261 – 正弦波着磁を得るためのSPMモータ磁石の保磁力最適化

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アプリケーションノート・モデルデータ

概要

モータは一般的にギャップの磁束密度を正弦波に近づけると高調波成分が抑制され効率が良くなります。ギャップの磁束密度を正弦波に近づけるために、SPMで使用しているマグネットの保磁力を局所的に変える方法があります。しかしながら、マグネットの適正な保磁力をトライアンドエラーで見つけ出すことは困難です。このような場合、最適化を用いることで効率的に保磁力分布を求めることができます。
ここでは、マグネットをブロックに分けてそれぞれの保磁力を定義します。最適化により誘起電圧波形が正弦波に近づくように各ブロックの保磁力を求めます。最適化で得られた保磁力分布とした時と、全て同じ保磁力分布の場合の電圧波形を比較します。

ロータの着磁

対象とするモータの極数は4です。したがって、1極分の角度は90(deg)となります。
1極は10(deg)ごとに9分割したマグネットブロックを使用します。なお、それらは径方向に着磁されています。
図1にロータ磁石の配向方向を示します。

空間磁束密度の評価

図2に空間磁束密度の評価について示します。
無負荷の状態でロータを固定させた時の空間磁束密度を求めます。
正弦波に近いかを評価するために、信号の歪みの程度を表す全高調波歪(Total Harmonic Distortion、以下THD)を使用します。THDは高調波成分全体と基本波成分の比ですので、THDが小さいほど誘起電圧波形が正弦波に近くなります。
マグネットブロックごとに異なる保磁力を設定し、THDを評価します。

最適化条件

図3に設計変数とするマグネットブロック、設計変数の範囲、目的関数を示します。
設計変数は各マグネットブロックの保磁力とし、最小値と最大値で探索の範囲を示します。
THDを最小とすることが第一の目的になりますが、空間磁束密度が低くなり十分なトルクが得られないことを防ぐため、fundamentalを最大化するように制約を与えます。
これらを満たすことで、発生する磁束密度は最大でかつ、正弦波に近い波形となります。
前述のギャップの磁束密度の評価式のfundamentalを最大に、THDを最小にすることを目的関数として設定します。

パレートカーブ

図4に最適化結果のパレートカーブを示します。
緑で示した点は初期設計案、青で示したところは最適化で得られた結果です。ここでは、パレートカーブ上にある設計案のうちTHDが最小の設計案を採用しています。最適化で得られた設計案は初期に比べfundamental、THDともに小さくなっています。

マグネットブロックの保磁力

図5に最適化で得られた青の点でのマグネットブロックの保磁力を示します。
グラフより、極中心付近の保磁力が高くなっていることがわかります。

初期ケースと最適ケースのTHD

表1に初期と最適化のTHDを示します。
初期に比べ最適化ではTHDが1/2以下の値となっています。このことから、最適化ケースは初期ケースに比べ基本波に対する空間高調波の割合が低く、正弦波に近い波形であるといえます。

空間磁束密度波形

図6に径方向の空間磁束密度波形を示します。
空間磁束密度波形のピークや肩の凹みは磁石の位置や角度の影響があると考えられますが、マグネットブロックの保磁力分布を最適化したことにより、空間磁束密度が正弦波に近い波形となったことが確認できます。これは前述の表1の結果と一致します。

誘起電圧波形

図7に誘起電圧波形、図8に誘起電圧の周波数成分を示します。
前述のTHDと空間磁束密度波形の評価結果と同様に、最適化により正弦波に近くなっていることが確認できます。

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