[W-MO-13] 3次元形状を考慮した2次元ブラシモータ解析の検討

目次
1. はじめに
2. 2D/3Dモデルの比較と補正の検討
2-1.2D/3Dモデルの比較
2-2.ハウジング形状を考慮した2D/3Dモデルの比較
2-3.ハウジング/磁石形状を考慮した2D/3Dモデルの比較
3. まとめ

1. はじめに

ブラシモータは、制御回路が不要で廉価なことから、玩具から工業製品まで幅広く利用されている身近な直流モータである。
しかし実機の動作機構が比較的単純である反面、以下のような課題があり、解析上は取り扱いの難しいモータと言える。

  • ブラシと整流子の機械的な接触で電流が流れるため、接触状態を考慮したモデル化が必要になる。
  • ロータコア、磁石、ハウジングの軸長が異なるため、軸方向磁束が無視できない。
  • ハウジングの肉厚が薄いため、磁気飽和の影響が大きく、軸方向磁束の流れを増やす方向に働く。

本事例では、3次元解析モデル(3Dモデル)との比較を通して、三次元形状を考慮した2次元解析モデル(2Dモデル)構築の検討を行った。これらの結果の比較を通してモデル化の妥当性も示す。

キーテクノロジー

  • ブラシモータ素子
    実機ではブラシと整流子の機械的な接触により通電状態が実現するが、JMAGではそれぞれの位置関係を電気的なオン/オフ状態に置き換えたブラシモータ解析専用の素子であるブラシモータ素子を利用して解析することができる。
  • 材料モデリング
    JMAGの材料モデリング機能には、均質化法に基づく鋼板の占積率指定や異方的磁化特性/異方的電気特性の指定など多くの機能がある。また磁化特性については、鋼板の磁気飽和特性、磁石の保磁力特性をパラメータとして指定できる。ここでは、3次元形状の磁気回路においてハウジングと磁石が占める割合を、2Dモデルの磁化特性のパラメータとして用いた。これにより、3次元形状を2Dモデルに取り込んだ解析が行える。

2. 2D/3Dモデルの比較と補正の検討

2-1.2D/3Dモデルの比較

3次元形状の影響を確認するため、図1のモデルに対して、両者同じ磁化特性を用いて2Dモデルと3Dモデルの結果を比較する。図2に示す磁束密度分布の比較から、2Dモデルでは特にハウジングでの磁気飽和が著しい。これに対して3Dモデルでは飽和が見られるものの、2Dモデルに比べて低く、軸方向への分布が見られる。

図1 解析モデルと各部の構成
図1 解析モデルと各部の構成

図2 2Dと3Dモデルの磁束密度分布
図2 2Dと3Dモデルの磁束密度分布

図3に補正を考慮していない2Dモデルと3DモデルのN-T特性を比較した結果を示す。3Dモデルでは2Dモデルに比べて、軸方向へ磁束が流れるため、飽和が抑えられて低回転側にトルクが大きく出ている。逆に高回転側では飽和の影響は小さくなるが、(続く)

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