回転機の3次元渦電流解析の可能性

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三菱電機株式会社 米谷 晴之

概要

近年、計算機環境が急速に進歩し、高速大容量化、低価格化がなされており、従来では簡単にはできなかった解析が、比較的安価なPCやEw Sでも可能になってきている。電磁界解析の分野で一般に用いられている有限要素法などの数値解析手法も、高速低容量化し、計算時聞が大幅に短縮された。これに伴い、汎用の電磁界解析ソフトウエアも高速化、高機能化され、一般に入手し易くなってきている。
一方、産業界からは電磁機器の多様化、高性能化、高効率化が求められており、回転機の分野でも、従来にない高効率、低騒音化が求められている。これに伴い、電磁界解析の精度の向上が必須となってきている。
回転機に関する電磁界解析は、一般に軸に垂直な断面の二次元解析が主であり、従来はこの解析で十分な設計指針を与えた。しかし、極限の高効率化、低騒音化を目指すためには、二次元解析では不十分であると考えられる解析対象が発生した。たとえば、発電機端部の漂遊損の検討や巻線端部に働く電磁力の検討、あるいは、スキューなどの三次元効果を持つ回転機の特性検討では、三次元解析を行うことで物理現象を的確に把握したいという要望が発生してきた。
回転機の三次元解析は、以下にあげる問題点があり現実的ではないとされてきた。
(1)メッシュ分割の煩雑さ
(2) 計算時聞が膨大になること、およびメモリ容量、ディスク容量の不足
そこで、( 1 )の問題を解決するために、専用のメッシュジェネレータを開発し、必要なす法を入力するだけで、自動的にメッシュ分割が行えるようにした白メッシュ分割はその精度か確認される必要があるため、このメッシュジェネレータにはノウハウを含んだ分割を行い、精度を確保するようにしている。また、解析の種類によってメッシュの精度を変更できるように工夫されている。上記のメッシュジェネレータの作成によって、問題点( 1 )は解決された。( 2 )に関しては、計算機の発展に期待するところが大きいが、三次元の静磁界解析では、節点数が50万程度であっても、6時間程度の計算時間で解析が可能であることが確認されており、現実的なレベルとなってきていると思われる。
本稿では、さらに大変な計算となる回転機の三次元渦電流解析について、この可能性について議論する。回転機は磁気飽和の影響が大きい電気機器であるため、jw法と呼ばれる交流解析が適用しにくい。このため、ステップパイステップの過渡解析を行い、解析がほぼ定常に落ち着いたところで初めて解析結果が得られることになる。

たとえば、1ステップの解析が6時間である解析対象でも、ほぽ定常状態に落ち着くまで20 0ステップが必要であれば、508の計算時間となり現実的ではない。このため、三次元渦電流解析をする場合には、メッシュ分割数をほぼ定常に落ち着くまでのステップ数を検討した上で設定する必要がある。{このため、解析には車築関係のない部分のメッシュ数を極力減らす工夫が£・、要になる。ただし、渦電流発生物体では表皮深さ内を細かくメッシュ分割する必要があり、また、この周辺のメッシュも細かくなければ精度のよい解析結果とならない。このため、渦電流解析では一般に静解析よりメッシュ分割数が多くなる傾向にある。
本稿では、ターピン発電機のタランパに発生する渦電流解析結果を示す。

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