[JAC239] IPMモータの故障解析

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概要

IPMモータの故障解析
電気的な故障は、機器の動作中に一般的に発生する状態です。これらは、パワーエレクトロニクスや接続された電源システムに悪影響を及ぼす可能性があります。故障中のモータの動作を包括的に解析するには、故障条件を変えて多くのテストケースを実行する必要があります。
JMAG-RTモデルはFEAをベースに計算を行い作成された高精度プラントモデルであり、高調波の影響や磁気飽和を考慮できます。
ここでは、JMAG-RTを使用しIPMモータの故障をシミュレーションした事例を示します。シミュレーションしているのはIGBTの故障に起因する開回路故障であり、これはPMSMの駆動において最も一般的に発生する故障の1つです。

故障について

図1 モータ制御回路
モータは1(kW)の定格の4極機であり、600(r/min)、10(A)で作動しています。
動作開始から0.3(sec)でIGBTの一つが故障するものとします。
これにより、6ステップインバータの開回路が生じ、特定のIGBTを流れる電流がゼロになります。
モータのトルクと電流に対する故障の影響を確認します。

故障解析

高精度なJMAG-RTモデルとLdLq(一定)モデルには基本的な違いがあります。 JMAG-RTモデルはFEAを用いることで、空間高調波を考慮できます。これにより、故障前後でトルクリップルを捉えることが可能です。
これは、システムシミュレーション中にIGBT故障によるモータの挙動の予測に有益です。 トルクの挙動を図2に示します。故障が発生する瞬間も確認することができます。JMAG-RTモデルを用いてより高い時間分解能でシミュレーションを実行することにより、再閉路など故障後の現象を予測することも可能です。
両者のモデルの違いは、故障が発生した後の電流波形においても確認することができます。 ただし図3から、今回のシミュレーションでは電流の差は非常に小さく、JMAG-RTモデルとLdLq(一定)モデルの平均トルク値の差も小さくなっています。

図2 トルク波形比較(10(A))
図3 電流波形比較(10(A))

高負荷時の故障解析

図4に示すとおり、LdLq(一定)モデルとJMAG-RTモデルを使用したときの平均トルク値には差がありますが、この差は図2では見られません。ここでの主な違いは電流振幅です。 図2は10(A)を流しており、図4は28.3(A)を流しています。
トルクの差異の原因は磁気飽和の効果であり、JMAG-RTモデルでしか考慮されていません。
図5から、LdとLqの値は入力電流が増加するにつれて減少することがわかります。 これは、コアが磁気飽和しているために発生します。 磁気飽和により、鉄心の透磁率は下がっていきます。これは図4で示した平均トルクの低下を引き起こします。また、磁気飽和の様子は図6のFEAの計算で確認することができます。
このように、故障時の挙動予測は、単純なLdLq(一定)モデルでは表現できない特性にも依存するため、精度の高いモデルを使用することが有益です。

図4 トルク波形比較(28.3(A))
図5 インダクタンス解析
図6 磁束密度分布

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