[W-SE-74] アダプティブ機能を用いた電磁力計算

目次
1. 背景
2. 電磁力精度改善のためのいくつかの方法
3. 電磁力誤差の発生要因
4. アダプティブ解析を用いた電磁力計算
5. 結論
6. 参考文献

1. 背景

電気機器設計において電磁界解析を行うモチベーションの一つに電磁力の評価がある。しかしながら、主磁束が空間中に広がり、その場を僅かに乱すような擾乱が混入した場合、時に電磁力のつり合いがとれない事態が発生する。図1の磁石とテストピースのモデルはその典型的な事例である。磁化100,000A/mの磁石の作る場が空間中を支配しており、その中に比透磁率2.0のテストピースがその場を僅かに乱している。図2のメッシュを用いて、磁石に作用する電磁力とテストピースに作用する電磁力の誤差を求めると51.5%となる。ここで、電磁力の誤差は、テストピースに作用する電磁力と磁石に作用する電磁力の差の絶対値を、テストピースに作用する電磁力の絶対値で除して、相対値として算出している。2次元の単純な問題にして51,472要素ものメッシュで計算しているにも関わらず、50%以上もの誤差となってしまうほど厄介な問題なのである。
本報告では、この電磁力誤差の発生要因を明らかにするとともに、アダプティブ解析がその解決方法になることを示す。なお、電磁力の計算方法としては表面力法、節点力法があるが、いずれも本質は同じであるため節点力法を例にとって話を進める。

図1 磁石とテストピースのモデル図1 磁石とテストピースのモデル

図2 メッシュ分割図(要素数:51,472)図2 メッシュ分割図(要素数:51,472)
51,472要素の分解能をもっても電磁力の釣り合いに51.5%の誤差が生じてしまう。

2. 電磁力精度改善のためのいくつかの方法

有限要素法においては一般にメッシュ解像度が高いほど計算精度は良いとされている。従って、メッシュを細かくすることは真っ先に思いつく改善法の1つである。図2のメッシュを基準に、一様にメッシュを細かくした際のメッシュ分割図を図3(a)(細分割A)に、さらに一様にメッシュを細かくした際のメッシュ分割図を図3(b)(細分割B)に示す。細分割Aの要素数は130,376であり、このメッシュを用いた際の電磁力の誤差は8.2%であった。細分割Bの要素数は444,818であり、このメッシュを用いた際の電磁力の誤差は6.4%であった。共にメッシュ数は増大しているにも関わらず依然5%以上の誤差が生じている。

(続く)

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