目次
1. 概要
2. 制御適合に必要なモータプラントモデルの精度
3. 制御適合事例:最大効率制御の電流ベクトル適合
3.1 モータおよび制御仕様
3.2 プラントモデル仕様
3.3 電流指令値の適合方法
3.4 適合結果
3.5 トルク精度
3.6 効率精度
4. まとめ
6. 参考文献
1. 概要
制御適合は実機を用いて動作点ごとに行われるため時間のかかる作業である。プラントモデルを用いることで制御適合の効率化を実現することを考える。しかし、制御適合は実機の特性に合わせて行われるためプラントモデルには実機相当の精度が求められる。ここでは制御適合の例として最大効率制御の電流指令値の同定をとりあげプラントモデルに求められる精度を示した。トルクおよび損失の要求精度を満たすために時間高調波を含めた鉄損の考慮が必要であることを示した。
2. 制御適合に必要なモータプラントモデルの精度
制御適合ではモータ特性に合わせてゲインや制御指令値の同定が行われる。通常制御適合はモータごと、動作点ごとに実機を用いて行われ時間がかかる作業であった。ここでは制御適合を実機ではなくプラントモデルを用いて行うことを考える[1]。
制御適合に必要なプラントモデルの精度は適合するパラメータによって異なる。ここでは最大効率制御でモータを駆動させる際の電流指令値を例に考える。効率を目的関数とするためプラントモデルにはトルク・損失の精度が要求される。
3. 制御適合事例:最大効率制御の電流ベクトル適合
3.1 モータおよび制御仕様
図1、表1にモータ断面図と仕様を示す。図2に制御モデルを示す。制御はPI制御により電流ベクトルを制御する。指令値となる電流ベクトルは適合作業により各動作点で効率が最大になるように選択される。
3.2 プラントモデル仕様
表2にプラントモデルの分解能を示す。鉄損の計算方法について説明する。プラントモデル生成時は正弦波電流を与えて基本波および空間高調波成分を求める。制御・回路シミュレーションにおいては等価回路にて鉄損等価抵抗を用いて時間高調波鉄損を考慮する。精度比較のために基準としてFEAモデルと鉄損を考慮しないプラントモデルを用いた。後者は鉄損を考慮しない以外は分解能をそろえた。(続く)
図1 モータ断面図
表1 モータ仕様
極数/スロット数 | 8/48 |
コア材 | 35JA300 |
磁石 | NdFeB, Br=1.2(T) |
出力 | 80 (kW) |
DC電圧 | 600 (V) |
最大電流値 | 250 (A) |
キャリア周波数 | 6 (kHz) |
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