目次
1. 概要
2. 水冷永久磁石同期モータ
3. 損失解析
4. 熱解析
5. 実測比較
6. 計算コスト
7. まとめ
8. 参考文献
1. 概要
高性能モータの開発において、性能を最大限に引き出すためには、温度管理が極めて重要である。そのため、磁気特性と冷却性能を同時に考慮した熱設計が不可欠となる。しかしながら、従来の設計手法では、磁界解析と熱解析を別々に行うことが多く、設計の手戻りが発生する要因となっている。
また、熱設計においては熱等価回路が用いられる事が多いが、熱抵抗の算出に実機のデータによる合わせ込みが必要となり実機のない設計段階での熱解析を困難にさせている。CFDを用いるシミュレーションベースのアプローチも考えられるが、計算コストの観点から設計段階での適用が難しい。つまり、設計段階においては高速にかつ実機の合わせ込みをすることなく温度を予測できることが必要となっている。
本稿では、この課題を解決すべく、有限要素法(FEA)と熱等価回路を組み合わせた手法を採用した。熱抵抗や熱伝達はモータ・冷却仕様の情報を下に算出することでシミュレーションベースでの温度予測を行う。この手法をクーリングジャケットで水冷される永久磁石同期モータ(PMSM)に適用し、その予測精度を実測データと比較検証した。
2. 水冷永久磁石同期モータ
図1、表1に解析対象となるモータとその仕様を示す。モータはハウジングにつくられたクーリングジャケットによって冷却される。表2、3、4にクーリングジャケットの仕様、巻線仕様、部品間のギャップの情報を示す。
温度測定は回転数の異なる2つの動作点で行った。動作点の回転数、電流司令値を表5に示す。キャリア周波数はともに6kHzとした。
図1 モータ形状
左図はケースがついた状態、右図がモータ断面図。右図、上下の管がクーリングジャケットの流入、流出口となり、ステータコア外形に沿って冷媒が流れる
表1 モータ仕様
| Supply Voltage | 220 (V) |
| Max. Power | 2 (kW) |
| Max. Torque | 5 (Nm) |
| Pole / Slot | 8/48 |
| Motor height | 26.1 (mm) |
| Stator Diameter | 170 (mm) |
| Turn of coil | 12 |
| Water cooling jacket | SUS304 |
| Magnet | N39UH |
| Lamination Steel | 35JN300 |
表2 クーリングジャケット仕様
| Coolant temperature | 27 (deg.) |
| Tube size | 3 (mm) x 27 (mm) |
| Flow rate | 5.4 L/min |
表3 巻線仕様
| Wire diameter | 0.75 (mm) |
| Fill factor | 40 (%) |
| Insulation thickness | 0.18 (mm) |
| Impregnation | Included |
表4 接触
| Core- housing | 0.01 (mm) |
| Magnet-core | 0.01 (mm) |
表5 評価動作点
| OP1 | OP2 | |
| Rotation speed | 500 (rpm) | 5,000 (rpm) |
| Current | 12.53 (Arms) | 6 (Arms) |
| Phase | 0 (deg.) | 60 (deg.) |
| Carrier frequency | 6 (kHz) | 6 (kHz) |
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