[W-MB-65] JMAG-RT3次元モデルの必要性

目次
1. 背景
2. モータ特性にみる2次元、3次元モデルの違い
3. 次元補正とその限界
4. まとめ

1.背景

モデルベースデザインのモータドライブシミュレーションでは高精度プラントモデルが欠かせない。JMAG-RTなどを用いることで電磁界FEAモデルから高精度プラントモデルを生成することができる。しかしモデルベースデザインで用いられるプラントモデルには実機相当の精度が求められる。これはモータ設計でFEAに求められる精度とはレベルが異なる。
一方、自動車駆動用モータなどでは高出力密度化、小型化により回転機の薄型化が進んでいる。それにより従来回転機の電磁界解析で適用されてきた2次元モデルによる近似が成り立たなくなる。これはプラントモデルの精度に対しても影響を及ぼすことになる。
本報告ではプラントモデル生成における3次元FEAモデルの必要性について解説する。

2.モータ特性にみる2次元、3次元モデルの違い

ここでは薄型モータにおけるモータ特性の違いをみていくことにする。図1,表1に対象となるモータ仕様を示す。2次元、3次元FEAモデルを準備し、その特性を比較する。
図2にインダクタンスマップを示す。3次元モデルのほうが2次元モデルにくらべインダクタンスが高いことがわかる。これは3次元モデルではコイルエンドがモデル化されており、エンド部分のインダクタンスを考慮しているためである。
図3にトルクマップを示す。電流振幅が高い領域では2次元モデルが3次元モデルに対して高いトルクを示している。これは2次元モデルでは磁気飽和時でも軸方向に磁束が漏れることがなくトルク寄与分が高いためである。一方3次元モデルでは磁気飽和による漏れ磁束の影響を考慮できていることになる。
図4にNT特性を示す。2次元、3次元モデルでは異なるカーブを描くことがわかる。低速大トルク域では磁気飽和が生じておりトルクマップの違いがNT特性にあらわれている。一方弱め界磁領域では磁気飽和は生じていないが、3次元モデルではインダクタンスが高いため電流が下がり結果としてトルクが2次元に比べて低い結果となっている。同じモータであっても3次元効果を取り込むことでモータ特性が変わってしまうことが確認できる。プラントモデルの実機相当の精度要求に対して3次元FEAモデルの重要性がわかる。
プラントモデル生成のために3次元FEAモデルを使用する場合、その生成時間が長くなる課題がある。これに対しては各動作点のFEAを分散して実行することで生成時間の短縮をはかることができる。図5に3次元FEAモデルからプラントモデルを生成時、ジョブを分散させて生成時間を短縮化した結果を示す。(続く)

(a) 2次元モデル
(a) 2次元モデル

(b) 3次元モデル
(b) 3次元モデル

図1 IPMモータ

(a) 2次元
(a) 2次元

(b) 3次元
(b) 3次元

図3 トルクマップ

(a) 鎖交磁束補正係数
(a) 鎖交磁束補正係数

(b) トルク補正係数
(b) トルク補正係数

図6 補正係数
補正係数は電流振幅、位相に対して複雑に分布している。

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