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概要
モータの高効率化および高出力化を実現するためには、モータ各部での温度上昇を把握することが重要です。これは、温度上昇に伴いコイル抵抗や磁石の磁化特性が変わり、モータ特性に大きな影響を及ぼす可能性があるためです。
実機では部品ごとの温度を把握することは困難ですが、シミュレーションでは簡単に部品温度を得られ、温度上昇による特性の変化も考慮できます。部品の温度上昇を考慮する解析の方法として、磁界解析と熱解析の連成解析を行う方法と、熱等価回路を利用した磁界解析を行う方法があります。連成解析の場合、温度分布を得られるため詳細な評価ができます。熱等価回路を利用する場合、温度分布を評価することはできませんが、簡単かつ高速に温度上昇を考慮した磁界解析が可能です。
ここでは、熱等価回路を利用した磁界解析を行い、磁石の減磁による平均トルクの変化を確認します。
実機では部品ごとの温度を把握することは困難ですが、シミュレーションでは簡単に部品温度を得られ、温度上昇による特性の変化も考慮できます。部品の温度上昇を考慮する解析の方法として、磁界解析と熱解析の連成解析を行う方法と、熱等価回路を利用した磁界解析を行う方法があります。連成解析の場合、温度分布を得られるため詳細な評価ができます。熱等価回路を利用する場合、温度分布を評価することはできませんが、簡単かつ高速に温度上昇を考慮した磁界解析が可能です。
ここでは、熱等価回路を利用した磁界解析を行い、磁石の減磁による平均トルクの変化を確認します。
熱等価回路
図1に熱等価回路を示します。
損失は発熱素子で表現します。熱源は銅損と磁石の渦電流損とします。
熱等価回路で計算したコイル温度がコイル素子にフィードバックされます。コイル素子は抵抗値に温度依存性を持っており、銅損の値が更新されます。コイル温度のフィードバックと銅損の更新を繰り返し、熱平衡時の部品温度を求めます。
磁石は渦電流損による発熱と、部品やエアギャップを介してコイルから伝わる熱により減磁します。
損失は発熱素子で表現します。熱源は銅損と磁石の渦電流損とします。
熱等価回路で計算したコイル温度がコイル素子にフィードバックされます。コイル素子は抵抗値に温度依存性を持っており、銅損の値が更新されます。コイル温度のフィードバックと銅損の更新を繰り返し、熱平衡時の部品温度を求めます。
磁石は渦電流損による発熱と、部品やエアギャップを介してコイルから伝わる熱により減磁します。
部品温度、銅損
熱平衡時の熱等価回路と各素子の熱流量ベクトルを図2に示します。
初期温度時と熱平衡時のコイル温度、磁石温度、ケース温度、銅損を表1に示します。
図2より、磁石からロータコア、シャフトを経由してケースへ伝熱して周囲の空気へ放熱していることがわかります。磁石と放熱経路の温度は表1より、周囲の空気は20(degC)、ケース温度は134.5(degC)、磁石温度は136.1(degC)です。ケースと磁石の温度差は小さいため、磁石の温度上昇の原因は主にケースから周囲の空気への放熱が小さいことであると判断できます。
表1より、コイル温度の上昇に伴い銅損も増加していることがわかります。本解析では電流指定で駆動しているため、温度により電流は変化しません。すなわち、温度によってコイルの電気抵抗および銅損が増加しています。
平均トルク
初期温度と熱平衡時の平均トルクを図3に示します。
熱平衡時に平均トルクが低下していることがわかります。前述の通り温度により電流は変化しないため、平均トルクの低下は磁石の熱減磁によるものと判断できます。
熱平衡時に平均トルクが低下していることがわかります。前述の通り温度により電流は変化しないため、平均トルクの低下は磁石の熱減磁によるものと判断できます。