株式会社三英社製作所

電力供給の安定と快適な社会環境の構築に取り組む、配電機器専門メーカー。配電分野において、信頼度の高い製品を作り、お客様や社会の要求に応えている。さらに、時代が抱える地球環境問題にも重点を置き、「社会に貢献する企業」として省エネルギーなどの課題に挑んでゆく。

株式会社三英社製作所

株式会社三英社製作所は、安全で安定した電力を供給するための技術と製品を提供しています。今回は、その安定した電力供給のため、日々真摯に製品開発と向き合われている機器開発部の皆様にお話を伺いました。

信頼される製品作りを目指して

貴社の事業内容と信念とされていること、特にこだわっていることについてお聞かせください。

三津谷氏:
配電機器の設計や製造、販売を行っております。弊社Webサイトの社長メッセージにもありますように、「お客様第一」、「信頼される製品作り」を企業理念とし、社会へ貢献する企業となることを目指してきました。エネルギー産業を通じて、お客様や社会の要求に応え続けたいと思っており、安定した電力供給のために必要な製品の開発をスタッフ一同協力して頑張っているところです。

製品開発において重きをおいているのはどのようなところでしょうか。

長谷川氏:
20年くらい使うのが当たり前というくらい、私たちが扱っている製品はライフサイクルが非常に長いです。30年、40年使われるものもあります。そういった長期間で使われるものに対しても問題がないか、というところを常に意識しています。

それだけ長期間使うのであれば、メンテナンス以外にも様々なご苦労がありそうですね。

長谷川氏:
そういう意味では、一般的に使用される家電製品とは全然違うのかもしれません。設置されたらノーメンテの状態、つまりメンテナンスをしない状態で、20年後も30年後も今のソレノイドが問題なく動く、ということが求められます。

JMAGで電磁気的な特性を評価する際にも、20年動き続けるという観点でみられているのでしょうか。

三津谷氏:
現時点では解析を使ってそこまでの評価はできていません。将来的には、開閉器を動作させた際の衝撃ですとか、反発のような細かいところまでできればよいかなと思っています。
解析を用いるという観点でいうと、開閉器内部にある接点の開閉機構を確実に動作させる十分な吸引力を得ることができるソレノイドの構造を見極められればというところです。それによって、試作品の量を減らすことができています。

長谷川氏:
機器の寿命の話でいうと、解析自体はソレノイド、つまり製品の一部の要素に対して使っていますので、三津谷が申しましたように、問題なく、間違いなく動くというところに重きがあるのかなと思います。

ピンポイントですごくいい特性を狙うのではなく、安定的にどのような状況においても特性を出せるということに重きをおかれているというイメージなのですね。

長谷川氏:
はい。ルールがありすぎてもよくないので、とにかく間違いなく動くという作り方を狙っています。

“適切な製品作り”というところに注力されているということですね。機器開発部には何名様くらいいらっしゃるのでしょうか。

長谷川氏:
現在は22名です。その中で解析をメインに取り組んでいるのが三津谷と高橋の2名です。

他のメンバーの方との連携はどうされていらっしゃいますか。

三津谷氏:
“こういったところでこういった特性がほしい”と他のメンバーから要望があったら、そこを解析で確認するというのと、その特性を出すにはどのような構造が必要かというところを解析で検討する、という流れで業務を行っています。

貴社は2015年より前から設計に解析を取り入れていると伺っていましたが、CAEソフトウェアはいつから使われていたのでしょうか。

阿久津氏:
弊社の工場が栃木にあるのですが、そこで他社の解析ソフトウェアを使ってソレノイドの電磁界解析をしていました。ただ、使える人間がかなり限られていて、常に解析をしてからものを作っていたというわけではなく、時々使う程度だったので、知識の伝承などもありませんでした。その後、ソレノイドの設計を東京で担うようになった際、その解析ソフトウェアは保守切れだったので、もう少し効率的にするにはどうしたらいいかということを話し合い、再度複数の解析ソフトウェアを調査して、2015年頃JMAGを導入することになりました。

JMAGを選ばれた決め手は何だったのでしょうか。

阿久津氏:
決め手は、日本語のユーザインターフェースとサポート対応です。日本国内ですべて完結しているというのは大きかったです。その時使っていた解析ソフトウェアがどうしても使いづらいというところもありましたので、使いやすさは重要でした。最初は使う頻度が多くはなかったので、まず静解析で評価しようと。3次元や過渡解析を追加していくことができるということも事前情報としていただいていたので、将来的に広がる可能性もあるのかなと考え導入しました。

JMAGという技術を取り入れて物理現象のメカニズムを解き明かす

今取り組まれている課題について教えてください。

三津谷氏:
最初の頃のソレノイドは円筒形だったので2次元の軸対称解析を使い、各位置のプランジャーの吸引力を求め、希望する値が出るかという確認を行っていました。以前の解析ソフトウェアと同様の使い方をしていました。
最近では、軸対称を使えない構造の製品も、3次元解析で行っています。また、吸引力特性だけではなく、過渡的な特性も評価しています。時間変化でどのように動いていくかというところです。あと回路解析も。回路の条件を設定し、応答特性を評価しています。
構造の検討もし始めていて、新たに導入する開閉器に組み込む予定です。

形状を変えるモチベーションはどこからくるのでしょうか。

阿久津氏:
元々円筒形の製品をメインで使っていました。しかし、違う形状の製品を扱うようになった時、技術的になぜそうなったのかという数値的なデータがないのが気がかりでした。なぜそうなるのか、物理現象をきちんと分析できていれば、何かを直したいという時にも検討がつきますから。そこで、何とかこれを解析できないかと2人が頑張ってくれたのです。

円筒形でなく他方がいいという理由は解き明かされたのですね。

阿久津氏:
積層構造をもっている少し特殊なものなので、どう解析していいのかという方向性がやっとわかってきたところです。

三津谷氏:
まだ少し足りないところはあるかなとは思っていますが大体は把握しました。

小型化要求というのはやはり大きいポイントなのでしょうか。特性は保ちつつ、よりコンパクトにというのは難しいですよね。

阿久津氏:
小さくすると使う材料も少なくなりますし、高橋のグループが扱っている製品だと狭い箱に何個も部品を入れなければいけなかったりします。そうなると、やはり小さかったり、高さが低かったりする方が、設計上有利にはなりますね。ですので、メリットがあるならどんどん解析して小さくしようという話題が出ているところです。

制御性も向上するのでしょうか。イナーシャーが小さくなったり、応答性に影響があったりですとか。

三津谷氏:
解析して、実際にどういう特性が出るのかというところまでは比較できていないのですが、確かに吸引力自体は高いので、応答性はいいかもしれません。動かしやすく、止めやすいみたいな。

阿久津氏:
ただ、力は出るのですが、小さくなったのでストロークが短くなってしまって。

三津谷氏:
短いストロークでしか検討がされていないですよね。

阿久津氏:
私たちが設計している機構が、比較的長いストロークを前提としており、小型化で短いストロークとなる事が課題として残っています。

解析の出番としては、ソレノイドの吸引力と磁気の部分、あとは制御性ということでしょうか。

三津谷氏:
仕様上は何秒以内に引き切りなさいみたいなことはあるので、そこを確認できるとやはり試作の手間も省けます。そこは本当に解析が役に立つところだなと思います。ある程度こういう回路で制御してほしいという仕様が決まっているので、条件に合わせた回路を解析上で組んで、どういった電流が実際に流れるのか。電流値も最大値が決まっていたりするので、そういった回路の状態を解析できるのはすごく助かっています。

高橋氏:
私もほとんど同じですね。グループは違いますが、実際に動作させるソレノイドという部分は共通項ですし、解析内容は同じです。

今後挑むべき多くの課題

実際にJMAGを利用した例を詳しく教えてください。

三津谷氏:
先ほど説明した内容のところですが、こちら(下図1参照)の図に関しては、元の構造に対して巻線の数を変えたら吸引力がどのくらい変わったりするのかなど、パラメータの影響を検討することが多いです。そういった検討をしつつ、新しく入れた過渡応答解析を使い、回路の条件を設定した上で、吸引力特性がどのように時間変化するのかも試作をする前の段階で確認をしていくということをしています。
回路に関してもこちらの通り(下図2参照)全波整流で、交流電源から電源をとってきて整流しています。こういった回路が開閉器の内部で使用されていて、単純な全波整流した場合で使用する場合もあれば、コンデンサを内部に配置して直流に近づけた場合で使用する場合もあります。それぞれどういった特性が出るのかを事前に確認しています。

円筒型のソレノイド図1:円筒型のソレノイド 

全波整流波形(電圧)図2:全波整流波形(電圧)

円筒型のソレノイド(実機)
図3:円筒型のソレノイド(実機)

(図1~図2)出典:JMAGユーザー会講演論文集からの引用
阿久津 稔尚「静解析から動解析への挑戦 ~過渡応答解析導入のメリット~」(JMAG Users Conference、2019年)
(図3)東京本社にて撮影

話を伺っていると、それだけ短い時間で十分なストロークを動かすと、まさしく過渡現象が起きてくる時に渦電流や磁性体内の残留磁束などが応答性に影響してくるのではないのかと思いますが、そこについてはどのようにお考えですか。

三津谷氏:
そうですね。チャレンジしたいと思っています。
渦電流に関しては、設定が簡単にできるということもあって試してみたりはしているのですが、実測も難しいのでなかなか比較が難しく、今のところうまくいってはいないです。積層鋼板を使っているので、そこの合わせこみをしなければいけないかなと考えているところです。
残留磁束の検討に関しても、電源をオフにした後に、仕様によっては少しの間プランジャーを保持し続ければならないこともあったりするので、そういった面でも残留磁束の解析は進めていきたいなとは思ってはいるのですが、まだできていない状況です。

阿久津氏:
着磁とか残留磁束というところで、今の話の通り、少しの時間もたせたいパターンと早く切りたいパターンがあって両方のせめぎ合いだったりします。

積極的に消磁するようなこともあるのでしょうか。

三津谷氏:
回路上で電源をいきなり切ってしまうパターンで、それでも実際には着磁してしまっていて切れるのが遅れてしまっていることがあります。現状は、回路上でいきなり切るパターンと、ダイオードを使ってオフにした後もしばらくは回路上の電流が流れる状態にして、そちらを制御する解析を検討しています。今の段階では、しばらく流れ続けている状態の方の解析をして、そちらをなるべく仕様通りに満足するかというのを、事前に検討していくということをやっています。
着磁の方も検討を進めて、一気に電源を切った状態で、どれくらいで磁束が切れるかについても検討を進めたいなと思っています。

そもそもソレノイドの吸引力はどのように測定されるのでしょうか。

三津谷氏:
現時点で吸引力を測る場合は、自社で治具として作ったものを使っています。ただ、それは1点ずつ測ることしかできないので、位置ごとに解析した結果としか比較することができない状態です。去年高橋が、高速カメラなどを使って、実際に引いている時の速さを比較できないか検討してくれました。実際に動いている途中の吸引力というのはなかなか測定が難しいので。定性的には合っていることが確認できました。

設計期間というのはどのくらいかかるのでしょうか。

阿久津氏:
ソレノイドを開発するようなテーマとなると、2,3年というレベルになります。マイナーチェンジとなると、1年ちょっとくらいですね。設計にしても試作評価にしても、場合によっては手戻りが発生しますし、お客様の承認を得るところも含めると、新規の製品で2年から3年くらいかかってしまいますね。

試作回数の削減と納期短縮はJMAGが大きな助けに

続きまして、JMAG導入時のお話をお聞かせください。導入直後のエピソードは何かございますか。

阿久津氏:
最初は使う頻度が少なく、静解析で吸引力を評価する程度でした。そういう意味では立ち上がりがうまくいったとは言えないかもしれません。色々動き出したのは、過渡解析の仕様を検討しだした頃です。色々ご教示いただいて、過渡や三次元も考慮した方がうまくいくのではないかと考え始めました。

三津谷氏:
そうですね。開発業務でもちょうど試したいことが出てきたタイミングで、JMAGの色々な機能を使って、過渡応答解析を実際試させてもらって結果が役に立ちそうだということになって、導入に至りました。

具体的に、過渡現象のどこを見られて役に立ちそうだということになったのでしょうか。

三津谷氏:
ポイントは吸引速度ですね。どれだけ速く引けるのかということが必要になった開発テーマがありまして、開発期間が短かったこともあり、手探りで何個も試作品を作るより二次元過渡応答解析を使って、予測をした方が効率的だということになりました。実際には値を正確に出すことはできなかったのですが、相対的な評価はできました。

実際にモノを作る前にコンピュータの中で実験をするという仮想試作ができたことで、JMAGの出番が増えたということですね。

三津谷氏:
はい。静解析では設定できる電流値も固定でしたし、実際の機器で使われる回路を組んだ状態で、しかも過渡応答の時間変化も見るようになったので、電流の変化や、どれだけどちらが速く引けるのかというのを確認できるというのは、非常によかったところです。

ありがとうございます。どのくらい試作回数を減らせたとか、どのくらい期間を短縮できたというのは、体感としていかがでしょうか。

三津谷氏:
あの時は2,3カ月しか時間がなかったので、試作品を作れても2,3個が限界で。それが解析を利用することで案を絞れたので、非常にメリットが大きかったのかなと思います。

阿久津氏:
例えば10回試作しなくてはいけなかったのが2回に減りました、など具体的に言えればいいのですが、それはなかなか比較が難しいところでして。解析のおかげで、後をひきずらずにスケジュールに間に合ったというところですかね。でも、その結果、社内的にもかなり評価があがり、導入しやすくなりました。

初めて過渡解析に取り組むということでご苦労もあったかと思います。

三津谷氏:
細かいところを見ていくと、あの時の解析は間違っているところもあったのかもしれません。結果としては、手探りでヘルプを見ながらやっていましたから。でも、ヘルプが充実しているので、細かいところまではわからずとも、操作自体は一人でできました。ですので、可能な限り近い条件で設定を進めて、とりあえず結果を出せたかなというとこです。そこで絞れた3パターンくらいを試作したみたところ、どれがいいかというのは解析通りになったので。

ヘルプの話が出てきましたが、JMAGでは様々な用途別の技術資料も用意しております。よく見られるドキュメントは何になりますか。

三津谷氏:
今のところはヘルプですね。わからない単語というか機能があったらその部分を読んでいって、さらにわからなければ、関連資料を読ませてもらうという流れです。途中から入った高橋も、ほとんど一人で解析を進めています。私が知らなかったところを教えてもらったりするくらいです。ヘルプ機能は充実していると思います。

高橋氏:
私も最初の頃はヘルプ頼りで進めていきました。同じようなことを考えている人はいないかなということで事例を確認することもあります。ただ、解析を実施している時は基本的にヘルプですね。

三津谷氏:
現在はソレノイドの事例がモータと比べて少ないというのもあるかもしれません…。

ご指摘ありがとうございます。一応渦電流を考慮した事例などもご用意してはいますが、細かく見ていくと違うこともあるかと思います。具体的なご要望がございましたら、おっしゃってください。資料作成の参考にさせていただきたくよろしくお願いします。

JMAGに携わる仲間同士の情報交換から生まれる安心感

次にJMAGをどのように使われてきたのか(使われているのか)、聞かせてください。また、JMAG利用歴や利用頻度はどのくらいでしょうか。

三津谷氏:
導入した直後くらいにセミナーに参加させてもらい、それから少し触る程度でした。利用頻度が増えてきたのは、過渡応答を導入した2,3年前のタイミングだと思います。それでも常に解析をしている状態ではなく、案件次第です。何かが試作に入る前の段階になると、数週間から1カ月くらい毎日使うような時はあります。高橋が入ってきてくれて、誰かに相談できるようになり、細かい設定などの理解は深まりました。

高橋氏:
私はちょうど1年前から使っています。ほとんどゼロの状態で、静解析から過渡解析までのJMAGの使い方を学んできました。入社5年目で、解析を始めるまでは設計担当として色々な機器に携わってきました。

1年で静解析から過渡解析までを使いこなすのはなかなか大変だと思います。解析ソフトウェアのご利用経験はあったのでしょうか。

高橋氏:
電磁界解析ソフトウェアはないです。大学時代に構造解析ソフトウェアを少し使った経験はあります。JMAGは使いやすく感じましたので、最初に三津谷から解析の流れのさわりを教えてもらって、その後は自主的にトライアンドエラーで進めた感じですね。

三津谷氏:
私は当時まずセルフラーニングシステムに取り組みました。
今は各自勉強して、わからないことは情報交換しながら、という感じで、1人の時よりはかどるようになりました。2人いるのはかなり助かります。

高橋氏:
1人だと不安になりますから。まだ自分が使いこなせていない部分も多いので、興味のある内容であれば、セミナーなどにも参加する予定です。

案件にもよるとは思いますが、人材育成などは考えられているのでしょうか。

阿久津氏:
そうですね。製品に使われる重要な部品ですので、やはり興味をもってもらって、少しずつ展開していきたいというところはありますね。今は三津谷と高橋の2人に知見を深めてもらった上で、実機との合わせこみも含めてベースを作ってから、他の人材へ展開していきたいと思っています。

様々な機器を開発していく過程で得られた知見というのは、JMAGのデータとして蓄積されていっている状態なのでしょうか。それとも設計図面や文書として残していく方針なのでしょうか。

三津谷氏:
JMAGのデータとして個々の記録や記憶として残っているだけの状態で、まだ社内的に全体に展開をしていけるような状態にはなっていないのかなというところですね。

先ほどの話で、どちらの形状がいいのかという要因を、JMAGを使って解き明かしたという話がありました。それを視覚的に他の方に説明できたら製品開発の共通理解につながっていくように思うのですが、いかがでしょうか。

三津谷氏:
本当は社内的にそういった方向で残していけるような仕組みにしたいと思っているのですが、まだそこまで手が回っていません。今は解析に特化してやっている2人で、とにかく安定した精度のよい解析を進めているところです。そもそも新しい解析ができているかというのも相談しながら手探りでやっているので、実測値との合わせこみを含めて、これならよさそうだというところになった段階で、他の人への展開も検討したいですね。

阿久津氏:
本来知見は蓄積すべきだというのはわかっているのですが、ソレノイドは引継ぎがうまくいってなかったこともあり、探り探りチャレンジを続けている状態です。今は三津谷と高橋が積極的に取り組んでくれているので、今後はそういった蓄積や展開も含めて進めていけたらよいなとは思っております。
実機の評価というのも本当に難しくて。常に手探りしながらの世界です。

お二人の知識や知見がもっとたまってから、次に展開をしていくという段階なのですね。

阿久津氏:
そうですね。まだ手探りなのにあまり広げてしまっても収拾がつきませんから。まずは今の解析対象であるソレノイドについてある程度まとめられたらと思います。

三津谷氏と高橋氏はいわゆる設計者という役割になるのでしょうか。一般的にこういったソレノイドの設計をできるようになるには、どれくらいの時間がかかって、JMAGのような解析ソフトウェアがあるとどのくらい変わっていきそうだと思われますか。

三津谷氏:
今までは過去の知見を積み上げていく状態だったので、一からソレノイドを作り上げるということをまだしたことはありません。今までの設計を改良するというのがほとんどでしたので。今回JMAGを導入して、今まで手探りだったものに関してできるだけ理論的に解析をして、改良するにあたっても、どこを変えればよいのかというのを理論的にまとめていければいいのかなと考えているところです。

結果として特性がよくなったかどうかは実測でわかりますが、その原因をお二人が解析という技術を取り入れて解明していくことになるわけですね。

三津谷氏:
物理現象をビジュアル化する、もしくは数値化することで、ここがこうなったから設計変更がよい方向に変わったんだ、ということを共通認識に変えていくことができれば一番いいかなとは思っていますね。

社員紹介
左より機器開発部 阿久津課長、機器開発第二G 高橋氏、機器開発第一G 三津谷氏

実測との合わせこみで解析の精度も向上させていく

最後に今後JMAGで取り組んでみたいことをお聞きしたく思います。先ほど伺った高速カメラを使われた実測との合わせこみのところでしょうか。

三津谷氏:
はい、実測の方法も手探りなので、正しく実測ができるかも課題です。また、バネが付いた部分を引かないといけないのですが、そのバネも真っすぐついているのではなく、回転運動を制御するバネなので、角度による力の変化を設定する必要があり、そこが難しいところです。

阿久津氏:
負荷特性がうねると言いますか。負荷特性のデータを刻んでステップごとに入れようとしたことはあるのですが、なかなかうまくいかなくて。

三津谷氏:
現状はソレノイド単品での評価しかできていない状態なので、今後の課題としては、機器に組み込んだ状態、機器内部の負荷を考慮した状態で解析ができればいいなと思っています。

周方向に何か動く仕組みなのでしょうか。

三津谷氏:
ソレノイド自体は真っすぐ引くけれども、それを引っ張る機構が色々組み合わさっていて、位置ごとに負荷が変わってきてしまうという状態です。

ソレノイド単体の評価方法として、ソレノイドに直進方向に動くバネをつけた機材みたいなものを作ることができたら、実測と解析の比較がしやすそうですね。

三津谷氏:
はい、これからですが、そこは確かに考えていたところではあります。

高橋氏:
今は負荷として、プランジャーの重さを入れこんだ解析は実施しているので、プランジャーの位置などによって外力が変わる条件を入れられれば、別の設計に役に立つのかな、というところですね。

直進だけの状態にしたらある程度特性は合致しているのでしょうか。

高橋氏:
そうですね。条件によりますけれど、基本的には10%とか20%くらいの差異でしょうか。

電流は実測した時に波形としてとれるのでしょうか。

高橋氏:
波形でとっていますが、実測波形を入力はしていません。電流値をそのまま入れてしまうのがいいかもしれませんね。

三津谷氏:
電流を指定した場合は、コイルに流れた時の逆起は考慮されるのでしょうか。

電流を入れられるということは、ある電圧をかけた時の逆起を考慮して、結果流れる電流なので、入っているという想定です。

三津谷氏:
回路上に磁性体が入ってその影響で電流が下がるというのも考慮はされるのでしょうか。

外側で考慮されていることになります。
今後もうまくいかないことがありましたら、定期的にサポートへご相談ください。
本日は貴重なご意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。今後もJMAGを活用し、チャレンジしてみたいと仰っていた課題に皆様で取り組んで解決いただけると私共も幸いです。

お話を伺った方

三津谷 洋助氏
株式会社三英社製作所
技術開発本部
機器開発部
機器開発第一グループ
三津谷 洋助氏
高橋 優氏
株式会社三英社製作所
技術開発本部
機器開発部
機器開発第二グループ
高橋 優氏
阿久津 稔尚氏
株式会社三英社製作所
技術開発本部 
機器開発部
機器開発第二グループ
課長 阿久津 稔尚 氏
(音声のみ)
技術開発本部
機器開発部
部長 長谷川 賢一氏
株式会社三英社製作所
会社名:
株式会社三英社製作所
創業日:
1940年3月7日
本社所在地:
〒142-8611 東京都品川区荏原5丁目2番1号
代表者:
代表取締役社長 大場 雄介
従業員数:
344名 ※2022年09月11日現在
事業内容:

配電機器の設計・製造・販売

  1. 架空配電用開閉器類
  2. 地中配電用機器類
  3. 無停電工法機器類
  4. 接続材料類および電力ヒューズ
  5. 配電線自動化機器類
  6. 配電用計測器類
  7. 受電用機器・特殊機器類
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