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概要
誘導加熱コイルの設計ではワークを均一に加熱するため加熱時間やコイル形状などを検討する必要があります。その検討は熟練技術者の知識や経験、実機実験による試行錯誤にて行われています。
試作コストの削減や工期の短縮のためには、FEAを使用した最適化が有効です。設計変数、寸法範囲を用いたパラメータ最適化では、パラメータの決定に知識と経験が必要となりますが、トポロジー最適化は、初期形状に依存しない探索が行えるため、自由度の高い設計案を得られます。
ここでは、磁界と熱の連成解析を実施し、トポロジー最適化を用いて、ワーク表面の温度を均一にし、力率を最大化、皮相電力を最小化する加熱コイル形状を探索します。
試作コストの削減や工期の短縮のためには、FEAを使用した最適化が有効です。設計変数、寸法範囲を用いたパラメータ最適化では、パラメータの決定に知識と経験が必要となりますが、トポロジー最適化は、初期形状に依存しない探索が行えるため、自由度の高い設計案を得られます。
ここでは、磁界と熱の連成解析を実施し、トポロジー最適化を用いて、ワーク表面の温度を均一にし、力率を最大化、皮相電力を最小化する加熱コイル形状を探索します。
最適化条件
図1に設計領域、表1に制約条件、表2に目的関数を示します。
目的関数に次の4点を定義します。
- 力率の最大化
- 皮相電力の最小化
- 評価点における温度𝑇_𝑖(図2)に対して、目標温度𝑇_𝑅からの標準偏差Tdevの最小化
- 評価点における温度𝑇_𝑖(図2)に対して、目標温度𝑇_𝑅からの偏りTbiasの最小化
温度評価点を図2に示します。
最適化結果
コイルの力率と温度の標準偏差Tdevの相関図を図3に示します。
温度の標準偏差Tdevが最小のケースを最適解1、力率が最大のケースを最適解3、最適解1と最適解3の間の1ケースを最適解2としています。
最適解1~3のトポロジー最適化形状と7.0(sec)加熱した状態の温度分布コンターを図4に示します。
各最適解においてワークに対向するコイル表面が波打った形状となり、コイル下部はワークに沿った形状が得られています。いずれのケースもワーク表面が均一に加熱されていることがわかります。
感度解析
ワークに対向する表面が波打ったコイル形状がワークの温度分布に与える影響を確認するために、最良ケースについて感度解析を実施します。
温度の標準偏差Tdevが最小のケースである最適解1と、ワークに対向したコイル表面を直線に近い形状に変更したケースの温度分布を図5に示します。
コイル表面を直線に近い形状に変更したケースではワーク上部が先に加熱され、ワーク内を伝熱してもワーク表面の温度が不均一になっています。一方で、最適解1ではコイルがワークに漸近している複数個所が先に加熱され、伝熱によってワーク表面の温度が均一になっています。このことから、コイル表面が波打った形状が温度を均一にするのに重要であることがわかります。
温度の標準偏差Tdevが最小のケースである最適解1と、ワークに対向したコイル表面を直線に近い形状に変更したケースの温度分布を図5に示します。
コイル表面を直線に近い形状に変更したケースではワーク上部が先に加熱され、ワーク内を伝熱してもワーク表面の温度が不均一になっています。一方で、最適解1ではコイルがワークに漸近している複数個所が先に加熱され、伝熱によってワーク表面の温度が均一になっています。このことから、コイル表面が波打った形状が温度を均一にするのに重要であることがわかります。