[W-MA-111] 異常渦電流損失計算の高精度化 (2)

目次
概要
1. 高精度鉄損解析手法における異常渦電流損失計算方法
2. 異常渦電流損失を含めた高精度鉄損解析手法の検証
 2.1 直流重畳時の誤差評価
3. 課題
 3.1 係数の依存性
 3.2 物理モデリング
4. まとめ
5. 参考文献

概要

鉄損解析は測定した鉄損データを用いた方法が主に使われていた(以降、従来法と呼ぶ)。従来法は適用範囲が実測条件下に限られるため高調波や直流重畳の影響を評価する際に課題があった。それに対してプレイモデルや1D法などの新しいモデルが鉄損解析に適用されるようになった(以降、新手法と呼ぶ)が新手法も異常渦電流損失が考慮されていないという課題がある。
前報[[W-MA-88] 異常渦電流損失計算の高精度化 (1)]では、異常渦電流損失のモデリング方法として過渡計算にも適用可能な方法を示した。この方法の課題として、異常渦電流損失補正係数の関数によるフィッティングの物理的な解釈や、高周波域で係数が1を下回ってしまう課題があった。本稿では新たな異常渦電流損失のモデリング方法を検討し適用した結果、励磁状態に応じた異常渦電流損失を求められるが、導出時の励磁状態とは乖離が大きい高周波、高直流重畳量に適用すると実測と乖離することが分かった。周波数1kHz以下かつ直流重畳量が大きくない条件下であれば高調波を含んだ波形による鉄損を高精度に算出可能であることを確認した。

1. 高精度鉄損解析手法における異常渦電流損失計算方法

従来法では異常渦電流損失は測定鉄損値から成分を分離することで得られたが、新手法では異常渦電流損失をシミュレーションで求める必要がある。実務上の利便性からよく用いられる方法に古典的渦電流損失に対する補正係数として異常渦電流損失を考慮する方法がある。しかし、従来の異常渦電流損失係数同定には以下の問題があった。

  • 低周波で同定した値を周波数全域で適用する
  • 同定時の古典的渦電流損失に表皮効果が考慮されていない

そのため、本ホワイトペーパーでは以下の方法で異常渦電流損失係数の高精度化をはかった。

  • 係数は動作点ごとに同定
  • 同定時にヒステリシス損失はプレイモデル、古典的渦電流損は1D法を用いて計算を行う

表1に手法の改良点、図1に本手法で得られる励磁磁束密度振幅、周波数ごとの異常渦電流損失係数を示す。磁束密度に対して変化すること、周波数に対しては減少の後に増加に転じることがわかる。
 本ホワイトペーパーはこの手法を用いて、高調波を含む磁束密度波形に対する鉄損を計算し、実測との比較を行った結果を報告する。また本手法の適用範囲についても解説する。(続く)


(a)磁束密度振幅依存性(周波数50Hz-1kHz)


(b)周波数依存性 (振幅0.05T – 0.2T)

図1 異常渦電流損失係数(35A360)
鉄損は0.05~1.4T、50Hz~20kHzまでの範囲で測定を行った。

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