台湾国立成功大学モータ科学研究センター

再生エネルギー研究へのJMAG活用

去る2012年5月、台湾のJMAG代理店Flotrend社主催で、台湾JMAGユーザー会を開催し、およそ60人のJMAGユーザーにお集まりいただきました。
JMAGユーザー会では、台湾国立成功大学モータ科学研究センター(The Electric Motor Technology Research Center(EMTRC))の研究員でもいらっしゃるMin-Fu Hsieh助教授のご協力もあり、日本同様、活発な技術者交流が行われていました。本稿では、謝旻甫(Min-Fu Hsieh)教授の活動をご紹介します。

Department of Systems and Naval Mechatronics Engineering,
National Cheng Kung University
兼The Electric Motor Technology Research Center
謝旻甫(Min-Fu Hsieh)氏

― 台湾国立成功大学モータ科学研究センターについて教えてください。

謝旻甫教授 EMTRCは、台湾国内のモータ関連産業を支援するため、中国鋼鉄(China Steel Corporationと共同で設立しました。
材料からシステムにわたるまで幅広く発展推進しています。Delta Electronics Inc., SUNON Industry Company, and Taiwan HITACHI Corporation等々多くの企業を支援しています。

― 先生はどの様な研究をされているのでしょうか。

謝旻甫教授 再生エネルギー(風力、波など)及び電気自動車が主となります。
レアアースや非レアアースの永久磁石モータ、非永久磁石モータ(例えば、ブラシレス二重給電又はリラクタンスモータ)、汎用磁気回路、着磁(特に後着磁技術)をテーマとして行っています。

図1 小さな風力タービンとその特性

― 先生のご専門である、電磁気学、再生エネルギーの現状について教えてください。

謝旻甫教授 電磁気学の応用範囲はとても広いですね。電子スピン、磁気コアメモリから、出力が数万ワットを越える風力発電機の様な大型機まで、それらは、電磁気学と密接な関係をもっています。
学会でも、数多くの論文が発表されています。INTERMAG(IEEE主催)には毎年数千の論文が投稿され、COMPUMAGやCEFCにも毎回数百の論文が投稿されています。
近年、エネルギーやエコロジーについての関心が高まり、再生エネルギー、省エネルギーに関する技術の中で、特に発電機やモータが注目されるようになりました。これにより、電磁気学も大きく発展しました。
ここで、高温超導体材料が大型風力発電機に使われ始めた事例を紹介しましょう。超導体の線材やバルク材によって生じた磁場は、発電機のトルク密度や出力密度、効率を向上させることができます。その結果、増速機を不要とする直接駆動が可能となり、効率の向上に貢献できます。超電導技術は発電機にとって大変重要な技術となってくると考えられています。

― なるほど。発電機の効率向上へとつながるわけですね。発電機、モータの研究に関してもう少し詳しく教えてください。

謝旻甫教授 以前は、モータや発電機の開発時に効率の問題は重要視されていませんでした。
モータが様々な分野で利用されるとともに、省エネルギーや材料、システム制御などの技術も進歩し、高効率、高トルク密度、高出力を追及した高性能モータを開発できるようになりました。これにより、ますます、多くの産業で高性能モータの開発が行われるようになりました。
例えば、エアコン用コンプレッサの駆動方法は、一定速度駆動から可変周波数駆動へ、さらに直流可変周波数駆動へ進化しています。

図2 永久磁石発電機(プロトタイプ)

図3 JMAGの解析結果 左:電磁力 右:メッシュ

― モータに関する将来の展望はいかがでしょうか。

謝旻甫教授 どのモータにも一長一短があります。どの様な場面で使用するのか、コスト、体積、効率など、どの点を最重要視して開発するかに応じて、適切なモータの種類を選ぶ必要があります。
例えば、永久磁石モータ、ACモータとリラクタンスモータの3種のモータにはそれぞれの問題点があります。にもかかわらず、それぞれ異なるニーズを満たすため、いずれも電気自動車のモータとして使われています。
特に、一般的に成熟したモータだと言われているACモータについては、材料や設計方法について工夫することで高性能化が期待されています。今までACモータを視野に入れていなかった自動車業界もACモータの高性能開発に注目しています。
また、モータや発電機が高い性能を満たすためには、システムの中での整合性を考慮しなければいけません。今後、システム整合性についてますます重要になってくることでしょう。

― CAEへの期待と人材育成について教えてください。

謝旻甫教授 パソコンの性能向上やCAEソフトウェアの発展のおかげで、モータの開発はかなり効率的になりました。
JMAGを使うことで、設計も正確さが増しています。だからこそ、CAEソフトウェアを利用する人材の育成が産業界のキーポイントとなります。
人材を育成するためには、理論と実験、両方に重点を置く必要があります。
まず、基礎となる理論、知識を持っている技術者でなければ、CAEソフトウェアを正確には扱えず、解析結果の検証、結果から物理現象を読み取る能力を持てません。
そして、実験、実機試作の経験をもつことで、設計案の検証にCAEのパワーをより効果的に発揮させることができます。
台湾には優れた電機メーカがありますが、研究能力は相当不足していて、中でもモータに関するCAEの人材が不足しています。そのため、CAEの人材育成は、この産業の更なる発展のためには重要な課題といっても過言ではありません。

― 最後にJMAG、JMAG台湾代理店のFlotrend社に一言お願いします。

謝旻甫教授 Flotrend社が取り扱っているCFDソフトウェア、AcusolveとJMAGを組み合わせて、放熱のシミュレーションを行っています。Flotrend社はそれぞれのソフトウェアを熟知していて、短時間でたちあげることができました。今後ますます、複数のシミュレーションツールを連携して使うことになるでしょう。サポートに期待します。

Min-Fu Hsieh先生、どうもありがとうございました。

聞き手:FLOTREND CORPORATION 陳桂村

Electric Motor Technology Research Center
National Cheng Kung University (Chia-Jung Campus 2F, Science)
Technology Building No.1, University Road Tainan 701, Taiwan
Tel
+886-6-2356783
Fax
+886-6-2356783
http://km.emotors.ncku.edu.tw/emotor/emtrc_en/index.php icon-external-link

[JMAG Newsletter 2013年1月号より]