数値パラメータを設定するだけで、自動的に実機に肉薄したコイル形状を作成できます。
3次元的な漏れ磁束による損失や漏れインダクタンスを考慮するためには、コイルエンドのモデル化が必要となります。
3次元のコイル形状を作図する際は、特に占積率が高い場合に、パスが複雑で作図が困難であること、そして、コイル同士の距離が近いために干渉しやすいという課題があります。
JMAGには、このような作図の課題を解決する手段として、コイルテンプレート機能があります。
占積率が高いコイル形状
コイルテンプレート機能
コイルテンプレート機能は、数値パラメータの指定により自動的にコイル形状を作成する機能です。
巻線の断面形状や端部形状、ピッチ、寸法などを入力すると、コイル形状のソリッドが作成されます。
周方向にフルモデルコピーする機能も有しています。
そのため、コイルエンドのパスを作図する必要はありません。
コイルテンプレートの設定パラメータ
周方向フルモデル拡張
断面形状と端部形状のパターン
コイル形状を正確にモデリングするために、コイルテンプレートはさまざまな形状パターンを持っています。
形状パターンを組み合わせて、ご自身の解析対象にあった巻線を作成できます。
円
矩形
点
スケッチで任意の形状を作成
断面形状
同心円型
スパイラル型
角線型
ラジアルギャップ型回転機
円弧型
折り返し型
アキシャルギャップ型回転機
コイルテンプレート機能を使用した例
コイルテンプレートの形状パターンの組み合わせとパラメータ設定によって、このようなコイル形状を作成することができます。
更に、既存のソリッド形状と接続することで、より複雑な形状を表現できます。
コイルテンプレートのパターンを利用して作成できるコイル形状の例
A:コイルテンプレート以外のフィーチャを併用
角線型(テーブル指定)
巻線配置にはさまざまなバリエーションがあります。
不等間隔のピッチや層間転位、軸方向にフルモデルとしてティースに巻くような形状などは、テーブル指定で作成できます。
Go Returnのスロットをテーブルに入力するため、どのスロットに巻線が挿入されるかを具体的に指定することができます。
そのため、任意の複雑な巻き方が可能です。
オレンジ色がGo、青色がReturn
各スロット3ターンの巻線
スロット内のどの層を巻線が通るかをテーブルで指定する
テーブル指定で作成できるコイル形状の例
干渉回避機能
密な巻線を作成するときは、巻線同士が干渉しやすくなります。
コイルテンプレートは、干渉などの形状エラーがある場合に修正候補を表示できます。
どの寸法に感度があるのかを確認でき、修正候補をモデルに適用できます。
巻線同士が干渉して正常に作図ができていない
巻線の干渉と修正候補表示機能
修正候補を適用することで干渉が解消された
セミナー動画
「JMAGユーザー会2021 Hybrid」で発表したセミナーです。参加できなかった方はもちろん、もう一度見たいという方も、是非ご覧ください。
関連資料
[1] [JFT018] コイルテンプレートを使用した回転機のコイル形状作成[2] [JFT139] コイルテンプレートと巻線エディタを使用したアキシャルギャップ型回転機のコイルモデリング
[3] [JFT102] 巻線エディタを用いた3Dモデルのコイル設定
関連項目
巻線設定
回転機の巻線を簡単にミスなく設定するための機能です。
抵抗値や、3相結線、スター結線かデルタ結線か、などを簡単に設定できます。
コイルテンプレートで作成したソリッド形状ならさらに簡単に設定が可能です。
巻線領域の設定
コイルテンプレートで作成した部品を通電する対象として自動認識する
巻線の設定
コイルテンプレートのピッチを自動認識するため、巻き数と抵抗値の設定を行えば良い