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概要
漂遊損失は主として巻線からの漏れ磁束により発生しますが、漏れ磁束の影響は巻線に近い構造物ほど受け易くなります。漂遊損失が損失全体に占める割合は、必ずしも大きくはありませんが、局所的な発熱が生じることがあり、変圧器の運用上の問題となることがあります。特にコアに生じる漂遊損失は、コアだけでなくコアを構成する絶縁物にも影響を及ぼし、焼損を生じることで絶縁油の劣化を招きます。
コアの漂遊損失とは、物理的には鉄損を指しますが、その原因がコア内の主磁束ではなく、巻線からの漏れ磁束から生じること、実機試験では短絡試験により評価されることから、分類上は漂遊損失として扱われます。
ここでは、漂遊損失を評価する際に行う短絡試験をモデル化して解析を行い、巻線に隣接したコアの漂遊損失分布を求めています。
コアの漂遊損失とは、物理的には鉄損を指しますが、その原因がコア内の主磁束ではなく、巻線からの漏れ磁束から生じること、実機試験では短絡試験により評価されることから、分類上は漂遊損失として扱われます。
ここでは、漂遊損失を評価する際に行う短絡試験をモデル化して解析を行い、巻線に隣接したコアの漂遊損失分布を求めています。
渦電流損失密度分布、ヒステリシス損失密度分布
コアの渦電流損失密度分布を図1、ヒステリシス損失密度分布を図2に示します。巻線端部からの漏れ磁束の影響が大きいことが分かります。
磁束線図
中央脚断面方向から見た磁束線図を図3に示します。短絡試験のため、発生する磁束はすべて漏れ磁束と見なすことができます。巻線端部から漏れ出た磁束がコアにほぼ垂直に入ることが分かります。これはコア内部の透磁率とコア外部の透磁率が大きく異なるために生じます。この漏れ磁束によりコア表面に局所的な渦電流損失が発生します。
磁束密度分布
コアの磁束密度分布を図4に、中心脚の中央における積層方向1ブロック分の磁束密度波形を図5に示します。コアの最外層のブロックは渦電流を考慮しているため、渦電流による2次的な磁束密度の発生により、表面近くの鋼板では磁束密度が大きくなっていることが分かります。これとは逆に、短絡試験のため、コア内部では磁束が通らず磁束密度が低くなっていることが分かります。
渦電流損失密度波形
中心脚の巻線端部付近における積層方向1ブロック分の渦電流損失密度波形を図6に示します。漏れ磁束の影響により、コア表面で強く発熱することが分かります。