概要
このような要求を満たすには、実際の形状ベースで解析ができるFEAを使用した最適化を実施することが有効です。さらに、トポロジー最適化は初期形状に依存しない探索が行えますので、自由度の高い最適化結果を得られます。
ここでは、on/off法を用いて、ステータティース先端部の領域全体を設計領域とし、平均トルクを最大化、トルクリップルを最小化するステータティース形状を探索します。
最適化条件
図1に設計領域、表1に目的関数を示します。
図1に示す通り、トルクおよびトルクリップルへの影響が大きいと考えられるステータティース部を設計領域としています。
最適化結果
トルクの平均値とトルクリップル率の相関図を図2、高トルクかつ低トルクリップルである範囲を拡大したものを図3に示します。図3では、最良ケースとしてトルクの平均値が最大であるA点、トルクリップル率が最小であるB点を記載しています。
最良ケースA、Bのトポロジー最適化形状を、それぞれ図4および図5に示します。
トルクが最大となる最良ケースAではティース内部の材料はすべて電磁鋼板で形成されています。また、スロット開口部があることがわかります。それに対して、トルクリップルが最小となる最良ケースBではティースは全周にわたりつながっておりスロット開口部はありません。
感度解析
ティース形状がトルク特性へ与える影響を確認するために、最良ケースについて感度解析を実施します。
トルクの平均値が最大である、最良ケースAについて考えます。表2に解析パターンを、図6~図8に解析結果を示します。Aパターン1とAパターン3の比較より、スロット開口部の有無がトルク特性に与える影響は小さくことが分かります。Aパターン2はティース先端の端部が厚く、スロット開口部とのパーミアンスの変化が急峻となりトルクリップルが増加していると考えられます。Aパターン4では磁石磁束がティース先端部で短絡しており、平均トルクが減少していると考えられます。
トルクリップル率が最小である、最良ケースBについて考えます。最良ケースBはAパターン3と似た形状となっているため両者を比較します。表3にAパターン3と最良ケースBの形状を、図9~図11に解析結果を示します。Aパターン3の方が鉄の領域が多く磁束が流れやすいため、最大トルクが増加しています。一方で回転逆方向に力が働く磁束も流れやすくなるため、トルクリップル率が増加したと考えられます。