[JAC206] 磁界と熱流体連携による油入変圧器の温度解析

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概要

電力用の大型変圧器は発電所で発電された高圧の電力を送電用に変圧するためなどに用いられます。変圧器の構造として、冷却と絶縁のために変圧器本体を納めたタンク内を絶縁油で満たした油入変圧器が多く用いられています。油入変圧器の絶縁油はポンプで強制循環させる場合と自然対流させる場合とがあります。
油入変圧器の巻線や鉄心の温度を見積もるためには絶縁油による熱伝達を見積もる必要があります。タンク内には変圧器の鉄心、巻線以外にも鉄心を支持する為のクランプ、漏洩磁界を防止するためのシールド等、様々な構造物があり、強制循環にせよ自然対流にせよ、絶縁油の流路は複雑で熱伝達を見積もるのは容易ではありません。特に構造物が流路を妨げている個所や局所的に発熱が大きい個所では局所的に高温となるホットスポットを構成する可能性があり、その把握と対策のためにも損失分布の解析と絶縁油の流路を考慮した熱流体解析が重要です。
ここでは、強制循環タイプの油入変圧器の発熱分布を磁界解析で求め、熱流体解析モデルへマッピングし、熱流体解析で絶縁油を流体として扱って温度を求める手順と事例を紹介します。

損失密度分布

磁界解析で得られる変圧器のコアで生じる鉄損密度分布を図1に、コア以外で生じる銅損および漂遊負荷損の分布(ジュール損失密度分布)を図2に示します。損失量として主となる成分はコアの鉄損と巻線の銅損ですが、損失密度で見るとコネクタでも高くなっていることが分かります。

流速分布(流線)

熱流体解析で得られる絶縁油の流速(流線、コンター)を図3に示します。流線を見ると、流入口から流入した絶縁油はそのまま下方に移動し、U相巻線で流速が大きくなっていることが分かります。一方、W相巻線側ではU相巻線側より流速が小さいことが分かります。また中央にあるV相は流路が狭いため絶縁油が入りにくく、流速が最も小さいことが分かります。

温度分布

熱流体解析で得られる温度分布を図4に示します。図3の流速から推測されるように、相ごとに見るとU相が最も温度が低く、W相はU相より高温となっています。V相は流速が小さく、中央にありタンク側面への熱伝導もないため最も高温で、コアは局所的に110℃程度温度上昇することが分かります。発熱が大きく最も内部にあるコアの温度が最も高く、コアと巻線の間にあるコネクタも高温になることが分かります。

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