速く、力強く、正確に工作物を削り込む最高手法を探し、つくる
−先生の研究室の名前は「精密計測加工学研究室」となっていますが、これはどのような学問領域なのですか。
松原氏
機械でものをつくる機械加工と、その道具である工作機械に関する研究を行っています。工作機械は、ものをつくるための機械をつくる「マザーマシン」といわれ、科学技術や産業の発展を支えてきました。
わたしたちは、ものをつくる機械を自らつくり、それを使って各種の素材を実際に削ったりして加工の速さや強さ、精度などの関係を探求しています。
いわば、マザーマシンで “速く、力強く、正確につくる”にはどうしたらよいのかを研究しているわけです。
−まさに近代のものづくりに貢献した道具を極(きわ)めようというのですね。
松原氏
よく知られていることですが、蒸気機関の品質向上に貢献したウィルキンソンの中ぐり盤や、加工能力を飛躍的に高めたモズレーの旋盤などのマザーマシンが、産業革命とその後の発展を支えました。そして1950年代に入ると、コンピュータに入力された位置情報に基づいて加工がなされる数値制御(NC:Numerical Control)技術の活用が本格化します。これによりマザーマシンは、旋盤の技術をベースとして主として工作物が回転して加工されるターニングセンターと、フライス盤をベースにして回転する刃物が工作物を加工するマシニングセンターへとそれぞれ進化を遂げました。特に日本では、数値制御のマザーマシンが大量生産・大量消費社会を支えるとともに、高度成長による人件費の増加に悩む日本産業界に自動省人化という競争力をもたらしたのでした。
さらに加工物が多様化したり、複雑化したりするのに併せ、制御軸数を2〜3軸(水平移動X、Yと上下移動Z)から5軸(X、Y、Zに傾斜Tと回転Rなどを加えたもの)以上に増やした多軸制御工作機械が開発され、CAD(Computer-Aided Design)やCAM(Computer-Aided Manufacturing)といったIT技術とも融合するようになり、従来は複数の加工機を必要とした工作物を1台の機械でつくれるようになりました。
ものづくりの現場ではまず、「丸ものは旋盤で」とか「角ものはフライス盤で」と教えますが、多軸制御機とITが融合するようになって単純な話ではなくなってきました。工具と工作物の位置と姿勢を自在に操れるようになったことで、従来は想像さえしなかった加工プロセスが可能になり、削りにくい材料も使えるようになってきたのです。
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