[JAC172] 丸棒の高周波焼入れ解析(回転焼入れ)

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概要

丸棒の高周波焼入れ解析(回転焼入れ)
各種シャフトや歯車等の機械部品では、耐摩耗性を確保するため表面の硬度を増しつつ、内部の靭性を保つことで柔軟性のある部品を作ることが望まれています。表面硬化法のひとつである高周波焼入れであれば、高周波電源を用いることで表面のみを局所的、急速加熱することができます。また、電気設備なので作業環境がクリーンであり、高効率、かつ、ロットでの焼入れのばらつきも少ないなど多くのメリットがあるため、積極的に導入が進んでいます。
本事例のようなワークを回転させた焼入れでは、所定の表面を均一に加熱し、硬度を増すことが求められます。高周波の変動磁場により生じる渦電流はワークの表面に偏るため、詳細な現象を解くためには有限要素法に基づく数値解析でワーク内部の現象を扱うことが有効な分析手段となります。
ここでは、最適なコイル形状や通電条件(電源周波数、電流値)、回転速度などを求める際、数値解析モデルを作成し、昇温過程の解析をすることで、目的の温度分布となるか否かを評価できることを示します。

ジュール損失密度分布

ワークおよびコイルに生じるジュール損失密度分布を図1、図2に示します。コイルにより生じた磁界によってワーク部に渦電流が発生し、誘導加熱ではこの渦電流が熱源となり加熱されます。加熱部がキュリー温度を超えた箇所は、磁性を喪失するため渦電流損失密度も小さくなります。また、高周波なので表皮効果により、渦電流はワークの表面付近に分布します。

図1 時刻0.0(s)におけるジュール損失密度分布
図2 時刻4.0(s)間における渦電流損失密度分布

温度分布と温度変化の時刻特性

丸棒の温度分布を図3、ワークの温度変化の時刻特性を図4に示します。加熱コイルに面する表面では渦電流が多く発生するため、温度が高くなります。また、図4のように、誘導加熱によってワークの表面温度が先に急上昇し、ワーク内部は熱伝導によって温度が緩やかに上昇します。

図3 時刻4.0 (s)の温度分布
図4 ワークの温度変化

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