株式会社戸田レーシング

モータースポーツを主体にレース用パーツの製作、試作、テストスタンドに至るまで「クルマの夢をカタチにする」をモットーに、今なお挑戦をし続け、期待を超える驚きと感動をお客様へ提供しています。

株式会社戸田レーシングは、創立当初からモータースポーツを主体に自社でエンジン開発、部品製作などレース用パーツの製造を行い、現在ではモータ、インバータも自社製作されています。また、試作や研究開発用車両などの受託業務、テストスタンドなどの試験業務等、幅広い事業展開をされています。今回は創立者である代表取締役会長 戸田 幸男氏、および2021年2月に代表取締役社長にご就任されました戸田 憲吾氏にインタビューしました。

モータースポーツを主に、自動車に関わる幅広い事業を展開。

まず初めに御社の事業内容について、お聞かせいただけますか。

戸田 幸男氏(会長):
モータースポーツを主体に、レース用のエンジン、モータ、インバータ、自動車愛好家向け競技用部品パーツ等自動車に関係する部品の開発、製造、販売を行っております。また、OEMや部品メーカーから依頼された研究開発用車両の試作の受託業務や、最近ではメーカーや大学向けに試験装置の開発や製造を請け負ったりしています。試験機を使う案件の増加に伴い、様々な試験に対応をするため、来年、試験棟の増築を予定しております。電力も相当使用しているため、現在は試験室も取り合いになる状況で、試験棟増築により、より一層色々と試せると期待しています。

着実に事業を拡大されていますね。WEBサイトを拝見すると、海外にも販売展開されているようですね。

戸田 憲吾氏(社長):
モータースポーツのレース用部品を中心に、各国で販売代理店契約を結んで展開しています。

モータースポーツは世界中にお客様がいらっしゃいますよね。研究開発から検証、さらに試験に至るまで幅広く事業展開をされていますね。今後も益々挑戦をされていくのだろうと想像しました。

ものづくりに携わって50年。これまで積み重ねた技術により、研究開発~製造~実機との分析~試験に至るまでを自社で行えることが強み。シミュレーションは、まさに“バーチャルテストベンチ”として活用。

2021年度、御社は創立50周年ですね。おめでとうございます。これまで様々な挑戦を続けてこられたと思いますが、今改めてどういった想いがございますか。またこだわりなどもあれば、お聞かせください。

戸田 幸男氏(会長):
先ほどの事業内容でも話しました通り、創業から今日まで、自動車に関わるすべてのことに携わってきました。ものづくりの進め方には特にこだわりがあります。部品製造、エンジン開発から昨今はモータ製造まで自社で行うようになりました。シミュレーションと試作、試験機開発をすべて自社で行っていることは強みです。試験でシミュレーションの計算と違っても、何が問題かをすぐに分析できます。シミュレーション方法が悪いのか、測定方法が悪いのか、製造方法が悪いのかどこに問題があるかをみます。また、測定だけでは要因までは分析ができないので、シミュレーションで確認して、さらに設計へフィードバックをかけます。

JMAGも設計用途にご利用いただくこともあれば、”バーチャルテストベンチ”と呼んでいますが、検証用途にご利用いただくこともあります。
JMAGを仮想環境での測定器と見立てて試作前に様々な視点で検証を行い、試作を極限まで減らすものづくりの進め方をご提案しています。
御社では、試作機の測定結果が予期したものとは異なった場合、実機測定からはそのような結果となった要因までは分からないこともありますので、シミュレーションに戻り現象を解明し、対策して設計に反映し、再度試作するというプロセスで進められていると理解致しました。

戸田 幸男氏(会長):
モータもですが、エンジンも大事です。クリーンかつ災害に強い耐久性の優れたエンジンを開発・製造する必要があります。時流はEVであり電動化が進んでいますが、エンジンにはエンジンのメリットがあります。災害時への備えなどもあり、水素をはじめとしたクリーンなエンジン開発も視野に入れています。
モータにおいては、ドローン向けモータなども手掛けています。空飛ぶ車も視野に入れています。

JMAG導入の決め手は、信頼できる仲間からの勧め、国産であること。

現在、2016年のJMAGご導入から5年間、利用いただいていますね。JMAGの導入時JMAGを知ったきっかけ、JMAG導入の決め手などについて、お聞かせいただけますか。

戸田 幸男氏(会長):
JMAGはずいぶん前から知っていました。岡山のOVECという研究会でも耳にしました。モータ製造は10年前から趣味で始めていましたが、特にツールは使用していませんでした。10年前に、おかやま次世代自動車技術研究開発センター(OVEC)でインホイールモータの開発に弊社も参加、そこでモータの設計開発のビジネス検討を始めました。ビジネスとして企業の設計を請け負うのであれば、試験と解析両方が必要と思い、精度をあげるためシミュレーションソフトを導入することにしました。もちろんいくつかのシミュレーションソフトを比較しましたが、周りの有識者に相談したところ、良いものをつくりたいならJMAGということでしたし、JMAGの精度の高さと国産であることが最終的な決め手となり導入に至りました。
導入直後は、直感的に操作できないことに手こずりました。設定する箇所や結果分析など色々機能が盛り沢山なのは認識できましたが、それが逆に紛らわしくも感じました。人を育てるのには時間がかかるので、そこの工数も考えると、インタフェースをもう少し初心者にもわかりやすくしてほしいと思います。ナビゲーションガイドのようなイメージです。

ご意見ありがとうございます。将来的にはウィザード形式での対応も検討していきたいと思います。

試験機の開発も同時に実施し、実測とシミュレーションを繰り返す。分析結果を設計にフィードバックができるのは、シミュレーション活用効果の一つ。

JMAGを導入後、どのような効果を感じていらっしゃいますか。

戸田 幸男氏(会長):
IMやIPMだけでなくアキシャルギャップモータなど様々なタイプのモータを扱っており、それらの性能だけではなく、耐久性や製造のしやすさも含めて検討する必要があります。
そのため、試験機開発も同時に行い、実測とシミュレーションを繰り返し行っています。結果が合わない時は、シミュレーション、測定、製造方法のどこに問題があるのかをとことん調査します。測定だけでは要因分析はできません。シミュレーションを導入したからこそ、分析結果を設計にフィードバックをかけることができるようになりました。

これだけ業務があると、工数も膨大になると思います。従業員の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。解析を担当していらっしゃる方は何名ですか。

戸田 憲吾氏(社長):
従業員は48名で、そのうち10名がJMAG以外の解析も含めてですが、解析担当になります。エンジン、モータ、インバータ、ECU、トランスミッション等々、解析対象は自動車に関するものすべてです。一人が様々な対応をしているため、担当のだれかがいつもシミュレーションを行っている状態です。

少し前からアキシャルギャップモータの解析に関する問い合わせが増えてきております。用途によっては非常にポテンシャルのあるモータタイプだとは思うのですが、まだまだ製品化、量産された例はそこまで多くない認識です。

戸田 幸男氏(会長):
R&Dの取り組みとして様々なモータタイプを用途に応じて色々と調査しています。
独自の試験パターンがあり、その結果を通して、用途ごとに向き不向きを見極め、データ化しています。
アキシャルギャップモータもある用途では非常に高い性能を持っており、今後世の中にもより多く出てくると思います。

4名の方がJMAGをお使いとのことですが、社内教育や情報共有はどのように行っておられますか。

戸田 憲吾氏(社長):
解析内容が様々なので、手順書などとして資料にまとめてはいません。担当者同士が解析モデルを確認しつつ、設定や数値などに関するアドバイスをし合ったりしています。また、以前あった地域別セミナーや、最近ではオンラインセミナーが多く開催されているのでそちらに参加し、解析に関する情報取集をさせてもらっています。遠方ですと、このようなオンラインコンテンツが増えるのは、社内教育にも活用できてありがたいです。

駆動用モータの設計には熱、冷却の検討が必須。特に接触熱抵抗のモデル化が肝要。

次に、実際にJMAGを使用した例をについて伺いたいと思います。JMAGユーザー会2020講演のご発表内で触れていただきました接触熱抵抗のモデル化に関しての質問です。特に駆動用モータの設計には熱、冷却の検討が必須になっており、放熱の評価を精度高く行うためには、接触熱抵抗のモデル化が重要です。一方で、接触熱抵抗は机上計算で見積もることが難しい認識でもあるのですが、どのように解析でモデル化されているのですか?

戸田 憲吾氏(社長):
先ず弊社ではエンジンの熱評価の経験も豊富にあるため、接触熱抵抗のモデル化方法に関する経験も蓄積しています。
JMAGユーザー会講演例では共同研究先でもある岡山県工業技術センターでステータコアの2スロット分を切り出し、接触熱抵抗を実測した上で、モデルに反映させています。

モータごとに実測するのでしょうか?

戸田 憲吾氏(社長):
いいえ。モータタイプごとに計測した接触熱抵抗をデータベースに蓄積しています。
同タイプのモータのマイナーチェンジであれば、このデータベースを参照し、再利用しています。

JMAGユーザー会2020講演内容

講演タイトル:
講演概要:
株式会社戸田レーシングは、モータの設計・開発から試作・評価まで試験機も含めたトータルサポートを行っており、車載モータの高性能化にあたっては冷却を検討する上で、シミュレーションでの熱流体解析が重要となる。2019年に簡易モデルにおいてJMAGから得られたモータの発熱分布をJMAGと同じ国産ソフトであるscFLOWにマッピングし、電磁界熱流体解析連成に取り組んだが、Phase2として実機モデルでの連成解析を行い、詳細な解析結果による検討と最適化を行った。

図:詳細モデルでの電磁界解析結果から連成解析を行なった熱流体解析結果(温度分布)

今後チャレンジしてみたいことは最適化。

今後JMAGで取り組みたいこと、またチャレンジしたいことはございますか。

戸田 憲吾氏(社長):
将来的には最適化をもっと使っていきたいと思っています。またJMAG-Express Onlineでは先行でRomaxの振動解析との連成解析ができるようになったとのことでしたので、振動解析のフロントローディングにも取り組んでいきたいと思います。

JMAGへのご要望はございますか。

戸田 幸男氏(会長):
そうですね、色々あります。
・CAD I/Fは、SATではなく、STEPでインポートおよびエクスポートしたい。
・JMAG-Expressでファイルを開く際、過去のプロジェクト(テンプレート)が出てこなくて、毎回フォルダを指定しないといけないのがやや面倒に感じるので改善してほしい。

戸田 憲吾氏(社長):
海外ソフトウェアとの連携、多くのツールが海外ベンダーに統合されている現実がありますよね。それらのツールと、JMAGも I/Fをもっともってほしいですね。

ありがとうございます。社内にフィードバックします。

やりたいことはまだまだある。才能を持っている人達とものづくりをするのは純粋に楽しい。

最後の質問です。これからJMAGに期待することがございましたら、ぜひお聞かせください。

戸田 幸男氏(会長):
日本は、どの分野においてもものづくりに対して、海外に先行されてしまっていると感じています。JMAGは引き続き国産メーカーとして、がんばってほしいと思っています。

はい、私共もできる限り、邁進していきたいと思います。
ところで、先ほどおっしゃられた最適化を実施するとなると、どうしても計算機が必要になりますね。ぜひその部分はお付き合いされている岡山県工業技術センターなど地域全体を巻き込んで協業していかれるのもよいと考えます。現在既に社外とうまく連携されている御社はどのようなお考えをもっていらっしゃるのですか?

戸田 幸男氏(会長):
私は、まだまだやりたいことはたくさんあります。常にアイデアを考えています。例えば、インバータならインバータ専門の社員に相談し、良いアイデアをミックスしていく。社外も同じです。これまで自分ができないことができる人とつながって、刺激をうけて、そのつながりから信頼ができ、Win-Winの関係で発展してきました。才能を持っている人と仕事をするのは純粋に楽しい。岡山県工業技術センターの測定、解析技術も自分たちにはありがたいものですね。

本日は創業からの歴史を感じながら、豊富なご経験や知見による深いお話と、今後も挑戦を続けていかれる姿勢やこだわりなど、貴重なお話をお伺いすることができました。誠にありがとうございました。

TODA RACING TEAMのご活躍

2021/8/27-29全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権の第5大会にTODA RACING TEAMが出場。
Round 13/14/9の3連戦3連覇で完全制覇されました。今後のご活躍も期待しています。
superformula lights 

お話を伺った方

代表取締役会長
戸田 幸男氏
代表取締役社長
戸田 憲吾氏
会社名
株式会社 戸田レーシング
設立
昭和46年2月1日
所在地
〒714-1205 岡山県小田郡矢掛町中640-1
代表取締役会長
戸田 幸男
代表取締役社長
戸田 憲吾
社員数
48人
事業内容
  • レース用部品の研究開発及び製造・販売
  • レースエンジンの研究開発及び製造・販売
  • 自動車用部品の研究開発及び製造・販売
  • エンジン燃焼効率・低燃費・低排ガスの研究開発
  • テストスタンドの製造・販売
  • 車両用インホールモータ/ オンボードモータの研究開発及び製造・販売
  • 航空機部品の製造
  • 産業機械の製造
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