[W-OP-166] 大規模多目的最適化における最適化条件の感度分析

目次
1. 概要
2. 永久磁石同期モータの最適化問題
3. 感度分析
 3.1 設計変数の範囲
 3.2 遺伝的アルゴリズムの集団サイズ
 3.3 FEAモデルの忠実度
4. まとめ

1. 概要

大規模多目的最適化で得られる実行可能解領域は、最適化計算の条件(集団サイズの大きさ、目的関数、制約条件、および設計変数)に大きな影響を受ける。本報告では永久磁石同期モータのパラメータ最適化の実行可能解領域に対する最適化計算条件の感度を調べ、そのガイドラインについて述べる。このガイドラインは特に複数の目的関数や制約条件が適用される場合、設計変数の数が多い場合、および経験ベースの設計が限られている自動車の電動化など、設計プロセスにおいて多様な技術が必要とされる場合に、計算効率の鍵となる。

2. 永久磁石同期モータの最適化問題

図1に示すような8極48スロットの永久磁石同期モータの最適化問題を考える。この最適化問題は、表1に示す目的関数と制約条件を満たす最適な電流ベクトルとロータ形状を求めることにある。形状変数の数は20である。実行可能解領域を図2に示す。最適化計算の条件は、次のセクションで説明するように、最も幅広い範囲の設計変数、集団の大きさの最大値、および最も高忠実度のFEAモデルという条件を基準とする。図2に示すように実行可能解領域は制約条件が厳しいため非常に小さくなる。

図1 モータ形状

表1 目的関数と制約条件

目的関数 制約条件
トルク 最大化 >100 (Nm) (低速)
>30 (Nm) (高速)

トルクリップル率 最小化 >0.35
損失 最小化 >1,200 (W) (低速),
>3,000 (W) (高速)
電圧 最小化 >300 (V)
応力 最小化 >200 (MPa)

最適化されるIPMSMの初期モータ形状を示す。本モータは8極、48スロット、2層の磁石により構成されている。最適化における設計変数は20ヶ所の寸法および低速と高速時の双方における電流振幅、位相の計24となる。

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