概要

一方で、小型化や高周波化により漏れ磁束が増加し、結合係数の低下や損失の増加を招きます。そのため、トランスの設計を検討する際には、電磁界解析が有効です。高周波領域で支配的になる寄生キャパシタンスを考慮した電磁界解析を行うことで、自己共振周波数の把握や、高周波帯域におけるインピーダンスの変化を評価することが可能です。
ここでは、LLC共振型コンバータ用トランスを例に抵抗やインダクタンスの周波数特性を得るためのモデル化について説明します。
2次側オープン時の抵抗、インダクタンス
2次側オープン時の抵抗を図1、インダクタンスを図2に示します。
変位電流を考慮することで、抵抗およびインダクタンスが増加することがわかります。特に30(MHz)付近からの増加が顕著になります。
高周波領域では寄生キャパシタンスの影響が支配的となり、周波数が共振点に近づくと、インダクタンスとキャパシタンスの合成インピーダンスが急激に増加します。その結果、測定される実効インダクタンスが見かけ上大きくなる現象が生じます。


2次側ショート(上部コイル)時の抵抗、インダクタンス
2次側ショート(上部コイル)時の抵抗を図3、インダクタンスを図4に示します。
抵抗は周波数の上昇に伴い増加し高周波帯では変位電流の影響が大きくなります。インダクタンスは周波数の上昇に伴い、10〜30(MHz)付近で一時的に低下し、その後急激に増加する傾向を確認できます。10〜30(MHz)付近で低下するのはコイル内に発生する渦電流が漏れ磁束を打ち消すことによりインダクタンスが減少するためです。一方で周波数がさらに上昇すると寄生キャパシタンスの寄与が顕著となりインダクタンスは急激に増加します。


2次側ショート(下部コイル)時の抵抗、インダクタンス
2次側ショート(下部コイル)時の抵抗を図5、インダクタンスを図6に示します。
抵抗は周波数の上昇に伴い増加し高周波帯では変位電流の影響が大きくなります。
インダクタンスは周波数の上昇に伴い、10〜30(MHz)付近で一時的に低下し、その後急激に増加する傾向を確認できます。10〜30(MHz)付近で低下するのはコイル内に発生する渦電流が漏れ磁束を打ち消すことによりインダクタンスが減少するためです。一方で周波数がさらに上昇すると寄生キャパシタンスの寄与が顕著となりインダクタンスは急激に増加します。


電流密度分布、電界分布
電源周波数10(MHz)における電流分布を図7、電界分布を図8に示します。
図7より、巻線の角部に電流が偏在していることがわかります。これは表皮効果による影響であり、電流の偏在により巻線の有効断面積が減少し、結果として抵抗が増加します。
さらに、図8からはポリイミドと一次側コイル間の寄生キャパシタンスが大きいことが分かります。特に高周波領域では、この傾向が顕著になります。


計算コスト

計算に要したコストについて、表1で表します。


