186 – 2周波を用いた歯車の高周波焼入れ解析

アプリケーションノート・モデルデータ

概要

歯車は歯どうしが接触する歯面の耐摩耗性を確保するため表面の硬度を増しつつ、歯全体の靭性を保ち、粘り強さをもつ部品とする必要があります。表面硬化法のひとつである高周波焼入れであれば、高周波電源を用いることで歯の表面のみを局所的、急速加熱することができます。また、電気設備なので作業環境がクリーンであり、高効率、かつ、ロットでの焼入れのばらつきも少ないなど多くのメリットがあるため、積極的に導入が進んでいます。一方で、歯車の表面を均一に加熱するには、加熱コイルの形状・配置、電流周波数や大きさの調整など検討すべき要素は少なくありません。
高周波の変動磁場により生じる渦電流は歯の表面に偏り、温度上昇に伴い材料特性も大きく変わります。詳細な現象を扱うためには有限要素法に基づく数値解析で発熱量を予測することが必要です。
ここでは、歯底は低周波で、歯先は高周波で加熱します。歯の表面に沿った均一な焼き入れをするため、コイル形状の妥当性は温度分布より評価します。

歯車の渦電流損失密度分布

歯車の表面および歯先のカット面の渦電流損失密度分布を図1に示します。渦電流損失密度分布は低周波と高周波の両方で結果を示します。各カット面は歯幅の2分の1の位置でのXY面カット表示です。コイルにより生じた磁界によって歯車に渦電流が発生します。表皮効果により渦電流は歯車の表面に分布します。
周波数の違いで渦電流損失分布が変化していることも確認できます。低周波では歯底に、高周波では表皮効果により渦電流は歯車の表面や先端部に分布します。

歯車の温度分布と温度変化の時刻特性

歯車の温度分布を図2、歯先の温度変化の時刻特性を図3に示します。温度分布から、渦電流によって歯の表面が発熱していることが確認できます。
図3からもコイル形状による発熱の差を確認することができます。また、各温度測定点での温度が、2.0(sec)付近でキュリー点である800(deg C)を超えることも確認できます。

磁束線図

磁束線図を図4に示します。コアから歯車上面に磁束が流れていることが確認できます。

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