材料 [機能]

着磁

JMAGでは、磁石の磁化分布をより実機に近い状態を再現するため、着磁解析によって被着磁磁石が磁化する過程を解析することができます。着磁解析を行う際、被着磁磁石を「着磁材料」として定義し使用します。
さらに、着磁解析で得られた材料モデルは「ユーザー着磁材料」として材料データベースに登録することができます。

着磁材料を作成する

着磁の解析に必要な被着磁体の特性は、材料データベースに登録し、利用します。等方性、異方性の材料に対応しています。 外部から磁界を印加した際の磁化特性である[初磁化曲線]、不完全着磁の挙動を定義する[着磁率]、および[減磁曲線]を定義してモデル化します。

ユーザー着磁材料をインポートする

ユーザー着磁材料はJMAG-Designerで着磁解析を実行し、完了すると材料リストの[ユーザー着磁]フォルダの中に実行したスタディ名で自動で追加されます。また、材料リストの[ユーザー着磁]フォルダの右クリックメニューから[新規ユーザー磁石の作成]で、着磁解析済みjcfファイルを指定して作成することも出来ます。ではこの着磁解析済みjcfファイルはどこにあるのでしょうか。
着磁解析済みファイルは、着磁解析時のjcfファイル名+”_magnetized.jcf”で、解析結果ファイルと同じフォルダに作成されます。JMAG-Designerからの実行であれば、解析実行jcfファイルは”Designer.jcf”ですので、”Designer_magnetized.jcf”になります。このファイルを持っていれば、例えば他のマシンでもユーザー磁石を新規作成することができます。

動画による機能紹介

着磁解析を利用した磁石設定

熱特性の温度依存性材料

熱解析において設定しなければいけない材料特性は、比熱[J/kg/deg C]、熱伝導率[W/m/deg C]と密度[Kg/m3]の3つのみです。
比熱と熱伝導率は材料の編集ダイアログの熱特性タブで、密度は機械特性タブで設定します。これらの材料特性は全て温度依存性のテーブル値として定義することができ、非線形性を考慮することができます。密度の温度依存性は、高温時に金属の結晶構造が変化し密度が変わる変態現象を表現する時に使用します。
熱と磁界の連成解析の場合、磁界解析で用いるモデルをそのまま熱解析で使用することが多々あります。しかし、磁界解析のモデルには空気領域など伝熱解析では必要としない部品が含まれているため、それを削除しなければいけません。その場合、部品の材料プロパティ画面で「この材料を熱解析の計算対象に含む」チェックボックスをオフにするだけで、その部品を削除することできます。モデル上ではあたかも部品が残っているように見えますが、実際の計算では使用されず、計算時間を抑えることができます。

材料編集ダイアログの熱特性タブ

材料編集ダイアログの機械特性タブ

熱伝導率の温度依存性テーブル

材料プロパティ画面

動画による機能紹介

温度依存熱 / 機械特性

B-H特性への温度依存性の考慮

温度変化の激しい熱-磁界連成解析での精度を向上するためには、温度依存磁化特性を使用する必要があります。従来のユーザーサブルーチンでの対応となっていた温度依存性磁化特性を標準機能として実装しました。
これにより、従来の温度依存性透磁率でのモデルに比べ、特に磁気飽和域での挙動を精密に表現することが可能となりました。高周波焼入れのように大電流により温度変化が広範囲に渡るような解析で精度が大きく向上します。
但し、温度依存性磁化特性の材料データベースは搭載しておりませんので、ユーザー自身で特性をご準備頂く必要があります。

焼入れ後の温度分布

動画による機能紹介

温度依存B-H特性

劣化を考慮したモデリング

  • 価値
    • 打ち抜きによる加工劣化を簡単に考慮することが可能
  • 特徴
    • “磁束密度-補正係数”テーブルを定義して、劣化B-H特性をモデル化できる
    • エッジ、面を選択し、影響の及ぶ幅を指定する

劣化領域のイメージ

劣化領域(歪み領域)の指定

  • トルク等出力値への影響、鉄損などの損失の増大を考慮可能

鉄損密度分布(左:劣化なし,右:劣化あり)

加工劣化の有無によるトルクの比較

加工劣化の有無による鉄損の比較

“磁束密度vs補正係数”テーブル設定画面

動画による機能紹介

JMAG-Designer:加工劣化の考慮

応力を考慮したモデリング

圧入や焼嵌め等の応力が機器性能に与える影響を考慮できます。

  • 応力依存の電磁鋼板の磁化特性や鉄損特性を利用できます。

磁化特性

鉄損特性

応力依存の材料特性(35A360)

鉄損解析では磁束密度と応力の方向を考慮した詳細な評価が可能です。
  • 圧縮応力および引張応力の両方を扱います。
  • 磁束密度を応力の各方向成分に分解し、方向成分毎に応力の影響を考慮します。

テンソル評価による損失: 3.3(W)

動画による機能紹介

応力の考慮