目次
1. 背景
2. 最適な分解能の決定方法
3. 適用事例
4. まとめ
1.背景
近年、開発サイクルの短縮化に伴い、モデルベース開発(以下、MBD)の適用が進んでいる。高精度プラントモデルはMBD適用の重要な要素であり、JMAG-RTはFEAモデルから高精度プラントを生成する。プラントモデルの精度は、FEAの計算点数に依存する。計算点数が多いほどモデルの分解能は向上するが、生成時間は長くなる。しかし過剰な分解能は生成時間の増大だけでなく、HILSへのそのため、計算点数を決めるための最適な分解能が必要になる。
本資料では、システムシミュレーションを行いながら反復的にJMAG-RTモデルの分解能をあげる方法を提示する。
図1 JMAG-RTを用いたVモデル型開発プロセス
FEAモデルから高精度プラントモデルを生成することでMBDを促進。
そのためには実機相当の精度が求められ、十分なモータ特性分解能が必要となる。
2.最適な分解能の決定方法
本手法ではプラントモデルのモデルの分解能を反復的に上げていく。その際に適用される動作範囲における計算精度(システム出力)を評価し必要な分解能を追加する。ここで重要なポイントは反復回数を最小限にすることであり、そのためには適切な初期分解能を決めることである。適切な分解能はモータによって異なるが、通常基本的なモータ特性は設計時に行われる電磁界解析によって事前に把握されていることが多い。この情報を用いて初期分解能の設定を行う。
MBDでは実機が存在しないためプラントモデルの精度を実機と比較評価することができない。そのため反復時にはプラントモデルの分解能のシステムシミュレーションの出力(システム出力)に対する感度で評価する。たとえば平均トルクを評価するのであれば、異なる分解能のプラントモデルを用いてシステムシミュレーションを行い、平均トルクの変動を評価する。プラントモデルの適切な分解能を決めるフローを図2に示す。
- 初期分解能を決める。
JMAG-RTで計算をし、JMAG-RTモデルを生成する。 - 手順1で生成したJMAG-RTモデルを用いてシステムシュミレーションを実施。
- 前回試行とのシステム出力の変動率が収束基準以内であれば終了する。
前回試行との変動率が収束基準を満たしていなければJMAG-RTテーブルの計算点数を追加し、手順2に戻る。
なお、本資料では、収束基準は変動率1%以内とする。(続く)
図2 分解能の決定フロー
システムシミュレーションを繰り返すことで反復的に精度を上げる。
反復回数を最小限にするためには適切な初期分解能を設定する必要がある。
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