[JAC087] 焼き嵌めを考慮したIPMモータの鉄損解析

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概要

ハイブリッド自動車や電気自動車駆動用モータの鉄心として電磁鋼板が用いられます。その目的は、小型化、軽量化、高効率化です。IPMモータの高回転域における効率を高めるためには、鉄損を如何に低減するかがポイントになります。積層構造を有するステータコアは、フレームとの接合強度を高めるために焼き嵌めします。焼き嵌め時に発生する圧縮応力が、鉄損を増加させることが知られています。それゆえ、鉄損評価時に応力の影響を考慮することが重要です。
鉄損は鋼板に変動する磁場がかかることで生じます。また、鉄損の大きさは鋼板の鉄損特性に依存します。鋼板の鉄損特性は焼き嵌めなどで応力がかかることで劣化します。焼き嵌めによって生じる応力は分布を持ち、特にバックヨーク部分で大きくなります。つまり、鉄損を精度良く評価するためには、磁束密度分布、時刻変化および鋼板にかかる応力分布を正確に求める必要があります。
近年の研究から、鉄損の応力依存性の精度を高めるには、応力の分布だけでなく、主応力の主軸ごとの磁束密度の時間変化を考慮した評価が必要といわれています
ここでは、応力のない状態における鉄損の結果を踏まえて、応力の大きさにのみを考慮した鉄損と主応力ごとに磁束密度の時間変化を考慮した鉄損(以下、応力のテンソルを考慮した鉄損)を比較した結果をご紹介いたします。

主応力分布

図1に主応力の圧縮応力分布と応力テンソルを示します。圧縮応力はバックヨークに発生し、その方向は周方向であることがわかります。フレームが径方向に縮むことによって生じる圧縮応力は、スロット部で大きくなっていることがわかります。これは、ティース部では先端に近づくにつれて減衰するのに対し、スロット部では減衰できずに応力が集中しているためと考えられます。

磁束密度(基本波成分)分布

図2に、応力考慮時の磁束密度の基本波成分(60(Hz))の実効値分布を示します。ティースでは、磁束密度の径方向成分が主成分であるのに対して、バックヨークでは周方向成分が主成分であることがわかります。これら磁束密度分布の違いは、応力依存性の鉄損評価にあたって、応力の大きさのみを考慮するか、または応力の主軸方向ごとに磁束密度の時間変化を考慮するかの手法に影響を及ぼします。

鉄損密度分布

図3に鉄損密度分布を示します。左から順に、応力考慮なしの場合、応力の大きさのみを考慮した場合、応力テンソルを考慮した場合の結果を表しています。応力の考慮の有無によって鉄損密度分布が変化し、鉄損値が約6割増したことがわかります。これは、応力により損失が大きくなるためだと考えられ、鉄損をより実測と合わせるためには、焼き嵌めによる応力を考慮した解析が必要になります。応力依存性の手法に関する比較では、応力の大きさのみを考慮した解析と応力テンソルを考慮した解析ではティース付け根付近で差異が見られます。これは、ティース付け根付近の磁束密度分布は、径方向成分にも有意な寄与があり、圧縮応力の大きさのみを考慮した解析は、主軸方向ごとの磁束密度の時間変化を考慮した解析に比べると大きく評価されるためです。

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