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概要
表面磁石型モータ(SPM)ステータと対向するロータ表面に磁石が配置され、磁石が発生する磁界と、励磁コイルが生み出す磁界との相互作用でトルクを発生します。無負荷回転で生じるコギングトルクは磁石の着磁状態によって大きく左右されます。磁石の着磁パターンを調整する事で、効率低下や振動・騒音の要因となるコギングトルクを低減することが出来ます。
実機において磁石内部の磁化パターンを思いのまま制御するためには、多くの着磁器での試行が必要となるため、現実的には困難ですが、有限要素法を用いた磁界解析シミュレーションであれば、着磁パターンを設定するだけで実現象のコギングトルク等がどのように変化するかを推測することができます。最適な磁化パターンを事前に見つけてから、着磁方法を検討することは開発コストの低減につながります。
ここでは、ラジアル異方性とパラレル異方性、極異方性の磁石を用いて、磁石の表面磁束密度を求めます。そして、着磁パターンの違いによる誘起電圧、コギングトルクの変化を確認します。
実機において磁石内部の磁化パターンを思いのまま制御するためには、多くの着磁器での試行が必要となるため、現実的には困難ですが、有限要素法を用いた磁界解析シミュレーションであれば、着磁パターンを設定するだけで実現象のコギングトルク等がどのように変化するかを推測することができます。最適な磁化パターンを事前に見つけてから、着磁方法を検討することは開発コストの低減につながります。
ここでは、ラジアル異方性とパラレル異方性、極異方性の磁石を用いて、磁石の表面磁束密度を求めます。そして、着磁パターンの違いによる誘起電圧、コギングトルクの変化を確認します。
表面磁束密度
ラジアル異方性とパラレル異方性、極異方性の表面磁束密度をそれぞれ図1に示します。なお、ラジアル異方性とパラレル異方性は、肩落ちが10deg、20deg、30degの場合の比較を行っています。極異方性は、極中心までの距離を変えた場合の比較を行っています。
着磁方向による比較をすると、ラジアル異方性は台形に近い形をしていますが、パラレル異方性と極異方性はより正弦波に近い波形をしています。これより、ラジアル異方性に比べ、パラレル異方性や極異方性の方が、誘起電圧および鎖交磁束の波形が正弦波に近いと推測できます。
また、ラジアル異方性とパラレル異方性の場合は、肩落ちの角度が大きいほど正弦波に近くなっていることがわかります。
極異方性の場合は、極中心までの距離が大きくなるほど台形波形から正弦波の波形に近づいています。しかし、r=16.35mmの波形は45deg付近で磁束密度が高くなっているためrの値は15.35mm程度がよいと考えられます。
着磁方向による比較をすると、ラジアル異方性は台形に近い形をしていますが、パラレル異方性と極異方性はより正弦波に近い波形をしています。これより、ラジアル異方性に比べ、パラレル異方性や極異方性の方が、誘起電圧および鎖交磁束の波形が正弦波に近いと推測できます。
また、ラジアル異方性とパラレル異方性の場合は、肩落ちの角度が大きいほど正弦波に近くなっていることがわかります。
極異方性の場合は、極中心までの距離が大きくなるほど台形波形から正弦波の波形に近づいています。しかし、r=16.35mmの波形は45deg付近で磁束密度が高くなっているためrの値は15.35mm程度がよいと考えられます。
誘起電圧、鎖交磁束およびコギングトルク
ラジアル異方性およびパラレル異方性、極異方性の誘起電圧を図2に、鎖交磁束を図3に、コギングトルクを図4に示します。
それぞれの誘起電圧の波形を比較すると、表面磁束密度波形からも推測できたように、ラジアル異方性の波形は台形に近い形をしているのに対し、パラレル異方性と極異方性の場合はより正弦波に近い波形をしています。鎖交磁束も同様です。
また、肩落ちの角度および極中心までの距離による比較でも、表面磁束密度からわかるように肩落ちの角度が大きい、もしくは極中心までの距離が大きいほど誘起電圧も鎖交磁束も正弦波に近づいています。
これより、着磁方向で比較すると、ラジアル異方性に比べてパラレル異方性および極異方性の磁石を使った方がコギングトルクは小さくなり、なめらかな回転が得られます。また、肩落ちの角度および極中心までの距離で比較すると、ラジアル異方性では20deg、パラレル異方性では30deg、極異方性ではr=16.35mmのトルクが小さくなっています。