目次
1. 背景
2. 自動メッシュ生成機能の耐久性の評価
2.1 自動メッシュ生成の耐久性の総合評価
2.2 自動メッシュ生成の失敗原因別の評価
3. 課題
4. 参考文献
1. 背景
近年、コイルエンド等の複雑な形状をモデリングして詳細なシミュレーションを⾏うことが増えており、シミュレーションで⽤いるモデル形状としてCAD データを⽤いることが必須になってきている。CADデータを⽤いたシミュレーションの作業フローにおいて⾃動メッシュ⽣成でトラブルが⽣じると、メッシュが切れない原因の調査を⾏った後、⾃動メッシュ⽣成の設定の修正や場合によってはCAD モデル形状の修正が必要となり、作業効率は著しく悪化する。そのため、⾃動メッシュ⽣成の耐久性向上に対する要求は⼤きい。
JMAG にはメッシュを⾃動で⽣成する⾃動メッシュ⽣成機能が備わっている。我々はユーザーのニーズに応えるため、⾃動メッシュ⽣成機能の研究開発、改良に取り組み続けている。上記で挙げた⾃動メッシュ⽣成機能の耐久性向上についても重要な課題として継続的に取り組んでいる。そこで、本資料ではJMAG の⾃動メッシュ⽣成機能の耐久性について評価する。
2. 自動メッシュ生成機能の耐久性の評価
本章では、自動メッシュ生成機能の耐久性について評価した結果を示す。前半では、自動メッシュ生成の耐久性の総合的な評価結果を示し、後半では、自動メッシュ生成の失敗原因別の評価結果を示す。
2.1 自動メッシュ生成の耐久性の総合評価
最初にJMAG-Designer Ver.15.0~Ver.18.0での自動メッシュ生成機能の耐久性を評価する。自動メッシュ生成の耐久性を測るため774件のテストデータを用意した。テストデータの多くは過去に自動メッシュ生成に失敗するということで報告されたデータである。図1に機能別の成功率の推移を示す。
各バージョンでの主な改善内容は下記のとおりである。
- Ver.15.0以前:部品間の干渉の自動解消、接触面の認識精度向上、曲面の要素サイズ自動調整
- Ver.15.0:自動ヒーリング機能の追加、細長い面・薄い部品・微小ギャップを含むケースの改善
- Ver.16.0:テストカバレッジの増加による品質向上
- Ver.17.0:形状誤差が含まれるモデルに対する積み上げメッシュの耐久性向上
- Ver.18.0:NURBS曲面の扱い方の修正、周期境界面の対応面探索の改善、微小面を含むケースの改善
バージョンが上がるにつれて全ての機能において成功率が向上しており、耐久性が少しずつではあるが向上していると言える。上記の各バージョンでの改善内容に応じて、Ver.17.0では積み上げメッシュの成功率が8%程度向上、Ver.18.0ではセミオートメッシュや拡張スライド・パッチメッシュ機能の成功率が向上している。機能別でみると拡張スライド、パッチメッシュの成功率が他の機能に比べやや低いため改善が期待される。(続く)
外形形状に僅かな差がある接触面の例
曲面の箇所でメッシュの交差が生じる例
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