モータドライブ

電気機器の進化に伴い、モータドライブ開発にも新しい方法論が望まれています。モータ設計と制御設計を協調して行うモデルベース開発はその有力な候補の一つです。”JMAG-RT”はモータ設計者が設計したモータの特性をそのままにプラントモデルを作成し、制御シミュレーター、システムレベルシミュレーター、リアルタイムシミュレーターに取り込んだモデルベース開発を完成させます。

  • リアルなモータ特性を取り込んだモータドライブシステム開発
  • モータドライブシステム開発の手戻りの削減、効率化
  • MILSによる制御アルゴリズムの検証
  • HILSによるDSP、ECUの動作検証・不具合対策

JMAG-RTについてはこちら icon-arrow-circle-o-right

モータドライブ

V字開発サイクル

V字開発サイクル

JMAG-RTモータモデルをSIL/HILで利用することで、初期段階から信頼できる設計が行えます。
また、実機を待つことなく、モータ設計直後に組み合わせテストを行えます。
JMAG-RTは、FEAの結果から作成されたモデルです。モータ設計、回路設計、制御設計などの各部門で同一のモデルを用いることができます。

SILS/MILSでのJMAG-RT利用

JMAG-RTを利用すると、モータ設計部門の3Dモータモデルは1Dのプラントモデルとして、制御シミュレーター上に継承されます。
制御シミュレーター上では理想モータを使用した場合とほぼ同じスピードでJMAGによる詳細なモータ特性を活用することができます。

事例:駆動中にインバーターのIGBTが破壊

モータドライブシステムのECUのテストケースとして断線による故障検知が挙げられます。インバータの配線の一部が断線した場合、モータに異常な電流が流れます。この例では、U相上アームが0.05秒で短絡している様子がわかります。また、3相それぞれにアンバランスな電流も確認できます。
事例:駆動中にインバーターのIGBTが破壊

対応しているシステムレベルシミュレータ

会社名 プロダクト 国名
The MathWorks, Inc.  MATLAB/Simulink USA
Gamma Technologies GT-SUITE USA
Siemens Industry Software S.A.S. LMS Imagine.Lab Amesim Belgium
MapleSoft MapleSim Canada
National Instruments  LabVIEW/VeriStand USA
Powersim Inc. PSIM USA
Synopsys, Inc. SaberRD USA
ESI ITI GmbH SimulationX Germany

HILSでのJMAG-RT利用

モデルベース開発において、実機が無い状態でのシステムの動作検証、不具合対策を可能にするHILSの重要性が高まっています。
HILSではリアルタイムシミュレータ上でモータモデルを実速度で演算することにより、コントローラから見てあたかも実際のモータを駆動しているような状態を作り出します。
しかし、リアルタイムシミュレータで演算するモータのプラントモデルが実際のモータと異なる振る舞いをしてしまってはHILSが有効に機能せず、システムの動作検証、不具合対策が行えません。
JMAG-RTは、高精度プラントモデル“JMAG-RTモデル”をリアルタイムシミュレータに導入することで、モデルベース開発におけるHILSによるシステムの動作検証、不具合対策を可能にします。

事例:HV駆動用モータドライブシステムECUの制御アルゴリズム検証とテスト

HV用駆動モータドライブシステムのECUはエンジンとモータのパワーバランスを最適に制御することが求められます。
この例では、詳細度の低いモータモデルを使用した場合、低回転数域ではトルクを過大評価、高回転数域では過小評価しています。JMAG-RTを使用することで、制御アルゴリズムの詳細な検証、テストが可能になります。
事例:HV駆動用モータドライブシステムECUの制御アルゴリズム検証とテスト

対応しているリアルタイムシミュレータ

会社名 プロダクト 国名
dSPACE Japan 株式会社 ASM Germany
株式会社デンソーテン CRAMAS Japan
OPAL-RT Technologies Inc. RT-LAB Canada
ディエスピーテクノロジ株式会社 RTSim Japan
株式会社エー・アンド・デイ  HELIOS Japan
Speedgoat GmbH  SWITZERLAND
Typhoon HIL  USA
Concurrent Real-Time Inc.  USA

JMAG-RTモデルでモータサプライチェーンを効率化

JMAG-RTモデルにはそのモータがどの様な形状であるか、どのグレードの電磁鋼板や磁石を用いているかなど、モータの知的財産に関する情報は含まれていません。
また、JMAG-RTモデルを作成するモータ設計者が項目ごとに情報の公開の許可/不許可を設定することもできます。
そのため、重要な情報を秘匿して異なる企業間でプラントモデルの受け渡しを可能にします。
この結果、これまでの仕様書や実機による製品動作の確認作業が不要になります。
JMAG-RTは動作検証可能な仕様書としてJMAG-RTモデルを市場に流通させることで、新たなサプライチェーンを創出し、モータドライブビジネスを大きく加速します。
JMAG-RTモデルでモータサプライチェーンを効率化