192 – 電磁弁の残留磁化を考慮した応答特性解析

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概要

電磁弁は、コイルに電流を通電することで電磁石を構成し、磁性体に生じる電磁力等(吸引力)を利用して、弁体を動かします。特に、弁体に高速な応答性を要求する製品では開閉弁の応答時間が評価指標となり、渦電流など応答性を低下させる要因を予め調べておく必要があります。
ここでは、磁性体に生じた残留磁化が応答性に与える影響を調べるための手順と事例を紹介します。

応答性

残留磁化を考慮した場合と考慮していない場合を比較した全体の応答性グラフを図1、開弁時の応答性を図2、閉弁時の応答性を図3に示します。
図1より、残留磁化を考慮した場合としていない場合では、開弁時と閉弁時で応答性が異なっていることが分かります。図2と図3より、残留磁化を考慮した場合に応答性が下がっていることが分かります。

弁時の応答性

残留磁化を考慮した場合、応答性が悪くなっている原因について考察します。開弁時のY軸方向の吸引力を図4、電流値を図5に示します。Y軸方向の吸引力は下がり電流値は上がっていることが確認できます。
本件での吸引力の低下原因は磁束の流れ方の違いによるものです。図6に開弁時の磁束を示します。残留磁化を考慮した場合は、考慮していない場合と比較し、磁束が減少していることが分かります。これは、残留磁化の影響ではなく、開弁時の磁化特性の扱いが違うことに起因します。
図7に開弁時に用いた磁化特性を示します。残留磁化を考慮した場合は初磁化曲線を、残留磁化を考慮していない場合は正規磁化曲線を用いて解析しています。正規磁化曲線(残留磁化考慮なし)を扱うケースでは、図7から分かるように電流通電時に容易に磁束が発生します。その結果、Y軸方向の吸引力が増加し、初磁化曲線(残留磁化考慮あり)と比較し、弁の応答性が良くなります。
なお、残留磁化を考慮していない場合、残留磁化を考慮した場合と比較して吸引力は大きくなっていますが、電流値は小さくなっています。本事例の場合、図8に示すとおり、正規磁化曲線(残留磁化考慮なし)を用いた方が、磁束が多く流れることにより逆起電力が大きくなっています。そのため、図9に示すとおり、開弁時の単位電流あたりに発生する磁束量を見ると、残留磁化を考慮していない方が単位電流あたりに発生する磁束量が大きくなっています。そのため電流値は小さくても吸引力は大きくなっています。
上記より、開弁時に応答性が下がる原因は、残留磁化の影響ではなく磁化特性の扱いの違いであることが分かります。

閉弁時の応答性

閉弁時の0.005s時の磁化のコンタープロットを図10に示します。残留磁化を考慮した場合は、閉弁時、ヨークに磁化を帯びていることが確認できます。ヨークの残留磁化により、吸引力が維持されていることが図11より確認できます。その吸引力が働いていることにより、弁の移動が阻害され応答性が低下しています。

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