではマグネットの価格が高いので、マグネットを小さくするとコストダウンの効果があります。
簡単な磁気回路の場合は手計算で求めることができますが、キャビティに発生する空間磁束密度の分布や角度などを詳細に求めるには、FEAが有効です。また、要求機能を満たしつつ形状を最小にする最適設計ではトライアンドエラーになることが避けられず、時間的なコストもかかるため、最適化ツールと組み合わせた解析の自動化も広く活用されています。
ここでは、リング形状マグネット製作時に使用するラジアル磁場配向金型の磁気回路最適化の事例をご紹介します。
最適化条件
図1に最適化条件として設計変数と目的関数、制約条件を示します。
設計変数はマグネットの半径a、高さfとし、ヨークの高さをeとしました。マグネットの体積πfa^2 が最小となるように目的関数を設定しました。
制約条件はキャビティに発生する磁束密度BがX軸方向に対して成す角度と、Bの大きさに対し閾値を指定しました。本事例では角度をX軸に対し誤差±3(deg)の範囲の値で、Bx値を0.4(T)以上とする2つの制約条件を設定しました。
設計変数はマグネットの半径a、高さfとし、ヨークの高さをeとしました。マグネットの体積πfa^2 が最小となるように目的関数を設定しました。
制約条件はキャビティに発生する磁束密度BがX軸方向に対して成す角度と、Bの大きさに対し閾値を指定しました。本事例では角度をX軸に対し誤差±3(deg)の範囲の値で、Bx値を0.4(T)以上とする2つの制約条件を設定しました。
最適化計算結果
図2と図3に最適化で導いた応答値から、sizeに対するdegx_thetaとBminのグラフを示します。Bminとdegx_thetaの制約条件を満たしていないケースはグラフに含めていません。
初期値を赤色、最適値を黄色で示しています。赤色で示した初期値は、マグネットの体積を示すsizeがおよそ6,300(mm^3)です。一方、黄色で示した最適値はマグネットの体積が555(mm^3)となり、初期値に対し1/11程度に小さくなることがわかります。なお、図2と図3で示した最適値は同じケースです。
図4に初期形状と最適形状の磁束密度コンターとフラックスラインを示します。キャビティの磁束密度はBmin、degx_thetaのいずれの制約条件も満たし、平行で均一な磁束密度が得られることが確認できます。
表1に変数a、e、f各値の初期値と最適化で得られた値を示します。