55 – IPMモータの組込み着磁解析

アプリケーションノート・モデルデータ

概要

埋込型磁石モータ(IPM)は強力な希土類磁石を用いられることが多く、組み立て工程ではロータの細い隙間に磁石を挿入するため、作業性が非常に悪くなります。また挿入後はロータが強い磁界を発生するため、ステータに組込む際の作業性も低下します。そのため、未着磁のままの磁石を組み立てていき、組み立て後に着磁を行う組込み着磁という工法が用いられることがあります。これにより、組み立て性は大きく向上しますが、磁石が完全着磁されない危険性があります。したがって、組込み着磁が可能かどうかを確認し、着磁に必要な装置の電力を見積もることが必要になります。
有限要素法を用いた磁界解析シミュレーションを用いれば、着磁条件として投入電流量やヨーク形状を自由に変えて、磁気飽和なども考慮して被着磁体を完全着磁で切るかどうかを評価することができます。
ここでは、着磁の際の投入電流を変えて着磁磁界がどのように変わるか、及びその磁石を用いたモータの誘起電圧とコギングトルクを求めています。

着磁磁界分布

投入電流1.0(kA)、1.5(kA)、2.0(kA)、2.5(kA)における組込み着磁時の磁石の着磁磁界分布を図1に示します。着磁磁界の強さは投入電流の大きさに比例します。一方、着磁磁界の向きは投入電流によらずほぼ同じ向きになっています。

磁石内部の磁化分布

理想的な着磁状態として磁石全体の磁化を一定とした場合と、投入電流1.0(kA)、1.5(kA)、2.0(kA)、2.5(kA)時の着磁磁界を考慮した場合の磁石内部の磁化分布を図2に示します。
投入電流が1.0、1.5(kA)の時は磁石全体の磁化が小さいことがわかります。また、2.5(kA)の時は理想的な着磁状態の磁化分布とほとんど差が無いことが分かります。

誘起電圧波形、コギングトルク波形

理想的な着磁状態として磁石全体の磁化を一定とした場合と、投入電流1.0(kA)、1.5(kA)、2.0(kA)、2.5(kA)時の着磁磁界を考慮した場合における、U相の誘起電圧波形を図3、コギングトルク波形を図4に示します。
図2に示した磁化分布が、誘起電圧およびコギングトルクに影響を与えています。図3および図4より、2.0(kA)以上で着磁すれば理想的な着磁状態の磁石を使用した場合と同様の機器特性が得られることが分かります。

絞込み検索

  • カテゴリー一覧