120 – SPMモータの熱減磁解析

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アプリケーションノート・モデルデータ

概要

モータの高効率化および高出力化を実現するためには、温度上昇の問題を如何に解決するかが重要となります。モータに使われている材料で、温度に対する特性変化が大きいのは磁石です。希土類磁石の場合、通常百数十度で減磁の可能性が出てきます。減磁するかどうかは加えられる反磁界と温度から決まります。温度を上げるだけ、あるいは反磁界を掛けるだけであればある程度耐性がありますが、組み合わされると耐性が大きく下がります。モータが過負荷状態で大きなトルクを出している状態では、コイルに大きな電流が流れているため、大きな反磁界と熱が加わり、減磁の可能性が高まります。対策としては、熱耐性の高い磁石を使用する、モータを大きくするなどの方法がありますが、大体体格やコストを高めることになるため、設計のトレードオフのテーマとなります。
減磁を精度良く検討を行うためには、まず反磁界が加わる場所と、材料の減磁特性を正確に把握する必要があります。有限要素法を利用した磁界解析シミュレーションでは、反磁界を算出し、材料の減磁特性を考慮してその反磁界により磁石のどの部分が減磁したかを求めることが出来ます。
ここでは、永久磁石の温度を変えて解析を行い、トルク波形や磁束密度分布への影響を評価します。

トルク波形

電気角1周期分(機械角180(deg))ごとに磁石の温度を60(deg C) → 140(deg C) → 60(deg C)と変化させた場合のトルク波形を図1に示します。
図1より、磁石を140(deg C)に昇温させた状態において、熱減磁により平均トルクが下がっていることがわかります。また、60(deg C)に戻した場合においても、昇温前に比べ平均トルクが16(%)減少していることから、昇温中に不可逆減磁が起きたことがわかります。

磁束密度分布

各状態における磁束密度分布を図2に示します。
図より、140(deg C)の場合は昇温前に比べ全体的に磁束密度が低くなっていることが分かります。また、60(deg C)に戻しても、昇温前と同じ状態に戻らないこと分かります。

減磁率分布

昇温前の磁化状態を基準とし、昇温後再び60(deg C)に戻した場合の減磁率※分布を図3に示します。なお、ここで示している減磁とは、クニック点を越えたことによる不可逆減磁のことであり、磁石の性能を悪化させる指標となります。
図より、60(deg C)に戻しても、昇温前に比べ広範囲で減磁していることがわかります。
※減磁率とは、指定した磁化状態を基準に減磁進行したかどうかを示すものです。

動作点

動作点を確認するために選択した測定位置を図4、動作点を図5に示します。
図5より、昇温後の測定位置1において動作点がクニック点を越えており、60(deg C)に戻しても動作点が元のB-Hカーブ上に戻っていないため、不可逆減磁が生じていることがわかります。また、横軸を見ることで、各測定位置にかかる反磁界の大きさを確認することができます。

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