JFEテクノリサーチ株式会社
計測・プロセスソリューション本部　CAEセンター
田中　進也

概要

EV駆動用をはじめ、モータの高出力密度化が進められる中で、モータの発熱・冷却を制御することがますます重要になってきている。ただ、シミュレーションによってモータ伝熱を評価しようとしても、各部の伝熱特性や冷却過程を実態に即した形でモデル化することは困難である。実態に即したシミュレーションを実施するためには、実機の接触伝熱特性を実測して適用することに加え、主要な伝熱過程を考慮可能な解析モデルを構築し、伝熱特性として十分根拠のある経験値・文献値を適用することが重要である。
そこで当社では、部品間の接触熱抵抗や温度計測に対して当社の測定技術を適用し、簡易的な熱流体解析（CFD）を適用するなど解析モデル構築の工夫を行うことで、実機の状況に近づけたモータ熱解析モデルを構築した。そして、JMAGによる解析とモータ実機に対する温度測定結果を比較することで、想定される十分なレベルで双方の結果が一致することを確認した。
このように、当社は磁性材料の磁気測定に加え、モータ実機の温度や接触伝熱特性の測定といった「測定技術」と、シミュレーションによるモータの「解析技術」の双方によるアプローチを得意としている。これらの技術をモータの設計・開発プロセスに適用することで、部材の選定や効果的な抜熱・冷却機構の開発などに効果を発揮し、本検討対象のモータ実機の開発にも役立てることができた。