[JAC317] 代理モデルを援用した材料を設計変数とした最適化

 
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概要

代理モデルを援用した材料を設計変数とした最適化
自動車用モータなどの分野では小型化のためにより一層の高回転化が進んでいますが、高効率実現のために、回転数の増加によって増える鉄損を低減することが課題となります。
モータのコア材料としては一般的に電磁鋼板が用いられますが、近年ではより低鉄損であるアモルファス合金やナノ結晶合金によってコア材料を置き換えることで高効率化を図る試みも進んでいます。しかし、これらの材料は電磁鋼板と比較すると高価格であるため、製品開発においては性能とコストの両方の要件を満たすように材料を選択する必要があります。このようなトレードオフ問題に対して最適な材料選択を行うためには、材料を設計変数とした最適化計算が有効です。
ここでは、鉄損の最小化と材料コストの最小化を目的関数として、IPMモータの形状最適化と同時に、3種類のコア材料(電磁鋼板、アモルファス合金、ナノ結晶合金)から材料最適化を行った事例を紹介します。
FEAのみの最適化および代理モデルを援用した最適化を行い、パレートカーブ、代理モデル援用時の計算時間短縮効果を確認します。

代理モデルの最適化計算への援用

図1 代理モデルの最適化計算への援用
代理モデルを援用した最適化計算の流れを図1に示します。
代理モデルを援用した最適化計算では、特定の世代の計算を機械学習モデルに置き換えることで高速化します。
各世代のFEA終了後に学習データを代理モデルに追加します。

最適化条件

表1に設計変数、表2に目的関数、表3に制約条件、図2に寸法変数を示します。

表1 最適化の設計変数
表2 最適化の目的関数
表3 最適化の制約条件
図3 代理モデル援用時の計算時間短縮効果

代理モデル援用時の計算時間短縮効果

図3にFEAのみの最適化計算時間と、代理モデルを援用したときの計算時間を示します。図4に最適化計算で得られた実行可能解の目的関数の分布図を示します。
代理モデルを援用しない場合は最適化が収束した130世代までのデータを使用し、援用した場合は最適化が収束した470世代までのデータを使用し、比較します。
なお、代理モデルを援用した場合のFEAの実行は10世代ごとに行っています。
図3から、FEA実行間隔が代理モデル援用最適化計算の場合、FEAのみの最適化計算に比べて1/3に短縮されていることが分かります。
図4から、FEAのみの最適化結果と代理モデル援用最適化で同等な結果が得られています。

図4 実行可能解の目的関数値の分布
図5 実行可能解の目的関数値の分布(鉄損300(W)以下の範囲を拡大)

最適化結果

図4の代理モデルを援用したグラフから鉄損300(W)以下の範囲を拡大したグラフを図5に示します。図6と表4に初期設計案と、最適化のパレート解でロータコア材料が電磁鋼板でステータコア材料がナノ結晶合金の組み合わせから選んだ二つの設計案A、Bの形状と目的関数値を示します。
図4、図5より、材料の組み合わせによって目的関数の値が飛び地状に分布していることが確認できます。ロータコアとステータコア両方の材料が電磁鋼板の組み合わせがもっとも材料コストが小さく、両方の材料がナノ結晶合金の組み合わせがもっとも鉄損が小さいことがわかります。中間にはロータコアとステータコアそれぞれ異なる材料の組み合わせの解が分布しています。ロータコアが電磁鋼板でステータコアがナノ結晶合金の組み合わせの方が、ロータコアがナノ結晶合金でステータコアが電磁鋼板の組み合わせよりも、鉄損が小さく、かつ材料コストも同等であることがわかります。ステータコアの鉄損が支配的なため、ステータコアに鉄損が小さい材料を採用する方がより効果が大きいことが理由です。
図6より、ロータコアが電磁鋼板でステータコアがナノ結晶合金の組み合わせの中でも、より材料コストが小さい設計案はロータコアが大きくステータコアが小さい形状になっていることが確認できます。ステータコアに価格が高い材料を使っているためです。
表4より、最適化により初期設計案から鉄損を1/17~1/30に削減できたことがわかります。電磁鋼板より価格が高いナノ結晶合金を使用していますが、材料コストの増加は2.5~3.8倍に抑えることができました。

図5 実行可能解の目的関数値の分布(鉄損300(W)以下の範囲を拡大)
図6 初期設計案と最適設計案の形状比較
表4 初期設計案と最適設計案の目的関数とコア材料

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