[W-MA-88] 異常渦電流損失計算の高精度化 (1)

目次
1. 背景
2. 異常渦電流損失とは
3. 異常渦電流損失計算の課題
4. 異常渦電流損失計算の高度化
5. 検証と結果
6. まとめ
7. 参考文献

1. 背景

鉄損解析は従来、測定した鉄損データを用いた方法が主に使われていた(以降、従来法と呼ぶ)。しかし、従来法は適用範囲が実測条件下に限られるため高調波や直流重畳の影響を評価する際に課題があった。それに対してプレイモデルや1D法などの新しいモデルが鉄損解析に適用されるようになった(以降、新手法と呼ぶ)。プレイモデルによりヒステリシス損失が、1D法により古典的渦電流損失計算の精度が向上した。
鉄損の成分はヒステリシス損失、古典的渦電流損失の他に異常渦電流損失がある。上記のようにヒステリシス損失、古典的渦電流損失の精度向上に伴い、異常渦電流損失の精度向上も課題としてあげられるようになった。本報告では異常渦電流損失計算の高精度化について解説を行う。

2. 異常渦電流損失とは

まず異常渦電流損失の発生メカニズムと鉄損の一成分としての異常渦電流損失の定義について述べる。
物理的に異常渦電流損失は通常の渦電流損失とは発生要因が異なるため区別される。通常の渦電流損失は古典的渦電流損失と呼ばれ、均一導体に対して生じる渦電流による損失である。一方、異常渦電流損失は磁壁移動で生じる損失である。電磁鋼板などの磁性体には磁区が存在し、交流磁界によって磁壁が移動する。異常渦電流損失は磁壁が移動することによって生じる渦電流損失を指す。
上記のように異常渦電流損失は物理現象として説明される一方、鉄損の一成分として間接的に説明されることも多い。その際に異常渦電流損失の定義は大きく2つ存在するため議論の際には注意が必要である。まず、鉄損を、ヒステリシス損失と渦電流損失に分ける。次に渦電流損失は古典的渦電流損失と異常渦電流損失に分けられる。古典的渦電流損失は、表皮効果を考慮しない状態で理論解として求められることが多い。この場合、異常渦電流損失は、鉄損からヒステリシス損失、古典的渦電流損失を差し引いた値として定義される。(続く)


(a) 磁束密度波形


(b) ヒステリシスループ

図5 基本波+7次高調波
基本波(200Hz)に6kHzの高調波成分を重畳


(a) 磁束密度波形


(b) ヒステリシスループ

図7 基本波+7次高調波
基本波の20%を高調波成分として重畳

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