[JAC222] 不完全着磁磁石の不可逆熱減磁解析

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概要

不完全着磁磁石の不可逆熱減磁解析
モータの高効率化および高出力化を実現するためには、温度上昇の問題を如何に解決するかが重要となります。モータに使われている材料で、温度に対する特性変化が大きいのは磁石です。希土類磁石の場合、通常百数十度で減磁の可能性が出てきます。加えられる反磁界と温度の組み合わせによって減磁の有無や程度が決まるため、磁石そのものの熱耐性に加え、磁気回路設計においても気を配る必要があります。特に、不完全な着磁によって保磁力が十分ではない箇所では減磁しやすくなるため、磁石の保磁力分布についても同時に評価することが望まれます。
有限要素法を利用した磁界解析シミュレーションを用いると、着磁解析により得られた保磁力分布に対してそれぞれ熱減磁特性を考慮することで、高温、高負荷時のモータ特性を評価することができます。
ここでは、組込み着磁した磁石の温度を変えて解析を行い、トルク波形や磁束密度分布への影響を評価します。

熱減磁情報を持つ着磁材料

図1 着磁磁界-温度-減磁特性
着磁後の減磁特性は温度にも依存しますので、着磁時の着磁磁界、着磁後に利用する際の温度を軸に特性テーブルを準備します。着磁磁界-温度-減磁特性のテーブルとなります(図1)。
着磁後に磁石材料として使用する際には、着磁時の着磁磁界に応じた温度-減磁特性のテーブルが参照されます。着磁磁界は磁石内で一様ではないため、要素毎に異なる減磁特性を持ちます。

磁化分布

図2 着磁後の磁化分布
投入電流25(kA)、35(kA)、45(kA)における組込み着磁によって得られた磁石の磁化分布を図2に示します。投入電流が小さい程、ブリッジ付近のマグネットの中央から外側にかけて磁化が小さい範囲が大きくなり、磁化が小さい部分で不完全着磁となります。

誘起電圧波形

投入電流25(kA)、35(kA)、45(kA)で組込み着磁した磁石を使用した時の、U相の誘起電圧波形を図3に示します。また、このときの誘起電圧実効値を表1に示します。誘起電圧のみの評価では、25(kA)とその他の条件の間には5(%)程度の差異があることが確認できます。

図3 誘起電圧
表1 着磁時の投入電流と誘起電圧の実効値

熱減磁によるトルクの変化

図4 トルク波形
投入電流25(kA)、35(kA)、45(kA)で組込み着磁した磁石を使用し、電気角半周期(機械角45(deg))ごとに磁石の温度を60(deg C)→125(deg C)→60(deg C)と変化させた場合のトルク波形を図4に示します。
図4より、磁石を125(deg C)に昇温させた状態において、熱減磁により平均トルクが下がっていることがわかります。また、60(deg C)に戻しても、昇温前に比べ平均トルクが3~10(%)減少していることから、昇温中に不可逆減磁が起きたことがわかります。さらに、減磁によるトルク特性の劣化度合いが、着磁時の投入電流によって異なることも確認できます。

減磁率分布

図5 減磁率分布
昇温前の磁化状態を基準とし、昇温後再び60(deg C)に戻した場合の減磁率分布を図5に示します。なお、ここで示している減磁とは、クニック点を越えたことによる不可逆減磁のことであり、磁石の性能を悪化させる指標となります。
図より、60(deg C)に戻しても、昇温前に比べ広範囲で減磁していることがわかります。また、着磁時の投入電流が小さい場合には、中央ブリッジ部付近で大きな減磁が生じていることが確認できます。

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