63 – かご型誘導電動機のトルク特性解析

アプリケーションノート・モデルデータ

概要

誘導電動機は構造が簡単で、安価、堅牢、高効率のため古くから一般産業用に広く利用されてきました。誘導電動機は、同期速度で回転している時にはトルクが発生せず、適切なすべりが生じている時にトルクが最大となります。また、かご型誘導電動機はかごに流れる電流によって損失が発生するため、その発熱の大きさに応じて連続運転の可否を検討する必要があります。
誘導機は、二次導体に誘導される電流が特性に大きく影響します。また特にギャップ付近には強い磁気飽和を伴います。このため、設計検討のための特性の把握には、有限要素法に基づく磁界解析が有用です。
ここでは、s-T特性(すべり-トルク特性)、I-T特性(電流-トルク特性)、最大トルクにおけるI-V特性(電流-電圧特性)と電流-かごのジュール損失特性を求める事例をご紹介いたします。

トルク特性

電流振幅ごとのs-T特性を図1に、I-T特性を図2に、I-V特性を図3に示します。図1より、電流振幅の大きさによりトルクが最大となるすべりが変化することがわかります。トルクが最大となるすべりはコイルの電気抵抗、かごの電気抵抗、漏れリアクタンスから決まります。従って、電流の増加に伴う漏れリアクタンスの変化が、トルク最大となるすべりの変化の原因となります。図2のI-T特性の傾きより、この誘導電動機のトルク定数が約0.8(N・m/A)であることがわかります。また、投入できる1次電圧には限界があるため、図3に示すI-V特性を描き、最大トルク時の1次電圧を把握しておく必要があります。

渦電流密度分布/ジュール損失

電流振幅が10(A)の場合の渦電流密度分布を図4に、各電流値に対するかごのジュール損失を図5に示します。なお、いずれもトルク最大時の結果です。図4より、バーに電流密度が2×107(A/m2)以上になる過大な電流が流れており、発熱が大きく連続運転が厳しいことがわかります。図5より、ジュール損失が電流値に対して2次関数的に増加することがわかります。損失より発熱を見積もることで、最大トルクでの連続運転可能時間を把握することが出来ます。このように、かご型誘導電動機の最大トルクの検討を行う際は、かごに流れる電流および損失を把握する必要があります。

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