株式会社第一機電

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株式会社第一機電
新事業推進部 取締役 新事業推進部長
伊藤 春正氏 (左)

新事業推進部
プロセス技術グループ グループリーダー
安達 智宏氏 (右)

 

新しい装置をお客様へ。より良いものをより速く。

第一機電様では高温加熱技術を使って様々な装置を開発しています。熱を操るエキスパートとして、結晶育成装置(ソーラーパネル用シリコンやパワーデバイス用SiCなどを作り出すための装置)を中心に各種工業炉、ホットスタンピング装置などを扱っています。
新事業推進部のお仕事は具体的にどのようなものになりますでしょうか。
伊藤氏:
新事業推進部では、新しい素材や新しい装置の考案と検討、開発をしています。世の中のニーズや我々のお客様が今後必要とする装置を営業とリンクしながら、調査し、新たに事業化できそうなテーマの開拓をしています。また、お客様から「こういう装置が作りたい」とご要望をいただき、その実現性を電磁気・熱の原理的計算やシミュレーションを使って検討することもあります。
会社としては、元々電源装置を製造していたところから始まっていますので、加熱に関する電源、つまり誘導加熱、通電加熱、抵抗加熱などの熱源をコア技術として、それを利用した装置の開発と販売が主力事業になります。

 

貴社の新製品として小型ホットスタンピング装置が開発されましたが、どのような特徴をもつ装置なのでしょうか。
安達氏:
開発した小型ホットスタンピング装置のコンセプトは“小型で安価な装置”ということです。量産の製品を作るホットスタンピング装置は大型で高額なものになります。それに対し、研究開発部門などの方が、様々なテーマの加熱をすぐにお試しいただけるように、小型で安価な装置にニーズを見出しました。
当社の小型ホットスタンピング装置は、高周波加熱技術を取り入れているのも特徴の一つです。何百キロワットという電源が必要となる大型機種はありますが、小型機種で高周波誘導加熱を取り入れているところはまだあまりないと思います。私たちの装置は20から30キロワットくらいの規模です。高周波誘導加熱のメリットである応答性の速さを生かし、急速加熱や局部加熱を実現しています。
2019年3月に研究開発を終了しました。これから多くのお客様に知っていただければ嬉しいです。

 

小型ホットスタンピング装置の開発にもJMAGをお使いいただいたそうですね。そもそもJMAGを導入いただいたきっかけは何だったのでしょうか。

伊藤氏:
JMAG導入前も別の磁界解析のソフトウェアは持っていましたが、熱と連携できるものではなく、温度分布を確認することはできませんでした。そのため、他社に温度分布のシミュレーションを委託していました。時間もかかるため、自社でソフトウェアを導入することにしました。シミュレーションの目的は、①円筒や円柱以外の異形状の誘導加熱の検討、②誘導加熱での温度分布の確認、③整合部の設計ミスをなくす、の3点です。いくつかのソフトウェアの提案をうけ、温度分布をきちんと確認できて予算内に収まったソフトウェアとしてJMAGを選択したと記憶しています。

小型ホットスタンピング装置

 

現象の可視化によってコミュニケーションが確実に。

貴社がJMAGを導入して3年経ちました。導入前と導入後とでは何が一番変わりましたか。

安達氏:
お客様が決断しやすくなったのではないかと思います。

伊藤氏:
例えば、お客様が複数の選択肢をもってこられる場合があります。その際、実際に温度がどのように上昇するのか、どのような温度分布になるのかを確認してから、選択できるようになりました。お客様の中には、必ずシミュレーションを行ってから装置を発注するようになった方もいらっしゃるそうです。そういう意味では、とても役に立つ営業ツールになっているとも言えます。

安達氏:
やはり加熱をするお客様は温度分布を気にされます。勾配をつけたいのか、均一にしたいのかはアプリケーションによって変わりますし、異形のように予測が難しいものは特にシミュレーションが必要になります。

伊藤氏:
時間も短縮されました。導入するまではシミュレーションを外注していたので、判断材料を揃えるのにも非常に時間がかかっていました。今は社内でできますので、お客様への要望に迅速にお応えできています。スピード感は格段に変わりました。

 

実験を依頼されたお客様の中に、シミュレーションを希望される方もいらっしゃるとか。

伊藤氏:
最近は実験とシミュレーションの両方を希望される方が多いです。

安達氏:
「実験に合わせてシミュレーションもしてください。」と言われるお客様もいらっしゃいます。私たちが扱っている加熱は非常に高温なので、温度を細かく測るというのはなかなか難しいです。実験でおおまかな様子を見て、細かいところはシミュレーションで確認したいという方が増えています。

伊藤氏:
実験とシミュレーションが合うようになってきたと思います。そこがお客様にも結構評価されています。

安達氏:
温度の絶対値までを合わせるのは難しいですが、どのくらいの幅で温度ムラができそうなのか、どの辺りが温まりにくいのか、一番加熱が強く出るのはどこなのか、という傾向はわかるので、お客様にも評価していただいているのだと思います。

超高温加熱炉

 

シミュレーション事例

多段カーボンリングの誘導加熱シミュレーション

加熱対象
カーボンリングの多段重ね

シミュレーション結果その1

2段の場合では、円筒コイルを内外に配置して温度の偏りを抑制できる条件を探し出すことができた。
内側か外側の一方のみで加熱すると、コイルに近いほうの温度が高く、遠いほうが低くなって偏りが生じる。

回転対称36分割モデル

シミュレーション結果その2

最上段と最下段をダミーとし、内側と外側にコイルを配置し、形状もそれぞれつづみ型とたいこ型にし、両側から誘導加熱することで温度の偏りが抑制されていることがわかる。
この事例では、温度の偏りを抑えることが課題となっており、そのためのパラメータが多数あるため、シミュレーションで絞り込むことが効果的となる。

回転対称36分割モデル

 

流れをつかんで一歩ずつ。セミナーや技術資料でコツコツと。

現在JMAGを使われているのは安達様一人ということですが、導入時はどのようにJMAGを習得されたのでしょうか。

安達氏:
最初は全然わかりませんでした。これではいけないと、すぐにセミナーを受けました。どういう手順で行えばいいのか流れをつかみ、その後操作しながら覚えました。ドキュメントがたくさん用意されているので、それらを活用して習得することもできると思います。手順を理解した後は、自分なりに少しずつふくらませていきました。

伊藤氏:
立ち上がりは早かった印象です。セミナー受講後すぐにある程度のことはできていました。

 

どのようなセミナーを受けられたのですか。

安達氏:
最初は導入セミナーを受講しました。事例を通して解析の流れをつかむ内容のもので、半日くらいでした。使い方がわかってやりたいことが増えていく中で、さらにレベルアップしたいと思い、スキルアップセミナーも順番に受講しました。

 

もうだいぶ使いこなされていると思いますが、苦労したことはありますか。

安達氏:
磁性材料の温度依存性の取り込みには苦労しました。それまで鉄をほとんど扱ったことがなかったので、鉄がどのような性質を示すかなどを考えずにそのまま材料データを使ってしまったのです。BHカーブを入力しただけなので、温度が上がって磁性が落ちることもなく、キュリー点を越えても温まり続けてしまいました。何かおかしいとすぐに原因を探りました。

伊藤氏:
実験ではもちろん温度は上がりませんでした。

安達氏:
その後キュリー点の取り込み方を調べ、温度依存性を入れることができるようになりました。アプリケーションノートを見たら、温度依存性のグラフについて書かれているものがあったので、同じようなことができていることもわかりました。

 

アプリケーションノートを常に使ってくださっているそうですね。ありがとうございます。どのような時に役に立ちますか。

安達氏:
解析の流れがわかります。設定内容と値の根拠がわかるのでいいと思います。「JMAGでこういうことできるのかな?」と思った時に、アプリケーションノートにあるかどうか確認することもあります。見つかると、「あ、これもできるのか。やってみよう。」と新しいことに挑戦するきっかけになります。

新しいチャレンジもJMAGとともに。

JMAGへの要望はありますか。

安達氏:
熱解析の高速化と使い勝手です。
磁界解析はどんどん高速化が進んでいると思いますが、熱解析ももう少し速度向上していただきたいです。特に輻射を扱う計算に時間がかかります。私たちは結構高い温度を扱っているので、どうしても輻射は必要になってきます。輻射問題もある程度の時間で計算できるようになると嬉しいです。
使い勝手に関しては、一度やったことは割とすぐ覚えられますが、何か新しいことをやろうとした時に設定を迷うことがあります。アプリケーションノートにパラメータの解説が書いてありますが、条件パネルとリンクしているわけではないので、操作中に探さなくてはいけません。それがなかったら使えないというものではありませんが、ソフトウェアと技術資料のリンクがもっと充実すると、時間の節約になると期待しています。

 

貴重なご意見ありがとうございます。最後に、新事業推進部として今後取り組みたいことを教えてください。

伊藤氏:
シミュレーションに関しては、動くワークができないかと相談しました。例えば、直径が1メートルで長さが2メートルくらいの鉄の円柱が一定回転をしている場合に、表面の温度をあげたいというアプリケーションです。コイルは固定で、加熱されるものが回転するというものです。

安達氏:
アプリケーションノートを確認したら似たような例がありましたので、今後行う予定です。あとは、導入目的の1つでもある整合部の設計ミスをなくすことです。まだ実現しておらず、計算手法を検討しています。整合部のトランスの仕様を決める際に必要な抵抗値が今は合っていないので、その計算手法を確立したいです。

 

抵抗値に関しては技術サポートから提案させていただきます。
伊藤様、安達様、インタビューにご協力いただき誠にありがとうございました。

 

会社名
株式会社第一機電 (英文名 Dai-ichi Kiden Co.,Ltd.)
設立
1991年8月9日
所在地
本社 東京都調布市下石原一丁目54番地1
茨城工場 茨城県北茨城市中郷町日棚字宝壺644-53
代表者
代表取締役 城井 正純
社員数
45名 (平成30年4月現在)
事業内容
一般産業用機械・装置製造業、その他の機械・同部分品製造業、
生産用機械器具製造業、化学機械・同装置製造業
結晶育成装置、高温加熱装置、高周波電源、工業炉等の製造販売
URL
http://www.d-kdn.co.jp/ icon-external-link

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