50 – 鋼線の高周波焼入れ解析(移動焼入れ)

アプリケーションノート・モデルデータ

概要

鋼線は耐摩耗性を確保するため表面の硬度を増しつつ、内部の靭性を保つことで柔軟性のある部品を作ることが望まれています。表面硬化法のひとつである高周波焼入れであれば、高周波電源を用いることで表面のみを局所的、急速加熱することができます。また、電気設備なので作業環境がクリーンであり、高効率、かつ、ロットでの焼入れのばらつきも少ないなど多くのメリットがあるため、積極的に導入が進んでいます。一方で、加熱対象として長い鋼線は加熱コイルに順次送りながら、高速に加熱します。そのため、送り速度に応じた加熱量の選定と、必要な加熱量を満たす加熱コイルの配置、電流周波数や大きさの調整など検討すべき要素は少なくありません。
本事例では、順次流れていく十分に長い鋼線の加熱状態を再現する事が求められます。また、高周波の変動磁場により生じる渦電流は鋼線の表面に偏り、温度上昇に伴い材料特性も大きく変わるため、詳細な現象を扱うためには有限要素法に基づく数値解析で発熱量を予測する必要があります。
ここでは、最適なコイル形状や通電条件(電源周波数、電流値)、送り速度などを求める際、数値解析モデルを作成し、昇温過程の解析をすることで、目的の加熱速度を満たすか否かを評価できることを示します。

渦電流損失密度分布

鋼線およびコイルに生じる渦電流損失密度分布を図1に示します。コイルが作る磁界の時間変化によって鋼線に渦電流が発生し、誘導加熱ではこの渦電流が熱源となり加熱されます。また、高周波では表皮効果の影響を強く受けるため、渦電流は鋼線の表面付近に分布します。

鋼線の温度分布

鋼線の各位置における温度分布を図2に示します。

鋼線の温度変化

鋼線表面および内部における温度変化を図3に示します。
結果より、鋼線の表面および内部の最高温度が750(℃)付近になることがわかります。また、表面が先に加熱されていることが確認できます。

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