電力トランス
パワートランスに関する問題には、基本特性を満足するといった設計に関するものだけでなく、試験や保守に関わるものも多く含まれます。 例えば、大容量化に伴う漏洩磁束は、タンクにおける局所的な漂遊損失を生じます。巻線の絶縁耐性は、局所的に発生する最大電界により決める必要があります。 また、電磁力や磁歪に起因する振動現象は形状や磁束分布が影響します。
JMAGは現象を可視化することで要因分析を進めやすくします。また、測定が難しい、物体内部の温度上昇や騒音の定量評価を可能にします。
評価項目
磁気飽和、渦電流、誘起電圧、漂遊損失、鉄損、磁歪力、電力、効率、温度、電界
事例/機能
鉄心に発生する漂遊損失
短絡試験における鉄心の損失分布を示しています。巻線端部からの漏れ磁束が鋼板の面内に垂直に入ることで表面に渦電流が生じていることが分かります。この漏れ磁束が運用時の局所的な発熱を引き起こします。磁化特性や導電率に異方性を与えることで、積層構造の鉄心における磁束や渦電流の振る舞いを正しく捉えます。
鉄心に発生する鉄損分布
変圧器は鉄心に方向性電磁鋼板を使用するため、解析では、容易軸と困難軸ごとに材料特性を定義します。額縁形積層鉄心では、脚部と継鉄部がVノッチ状にジョイントする継目付近に方向性電磁鋼板の異方性が効いてきます。鉄損解析の解析結果は、継目付近に損失が集中することを示しています。
コアに発生する鉄損分布
コア形状に応じた鉄損分布を確認できるだけでなく、鉄損を構成するヒステリシス損失とジュール損失に分けることで、それぞれの寄与度を評価します。
JMAGの機能 : 異方性磁化特性
方向性電磁鋼板に対して、容易方向と困難方向にそれぞれ磁化特性、鉄損特性を定義します。
漏れ磁束と漂遊損失の評価
磁気回路として評価が難しい漏れ磁束を正確に捉え、タンク壁に生じる漂遊損失を評価します。 損失分布を見ることで、タンク形状やトランスとの最適な位置関係を考慮した設計が可能です。
JMAGの機能 : 薄板メッシュ
タンクや遮蔽板などに対して層状メッシュを自動生成します。
JMAGの機能 : ディフィーチャリング
ステップラップ鉄心などの複雑形状を簡略化します。
絶縁耐久性を評価
局所的な電界分布から、巻線を含むトランスの絶縁耐性を評価します。
JMAGの機能 : 電界解析
巻線間に働く電界強度から絶縁耐性を計算します。
発熱現象
コアの鉄損、巻線の銅損、タンクの漂遊を熱源とした熱解析により、コアやタン壁などにおける温度分布を確認します。
JMAGの機能 : 磁界と熱の連成解析
部品各部で生じた銅損、鉄損および漂遊損を発熱源とした温度を求めます。
振動/騒音
コアに発生する電磁振動と磁歪振動をそれぞれ求めることで、振動現象に対する寄与度を比較します。
JMAGの機能 : 磁歪特性
磁束密度に対する歪量を定義できます。
磁界と構造の連成解析、LMSVirtual.Lab連携により、部品各部に働く電磁力、ローレンツ力、磁歪等価力を加振源とした振動、騒音が評価できます。
巻線に発生する電磁力の評価
電力投入時に発生する過渡的な電流は、巻線に対して大きなローレンツ力を発生します。また、絶縁皮膜の局所的な摩滅を予測評価します。
JMAGの機能 : 電磁力の計算
コイルを流れる電流に働くローレンツ力、コアに働く電磁力を計算します。