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概要
誘導電動機は固定子巻線の回転磁界により2次導体に誘導電流が流れ、その誘導電流と回転磁界により回転方向に力を生じるモータです。構造が簡単で、磨耗部分も無く、商用電源に接続するだけでも使用出来るため、産業用から家電製品に至るまで多く使われています。
誘導電動機においても高効率化は重要なテーマです。高効率化のためには、1次・2次銅損と共に、効率を落とす原因となっている鉄損も低減する必要があります。特にインバータ駆動による高回転化で鉄損の比重が高まる傾向にあり、コア内で複雑な分布を持つ鉄損をシミュレーションにより予測することは有益です。
ここでは、回転速度3,300(r/min)時のステータコア、ロ-タコアの鉄損を確認した事例についてご説明します。
誘導電動機においても高効率化は重要なテーマです。高効率化のためには、1次・2次銅損と共に、効率を落とす原因となっている鉄損も低減する必要があります。特にインバータ駆動による高回転化で鉄損の比重が高まる傾向にあり、コア内で複雑な分布を持つ鉄損をシミュレーションにより予測することは有益です。
ここでは、回転速度3,300(r/min)時のステータコア、ロ-タコアの鉄損を確認した事例についてご説明します。
磁束密度分布
回転速度3,300(r/min)時のステータコアとロータコアの磁束密度分布を図1に、測定位置1、2、3、4における磁束密度R成分の磁束密度波形を図2に、測定位置2の結果をFFTした結果を図3に示します。また、定常状態のトルク、1次電流の振幅を表1に、かごに流れる2次電流を図4に示します。
測定位置1、2を比較すると、測定位置2では磁束密度の値も変化量も大きいのに対し、測定位置1では磁束密度の値、変化量は小さくなっています。測定位置3、4でも測定位置3の値が大きいことが確認できます。また、測定位置2、3を比較すると測定位置2の変化量が大きいことが確認できます。これらの磁束密度の違いは鉄損に影響を与えます。
図3より、測定位置2では、電源周波数である120(Hz)が支配的であることが確認できます。
2次電流の周波数がロータ側の磁束密度に影響を与えています。
ジュール損失密度分布/ヒステリシス損失密度分布/鉄損密度分布
ステータコアとロータコアのジュール損失密度分布、ヒステリシス損失密度分布および鉄損密度分布をそれぞれ図5、図6、図7に、ステータコアとロータコアそれぞれの損失割合を 図8に示します。
磁束密度波形で確認したように、磁束密度の変化量が小さい箇所に比べ磁束密度の変化量が大きい箇所の方が、ジュール損失密度が高くなっています。また、ヒステリシス損失でも同様の傾向が見られ、表2よりジュール損失、ヒステリシス損失ともにステータが占める割合が大きいことが確認できます。